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第31話 第二章『月世界旅行』

僕達は古く錆びついた線路を歩いていた。

文学的比喩ではなく。

――文字通りに。

野晒しのまま雑草に飲み込まれているこの線路は当然ながら廃線であり、長らく使われた形跡は無い。

背負ったリュックには水筒と着替えと歯ブラシと諸々と。

朝顔はピンク色の、ゆかりは紺色のリュックで、僕のは灰色だ。

朝顔は、何故か首からプラスチックの玩具みたいな虫かごをぶらさげている。

廃線ではあるが、地図上だとしばらく進めば今も使われている他の路線と合流するはずだ。

「この線路、いつくらいまで使われてたんでしょうか」

朽ち果てた枕木を見ながらゆかりが問う。

「少なくとも、30年前には廃線になってたみたいだね」

朝顔が答えた。

すっかり秋めいた季節は肌寒いくらいで、木枯らしに黄色くに染まった雑草が揺れていた。

無限に続くみたいな山と廃線路と砂利道の果て、大気の向こうに白む巨大な塔が見える。

軌道エレベータと呼ばれる、宇宙と地球を繋ぐ貨物機構だ。

地球と天球を繋ぐ叡智の塔は、人が引いた長い長い線路である。

この廃線の延長にそれはあるのだ。

これも比喩ではなく。

この旅の目的地は、月である。


昔見た映画を思い出す。

子供達が四人、線路を歩いて行く映画。


――線路の果てには、何があったのだっけ。

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