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第22話
藤野縁の人生観を『諦観』と見るのは適切ではない。
彼は世界を『信頼』していた。
ボーイ・ミーツ・ガールの果て、空から現れた少女が世界を壊す。
あるいは、若者の情熱が、時代が、価値観が世界を革命していく。
しかし――。
そんなものでは変わらない、澱んだ何かがこの世界にはあるのだ。
時代が変わる。
価値観も変わる。
これは自然の成り行きである。
そこに恋や情熱が伴うのも理解できる。
しかし、不変なものもある。
それは暖かさであったり、冷たさであったりする。
清濁の混沌、何も掬い上げることのできない粘ついた何か。
それを有り体に『人』と呼ぶのだ。
叡智も愚かさも、冷淡も慈愛も一つの感情の濃淡に過ぎない。
『人』は変わらない。
『人』が作る『世界』も変わったりしない。
縁はそういうことを信じていたし愛していた。
理解されることも、されないこともあった。
『世界』は滅びたりしないと、そう固く信じることが出来た。
輝かしいものが失われて、鋼のような高潔さが損なわれたとしても世界は続いていくだろう。
それが彼の『価値観』だった。




