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第23話

秋祭り。

神社の境内には町内会お手製の出店が並び、朝顔がはしゃぎ回りながら焼き鳥とか焼きそばだとかで町内のおばさま方に餌付けされていた。

ゆかりは、少し離れて微笑みながらそれを見守っている。

今日くらい、ということで、二人とも浴衣姿だった。

ゆかりが深い紺色、朝顔は浅い桃色である。

朝顔は衣装に合わせて下駄を履いていたが、ゆかりは履き慣れないからとスニーカーのままだった。

朝顔がゆかりの手を引いて、祭囃子の中を駆けていく。

あの日の僕にそうしたように。

朝顔はあの頃から何にも変わらない。

二人は何度か振り向いて僕を呼んでいたが、僕はひらひらと手を振ってふらりと通りを離れた。

神社の裏に回る。

準備を終えた中年のオヤジ達が、表通りに比べれば幾分か静かに缶ビールと乾き物で酒盛りをしていた。

「よう坊主。一本どうだ」

「未成年ですよ」

缶ビール片手に声をかけてきた顔見知りのオヤジをあしらう。

タンクトップのシャツを汗まみれにして冷凍の焼き鳥を摘んでいるその姿はいかにも地方の冴えない中年という風体であったが、しかし、今の地球に住んでいる人々はそれだけで選ばれた者たちなのだ。

この周辺の田圃や山々はだいたい彼らの土地であったし、そういうものを転がしているだけでまともに働くのが馬鹿らしくなるような金が彼らの懐に入るのだ。

そんなシステムを嫌悪するような気持ちが、昔はあったようにも思う。

僕の父のような人間を産む資本という機構を。

でも、この村の大抵の人間は、隣人に優しく下心無く親身に接してくれる人ばかりである。

『金持ち喧嘩せず』、なんて――。


一瞬、ゆかりの顔が浮かぶ。

僕達は揺籠の中にいる。

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