第26話 新たな筋書通りの展開。お互いの決意と覚悟
予定通り、前半部が終了し、来週から、新たな気持ちで、後半部へ突入します!
数日前までは普通の高校生、二日前は天界から女神を攫って「もの」として扱い神々から追われる身となって異世界に転生した百瀬琉人、そして今現在の百瀬琉人は、筋書通りの展開で転生前の姿に戻り、創造神メヨーテセシュルことリファールから求愛され、四天王の一柱である紅蓮華の断罪神ラミリアシャルファースフルを傍に、十二神将の一柱である万雷の主宰ザビグロニアとその眷属神ら52柱を平伏せて、天の頂から見下ろす神の視座にいる。そこからの眺めは、至高の絶景そのものであった。
それというのも、琉人自身を献身的に守り抜き攻め続ける美少女ゴーレム兵団ヴァルキルウスと、誕生した時から一途に琉人を一方的に慕うヌロニハールの存在は、大きかった。彼女らの活躍がなければ、今この情景を眺める事は出来なかっただろうと、熱い想いとして胸に込み上げてくるのを切に感じる琉人だった。
それに、初めて出会った時に「もの」として手荒に扱い、その上、神用拘束具を付けられ服従させられた屈辱感を募らせたにも拘らず、嫌な顔一つしないで女神らしく広い包容力で、琉人へ自らの創造神の力を授け、琉人が想い描く理想の美少女ゴーレムの生成する生産系魔術を教えてくれた創造神メヨーテセシュルことリファールの存在は、今の琉人の心を奪い、かけがえのない存在となっていた。今の彼の胸の内には、一人の男性として、彼女のことだけを愛おしく想う気持ちしかなかった。
すぐ傍にいるリファールを、心から愛している。それに今、気付いた琉人の瞳から、知らずして涙が一粒零れ落ちた。
「あれ?なんで俺…泣いているんだろ」
リファールは優しく微笑み答える。
「泣いていいんじゃよ…琉人。おぬしの力で、この光景を見ているのじゃから」
東の方角から月夜の闇が薄れ始め、澄んだ空がしらじんできていた。
「夜明けか」
「夜明けとは、新たな筋書通りの展開での始まりに相応しいのう。皆が、琉人の言葉を聞くよう、我が今、皆に言葉を掛けた後に琉人、おぬしから話すのじゃ」
「わかった」
その返事を聞いたリファールは、琉人へ向けて微笑みを一つ零し、平伏せる神々へと顔を向けたと同時にその表情を一変させた。
平伏せた神々を等しく見下ろす瞳には宇宙の深淵のような静寂と、冷徹なまでに澄み切った慈愛が宿り、背後に現れたまばゆい純白の後光が、漆黒の夜空をたちまち厳かな黎明へと塗り替えていく、あらゆる生命を平伏させる絶対的な神威がその美貌に宿った創造神メヨーテセシュルとして、その姿を顕現したのであった。
創造神メヨーテセシュルの放つ絶対的な神威によるプレッシャーの前に、平伏せる神々らは息を吞んだ。
折しも地平線から厳かに姿を現した太陽が、鋭くも温かい黄金色の光を差し、去りゆく夜の残影を鮮やかに塗り替え、世界を光で満たしていった。
「光はすべてを赦すために、今ここに降り注ぎ、我は顕現した。四天王の一柱、紅蓮華の断罪神ラミリアシャルファースフル。十二神将の一柱、万雷の主宰ザビグロニアとその眷属神52柱よ。我の傍にいる琉人から話す話を、しっかと聞き胸に留めよ」
その言葉を聞いた紅蓮華の断罪神ラミリアシャルファースフルは、その場で跪いて頭を垂れた。
「我が絶対の主よ。これなる不易の忠誠、御前に捧げん。百瀬琉人のお言葉、しっかと聞き、この小さき胸に刻まん」
紅蓮華の断罪神ラミリアシャルファースフルは誇り高き愛剣を手放し、乾いた砂の上に転がし、両手を地に突き、額が地面に触れるほど深く、深くひれ伏した。
「さっ、琉人。おぬしの口から話すのじゃ」
未だかつて体験したことのない余りにも神々しい情景に、我を忘れて見惚れていた琉人。それを我に返らせた創造神メヨーテセシュルことリファールの言葉に促され、彼は目の前で平伏した神々に向かい、自らの新たな筋書通りの展開を話し始めた。
