妖術師の覚悟 《壱》
鳥の囀りと共に湊は目を覚ます。日が登ってまだ間も無いようだがそんなの日常茶飯事な湊にとってなんの変哲もない日常である。ただ一つを除いて
「おはよう明…朝早いね」
「おはよう、湊も十分早いよ?私は鍛錬があるけど湊は?」
「うーん…特に?」
「なら早速妖力を扱うための修行を始めよ」
明は蒼色の眼で湊を見つめると軽やかに笑顔を作った。あまりにも美しい明をまだ直視出来ない湊は少し照れながら身支度を済ませに行った
「よし…どんとこい!」
「そんなに気張らなくても…まぁいいか」
二人は家の裏庭にある道場内で道着を着ながら向き合っていた
「まず妖力を得るに当たって教えておきたいことがあるんだけど…いい?」
「うん」
「妖術師は妖術を使えない人を守る剣であり、盾なの。つまり最悪の場合身代わりになって死ぬ事になる。その覚──────」
「ある」
湊は明の言葉を思わず遮ってしまうほどの覚悟を明に示す
「今更だったね。よしまずはうつ伏せになって」
「うん?」
「やっ!」
「ぎゃ!!」
うつ伏せになった湊の背中に手の甲を当てた明は力一杯に背中を圧迫した
「いたた…明さん?一体何を」
「妖力を扱うためのツボを開いたの。たまに最初から開いてる人も居るけど湊は開いてなかったから」
「なる…ほど?と言うか妖力ってそんな簡単に使えるようになるの?」
「妖力自体はみんな持ってるよ。ただ出入り口が塞がってるだけ。湊は今ので出入り口が開いたから妖力自体は使えるようになったけど、妖術を発動するにはまだまだってとこ」
「なるほど!今度はその出入り口を広げる特訓か!?」
「おーやっぱり勘が鋭いね湊は」
「でしょ。なら早くやろう!」
「でも残念。今日はもうおしまい」
「へ?」
「だってもうじき…」
明の言葉を聞いた瞬間湊はとんでも無い睡魔に襲われる
「あ………れ……?」
「無理矢理塞がってた妖力の出入り口を開いたからとんでも無い筋肉痛と睡魔で2日は動けないよって…もう聞いてないか」
明はぶっ倒れた湊を抱きしめ、寝室へと運んだ




