表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神のみぞ知らない願望を叶えるため筋書通り異世界転生した俺は、異世界で超絶生産系魔術のみの神チート能力で叶えて攻略  作者: 坪内俊


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
21/36

第21話 俺は絶体絶命。神様は死んでと言ってくる

 静寂でひんやりとする病室の一角、背中に致命傷を負ったユナシナは、リファールによる治療魔法を受け深い眠りについていた。

「これでよしっと。琉人、無事で帰って来て…」

 リファールはギュッと胸が締め付けられる不安に苛まれながら、ふと気になった深い眠りにつくヌロニハールの様子を見に行くことにした。

 ヌロニハールがいる病室はユナシナのすぐ隣で、リファールは手間をかけずに行くことが可能だった。

「どれどれ、うちの琉人が大事にしているお姫様の様子は、どうじゃろか」

 顔を拭いてやろうと、固く絞ったタオルを手にし、リファールは深い眠りについているヌロニハールの病室に入った。

 外から騒がしく重低音を響かせる爆ぜる音が二つし、建物を振動させ軋む音が鳴った。

「なんじゃ、この騒ぎは。ここまで万雷の主宰ザビグロニアの陣が来よったのか…うんっ!?」

 病室に入り、ヌロニハールの姿を目にした途端、リファールの手から固く絞ったタオルが滑り落ちた。

 リファールの目の前で、深い眠りにあったはずのヌロニハールがすくっと身を起こし、彼女の唇は閉ざされたままであるにもかかわらず、人間味の消え失せた機械的な音声が、メッセージを淡々と読み上げ始めたのだ。

「緊急事態発生、スリープ回復モードを緊急解除します、主の生命の危険を感知しました、ソブリン・シールド(君主の盾)を発動、開始します」

 琉人の命の危機を感知したヌロニハールは、スリープ回復モードを強制解除。意識は深い眠りにあるまま、その体はすくっと立ち上がり、リファールの目の前で忽然と姿を消した。

「何が起きたのじゃ」

 驚愕に目を見張るリファールは、直感でヌロニハールが琉人の元へ向かったと察した。大切な彼の危機を本能的に感じ取り、恐怖で引き裂かれそうな心を鼓舞し、なりふり構わずその場所へと急いだ。


 ゆっくりと近づいてきたハイヒールブーツの硬い足音が、ぴたりと止んだ。血塗られた地べたに血みどろになって横たわる琉人は、上から自分を見下ろす冷たい視線を感じた。

 冷たい視線で見下ろす紅蓮華の断罪神ラミリアシャルファースフルは、血まみれの琉人に向かって冷徹な言葉を投げかけた。

「もう血が止まっているだろ‥琉人。薄皮を切り裂いただけでは死なぬからな」

 冷徹に投げられた言葉と同時に、周囲からすべての音が消え、風やすべての空気の流れが止まり、月夜の光さえも耀きが失せて白く光る物体になった。

 時が止まったのだ。

「断罪の女神‥神を攫う大罪を犯したこの俺を、その剣でひと思いになぜ消滅させない。神罰というのは口実で、あんた達、四天王の神様は、この俺ではなく、この体、セト・アスベルが必要なのだろう。図星だな‥断罪の女神様」

 琉人が投げかけた問いに答えたのは、紅蓮華の断罪神ラミリアシャルファースフの後ろから現れた一人の三つ編みお下げの少女だった。

「その通りじゃ、百瀬琉人。おねしはこの世界に異世界から転生し、赤子として生を受ける筈じゃったが、おぬしの筋書通りの展開が予定調和を乱し、おぬしの筋書通りの展開によって、セト・アスベルの魂魄を深淵へと追いやり、抜け殻状態のセト・アスベルの体に、おぬしの魂魄が収まった。それを単に正すだけの事。おぬしはこの世界では、邪魔な存在。だから、セト・アスベルを返して貰い、百瀬琉人は、この世から消えて貰う。単純な事だろう、百瀬琉人。悪足搔きせず、一思いに成仏しろ」

「嫌だといったら」

「おぬしには、拒否する権利はない」

「わかったよ、小さな神様」

「観念したか百瀬琉人。素直に死を受け入れるがよい」

「じゃあ、最期に聞いていいかな」

「なんじゃ、言ってみろ」

「小さくて可愛らしい、あなたのご尊名をお聞かせください」

「いいだろう、我の名は、四天王の一柱、万象の聖刻神イシュリシアフォーヌじゃ」

「万象の聖刻神イシュリシアフォーヌ‥時の神‥時間を止めたのは、俺をセト・アスベルの体から引き離す為にか」

「いかにも、我は時を司る神。時を止めたのは、おぬしの筋書通りの展開を封じる為じゃ。運命という時を操るおぬしの筋書通りの展開は、時の神にしても厄介でな。時を止めるほか手立ては無かったのだ。骨が折れるわ。さっ、百瀬琉人よ、あの方の為、セト・アスベルの魂魄とその身体が必要なのじゃ。今ここで、時を断つ大鎌ギザヴァールガで首をはねられ死んでもらう」