「つい先ほどまで、俺は、リファールではなく、創造神メヨーテセシュルを攫ったことで神罰を二度受け、万雷の主宰ザビグロニアと闘い、紅蓮華の断罪神ラミリアシャルファースフルとの闘いでは死にかけた。それは、ひとえに、俺自身が望んだ事。今、ここで、俺が心から愛する創造神メヨーテセシュルことリファールの隣に立ち、単なる一人の人間が、神様達を平伏せて、自分が思い描いた筋書通りの展開を話そうとしている。これは、運命だと思う。いや、ここにいる全員が、運命の出会いなんだ。その運命の方向づけしているのが、俺の筋書通りの展開であると、四天王の一柱、万象の聖刻神イシュリシアフォーヌがそう言って戦き、時を止めてまでして、俺の筋書通りの展開を封じようとした。それでも俺の筋書通りの展開という運命を操る術を止めることはできなかった。俺は万象の聖刻神イシュリシアフォーヌとの会話で、ある事に気付き、筋書通りの展開を神のみぞ知らない願望の実現へと進めることにした。その為には、この地に封じられた最高神アビゼビュートいや、破壊神の復活を阻止する。その為には、最高神アビゼビュート復活の鍵となるセト・アスベルくんを四天王の手から救出する。そして、ある事に気付いたある事とは、復活した最高神アビゼビュートによる破壊神の力により、この世の神々を消し去り、物質という全てを破壊尽くし、四天王が新たな創造主として、世界を作り直す事を四天王が、目的として企んでいるという事である。その話は紅蓮華の断罪神ラミリアシャルファースフル、万象の聖刻神イシュリシアフォーヌとの会話を聞いていたから知っている事だろう。実際、四天王の眷属から、創造神メヨーテセシュルと冥府の王アルベルススは命を狙われた事により、より一層、四天王の企みに対して確証をもった次第だ。その四天王の企みに先手を打ち、俺はここ最高神アビゼビュートが封じられた地に、かつて魔物の森バァグーガと呼ばれたこの乾いた大地に、俺がこの異世界に来る前にいた世界の建築技術とそれ以上の考えうる文明の粋を集め、鉄壁な城塞都市を築き、復活させようと到来する四天王らを迎え撃ち、殲滅する。その結末には、俺の神のみぞ知らない願望が実現している。以上が筋書通りの展開だ。創造神メヨーテセシュル、紅蓮華の断罪神ラミリアシャルファースフル、万雷の主宰ザビグロニアとその眷属神。貴方達は各々役目を司る神様だ。人である一個人としての俺の願望の実現に、無理に付き合ってくれとは、いわない。別に、今ここで、立ち去って行っても構わない。俺からの話は以上だ」
一時の静寂が、朝焼けの乾いた大地に漂った。それを打ち破ったのは、創造神メヨーテセシュルことリファールだった。
「琉人、何を水臭い事を謂うのじゃ。我は…いや…私は、琉人を心から愛しておりますッ!離れるのは、嫌ッ!!貴方の進む道を共に歩みますッ!!どんな事があろうとも、一時も離れませんッ!!」
創造神メヨーテセシュルの立場もかなぐり捨て、リファールは琉人の腕に抱き付き、離れまいと力を込めた。
頭を垂れ、深く平伏していた紅蓮華の断罪神ラミリアシャルファースフルは、すくっと立ち上がり様、四天王の武神としての立場をかなぐり捨て、リファールの背中にしがみつきそれに続いた。
「私もッ!姉さまから離れたくありませんッ!!どんな事があっても、絶対に離れないんだからッ!!たとえ、姉さまが琉人と結ばれても、離れ離れになりませんッ!!」
そんな創造神メヨーテセシュルと紅蓮華の断罪神ラミリアシャルファースフルの振る舞う状況にいる万雷の主宰ザビグロニアは、その場で平伏したまま頭だけを上げ、十二神将の一柱としての立場として申し上げた。
「恐れ多くも、十二神将の一柱として、この万雷の主宰ザビグロニア、申し上げますッ!百瀬琉人殿のお考え、この万雷の主宰ザビグロニア、しっかと聞き、胸に刻んだ所存でありますッ!!我と我の眷属神52柱、主神の行く先へ何処までも付いていく所存でありますッ!!よって然るに、百瀬琉人殿。御前の望む果てが来るまで、何なりとお申し付けくださいませッ!!」
そう申し上げた万雷の主宰ザビグロニアは再び頭を深々と下げて、額を地に付けた。
琉人はその万雷の主宰ザビグロニアの覚悟した言葉を、しっかりと胸で受け止めた。
「今、この時から、ここにいる者らの主となりました。」
リファールが傍から優しく言葉を掛けた。
「俺は、皆の覚悟と決意を、しっかりと受け止め、皆の主として、皆を導いていくよ」
「琉人、私を今から私の主人として、導いて共に歩んでください」
リファールの潤んだ瞳が、澄んだ朝日の光に煌めき、琉人を深く見詰め、琉人の返事を待った。
「リファール。君の主人として、どこまでも導き、共に歩んでいこう」
心から待った琉人の返事を心で受け止めたリファールの口から自然と一つ零れた。
「はい、私の旦那様」
見詰め合う二人は、静かに目を閉じ、お互いの顔を近づけ、朝日が差す柔らかい日差しの中、そっと唇が触れ合い、心から惹かれ合う深い口付けをした。
第26話を読んでいただきありがとうございます。
心から感謝、感謝です!
続きが気になる方は、ぜひブックマークや評価と感想で応援いただけると励みになります!




