第7話 触手責めを受けるイギリス少女
「さて、貴様は敗北を認めた訳だ。ゆえに、ここからは俺の私欲に付き合ってもらう」
感情の起伏が削ぎ落とされた、どこまでも平坦な声でネメシスは告げる。
その漆黒に近い濃紫の瞳には、勝利の喜びなど微塵もない。
あるのは、観察対象を冷徹に見据える研究者のような、底知れない光だけ。
「私欲……? 何を、何を言っていますの……っ!」
言い知れぬ恐怖を抱いたのか、ルクレツィアは空中で身悶えした。
しかし、彼女の身体に複雑に絡みつく有機触手は、必要最低限の力でありながら、ルクレツィアの関節と魔力流動の急所を完璧に見切って押さえている。
背部の中ほどまで届く輝かしい金髪が、大気のうねりの中で無様に乱れ、脂汗で額に張り付いていた。
「これまでの戦闘で、貴様のデータは十分に回収した。だが、高位魔法師としての女性の肉体が、極限状態の負荷や外部からの精神的圧迫によって、どのように魔力伝導率や自律神経のバランスを変化させるか――その詳細な生体データが、まだ不足している」
「なっ……! 貴方、私を……この私を、ただの実験体として扱うつもりですの!?」
「ああ、そうだ。より深く、貴様の肉体のデータを検証させてもらう」
そう言うとネメシスは静かに指先を動かす。
その瞬間、ルクレツィアを拘束していた触手が一層強く、逃れられない強固な拘束へと移行した。
それと同時に、別の太い触手が彼女の細い足首を左右に大きく開き、空中で完全に固定する。
それは、千人を超える観客たちの眼前に、ルクレツィアの全身の輪郭を最も無防備な形で晒し出す、致命的なまでの屈辱なポーズだった。
「や、やだ……っ! こんな、大衆の前で……このような、破廉恥な姿を……っ! 見ないで……見ないでくださいまし……っ!」
ルクレツィアが身に纏う白と紺の姫騎士風の戦装束は、白銀の胸甲が豊かな胸元を強調し、華奢な腰の細さを際立たせている。
しかし今や、四肢を奪われ宙に吊るされたことで、装甲とニーソックスの隙間から覗く白磁のような太腿――その絶対領域の素肌までもが、二千人の観客の目の前に無防備に晒し出されていた。
「足を拘束され、身動き不能な状態での魔力脈動。すでに通常の三倍以上の速度で血液が循環しているな。自尊心の毀損が、術式回路に明確なエラーを起こしている」
「くっ……殺しなさい! 誇り高きクロウフォードの血を引く私が、予科生風情にこのような不覚を取るなど……! 命を奪うなら、今すぐここで、ひと思いに突き刺すがいいわ……っ!」
サファイアブルーの瞳に屈辱の涙を浮かべ、彼女は激しい拒絶の言葉を叫ぶ。
これほど無惨に吊るし上げられながらも、ルクレツィアの容姿は残酷なまでに気高く、悲劇的な色香を放っていた。
だが、ネメシスは彼女のプライドなど一顧だにせず、さらに細い触手を工作機械のような精密さで動かす。触手は戦装束の極薄の隙間、腰の曲線と容赦なく滑り込んでいく。
「あ……っ!? な、何……何をしていますの……っ! 腰のあたりに、何かが……滑り込んで……っ、やだ、そこは……っ! 淑女の絶対領域に、そのような……っ! ああぁぁぁっ!?」
抵抗する間もなく、触手の先端がルクレツィアの身に付けていた黒色の繊細なレースの下着を的確に捉え、器用に引き抜いた。薄い布地が宙を舞い、無情にも地面へと落とされる。
「うそ……っ、そんな……私の、私が身につけていたものが……っ! ああ、ああっ! 皆に見られて……っ! 英国の、クロウフォードの名が……泥を塗られてしまう……っ! お願い、返して……っ!」
観客席騒然。名門の令嬢が、衆人環視の中で下着を奪われ、決定的な屈辱を与えられた瞬間だ。
「おい、あれを見ろよ……!」
「嘘だろ、あのクロウフォードが……!」
場内に蜂の巣を、つついたような騒音が広がる。
留学生羞恥。その極限のストレスが、ルクレツィアの精神を激しく揺さぶる。
下着を完全に失ったことで、遮るものがない彼女の最も秘められた部分へと、冷たい空気が直で吹き付けていた。
身を捩るたびに、守るものを失った無防備な肌が戦装束の硬質な繊維と直接擦れ合い、生々しい摩擦の感触がルクレツィアに『自分が今、完全にノーパンの状態で吊るされている』という逃れようのない現実を嫌というほど自覚させる。
「ひ、あぁ……っ! 守るものが、何もないなんて……っ! 痛いわけじゃなくて、なんというか、その……っ! 遮るものが何もなくて、風が直接……っ! やだ、見ないで……そんな、無防備なところを見ないでくださいまし……っ! はぁ、はぁ……っ!」
「なるほど。羞恥心と恐怖によって皮膚割動が緊張し、呼吸が乱れている。非常に有益なデータだ。だが、まだ足りない」
ネメシスの冷徹な声と共に、背後から鎌首をもたげた一本の太い触手が、無防備に突き出された彼女の臀部を叩いて乾いた音を響かせた。
「ひぎゃ、っ!? ぁ……っ、ぁ、ぁあ……っ! 叩いた……っ、今、私のお尻を……っ! 信じられない……っ、なんて野蛮な、野蛮で下俗な行為を……っ! あ、あぁ……っ、熱い、叩かれたところが、熱くて……ジンジンして……っ!」
一撃の物理的な痛み以上に、その行為そのものがルクレツィアの積み上げてきた、貴族としての自尊心を粉々に粉砕する。
「ショック状態による、深部体温の上昇を確認。魔力抵抗値が著しく低下している」
彼女の身体が震えるのを、ネメシスは冷静に観察していた。
さらに数本の細い触手が、叩かれた熱を追いかけるようにしてルクレツィアの腹部、胸元、そして喉元へと這い回り、完全に全身を絡めてゆく。
もはや一ミリの身動きも、指先一つ動かすことも叶わない。
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