 心の奥底で琉人は呟いた。ほら筋書通り、主犯格の一柱が来た、ここは好機と、ほくそ笑んだ。

「最高神アビゼビュートの復活の為にか‥」

「その通りだ百瀬琉人。流石じゃ己の筋書通りの展開で物事を進める者よ」

「わざわざ首をはねる必要あるのか。神様なら、人の魂くらいちょいと引っこ抜くぐらい簡単な事じゃないのか」

「左様、人の魂魄を体から抜くのは容易い事だが、それを出来るのは、冥府の王アルベルススのみじゃ。我らは時を断つ大鎌ギザヴァールガを使い、人の魂魄を体から断つ。神とて得意、不得意があるものじゃ」

「最高神アビゼビュートを復活させて、何を企んでいる時の神、いや死神イシュリシアフォーヌ」

「我を死神と呼ぶか、百瀬琉人。まあよい。死神の手で首をはねられよ」

「話を逸らすなよ死神。最高神アビゼビュートを復活させて、何を企んでいるんだと聞いているんだ」

「おぬしに話したとて、何も変わらぬが、おぬしの筋書通りの展開は危険じゃ。だから話さぬ」

「最高神アビゼビュートいや、破壊神を復活させ、破壊神の力によりこの世の神々を消し去り、物質という全てを破壊尽くし、四天王が新たな創造主として、世界を作り直す事が、目的として企んでいるんだろ。図星だろ‥万象の聖刻神イシュリシアフォーヌ。それにしても、最高神アビゼビュートも可哀想な奴だな、復活させられ、破壊神として覚醒させられ、用が無くなったら、また再び封印させられる。憐れだなって同情するよ」

「そこまで読んでおったか、やはり、おぬしの筋書通りの展開は危険だ。紅蓮華の断罪神ラミリアシャルファースフ、我はそろそろ止まった時を再び動かさなければならぬ。百瀬琉人の斬首を、この大鎌ギザヴァールガにてお願いできぬか」

「あいわかった、その願いお引き受けしよう。最期だ百瀬琉人。姉さま創造神メヨーテセシュルは返してもらう」

 万象の聖刻神イシュリシアフォーヌから手渡された大鎌ギザヴァールガを受け取った紅蓮華の断罪神ラミリアシャルファースフは、渾身の力を込めて大鎌ギザヴァールガを振り上げ、何の躊躇いもなく一気に百瀬琉人の首へと振り下ろされた。

 その刹那、琉人はリファールから借りている創造神の力を使い、瞬時に体の腹付近に位置していた魔力の母体を、意識体の一部として変換し、意識体として魂と融合させ、すぐさまチート生産系魔術を自分に向けて発動展開させた。

 百瀬琉人であるセト・アスベルの首が、胴から切り離され、止まっていた時が再び動いた。

 胴から切り離された脳は、数秒で意識を失うとされる。琉人は完全に暗転するまでのわずかな数秒間に、まるで時間が引き延ばされたかのように思考を巡らせ、異世界に来る前の姿を鮮明に思い出し、自らのボディを自らのチート生産系魔術で造り始めた。

 真空の揺らぎから素粒子を生成し、素粒子レベルの設計図から分子構造を構築して、ボディ構造は生身の体ではなくヌロニハールの体を基に防御率を高くしたアンドロイド式の体にした。交通事故で事故死する前の百瀬琉人17歳として、通っていた学生服も含めて再現した容姿で形成が完了し、誰も居なくなったヌロニハールの病室に出現したのだった。

「よしっ、完成。やっぱ、一番、自分の体がしっくりくるし、動きやすいっ!当たり前か、もともとこの体が自分だったんだから。自分で言うのもなんだか、いい体つきしていたんだな、俺って」

 誰も居ない無機質の病室を見渡して、独り言がちょぴり恥ずかしくなった琉人の耳に、外で激しく爆ぜる爆音が連続的に響き、病室全体を激しく揺らし軋らせた。

「さてと、気を取り直して。散々茶化してい来る神々に、筋書通りの展開で、痛い目を合わせてあげようか」

 琉人はそう言い残し、好奇心に輝く瞳で意気揚々と病室を後にした。

第21話を読んでいただきありがとうございます!

感謝を申し上げます。

続きが気になる方は、ぜひブックマークや評価と感想で応援いただけると励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