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第30話

ゆかりが村に来てから、一年が経った。

口下手が祟って少しぎこちないながらも、少しずつ村の人達とも馴染んできたようだ。

「海老の下処理なんて縁一人でやってくださいよ。面倒だから嫌だってスーパーで言ったじゃないですか」

「……我が家の夕食なんだからみんなで協力すべきだと思う」

「お兄ちゃんの馬鹿」

どうしても海老が食べたい。

そんな日もある。


田舎の村にも、時代の変化は押し寄せる。

世間はある話題で持ちきりだった。

『旧時代環境文化保護特区廃止法案』。

富裕層の道楽と化している、保護された『田舎暮らし』を是正し、土地と資本を適正に運用しようと言う世の中の流れである。

別に、村を追い出されたりするわけでは無い。

ただ、コンビニとかドラッグストアが乱立したり、トラックの往来が増えたり、電車とか高速道路が山々を横切ったりするようになるという話である。

早い話が、高度経済成長期の再生産だ。

金をかけて壊した自然を道楽のように金をかけて治して、また金を使って壊そうとしている。

人間というのは暇な動物である。

「でも、正直コンビニができるのは嬉しいです。夜7時を過ぎたら牛乳も買えないなんて宇宙より不便ですよ」

「まあ、それはそうかもしれないな……」

海老の皮むきをしながらそんな話をしていると、縁側からひょこっと朝顔が顔を出した。

「ねぇ、みんなで旅行に行かない?」

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