土地神不明 ⑧
連続更新50日目!
少し抑えるつもりだった
「ん?」
背後から振動を感じる。
どうやら人形はギリギリ生命を繋いだようだった。
「木偶のクセして良く動く」
人形の見た目は木偶という字面の通り体が樹木で出来ているモンスターだ。
少なくとも私は樹木がモンスターとなるほどの伝承を持った存在を知らない。
無知だと言われればそれまでだが流石に妖怪の中で体が樹木で出来ている存在は耳にした事がない。
専門家ならば知っていようが生憎私は専門家では無かった。
木偶の足元を見る。
体が樹木で出来ているのならすぐに地面に根を張って戦闘体勢を構えるだろうがそんな様子はない。
地面がコンクリートだと言う事も関係しているのだろう。
「妖怪や御伽噺で意志を持った樹木の存在は私は知らないんだがな。
それでも弱点は共通して火と決まっていてな?日本では確認されていないが海外ではしっかりと確認されている。
だから火を使ってお前を焼いたんだ木偶の棒!
お前がどんな意志を持ちその姿におおよそ似つかわしくない震える足に頼り立ちあがろうが…………民に対して攻撃をしたからには焼かれて貰わねばならん」
「────────」
だが、と前置きを入れた。
「【眼】を通して分かるよ。お前はモンスターとして産み出される程の神格を得られなかったが歴とした土地を見守る土地神的大木だった事を。
そして何故見守っていた筈のこの街を襲ったのか」
木偶の土地神はじっとこちらを見つめている。
先ほどの戦闘からでも言葉が通じている事は確認出来ている為話を続けた。
「街で子供が消えて行くのを感じた、何とかしたかったそれでも自分はダンジョンのモンスターとして格を得られなかった。
だからひたすら祈った「子供達を助けてくれ」とせめてここで止まってくれと」
「──────」
「だが止まらなかっただから怒った。何故この街の人間はもっと子供を守ってやれないのかとな。
街にも怒りそれ以上に子供達を助けられない自分に怒った時お前はある声を聞いた。
自分という巨木を前にして顔を隠す誰かから「助かる力が欲しいか?」と。今までならば普通に断っていたお前だろうが街と自身に怒っていたお前は簡単に目の前にぶら下げられた甘い果実に飛びついてしまった」
そしてと前置きを入れつつ辺りを見渡す。
「この有様……まぁ最後の一撃に関しては私が全面的に悪い、が!それまではお前の所業だ」
私は動かない木偶に近づき鼻が触れそう程の距離で言い放つ。
「良かったな木偶の棒。神格を得て守る力を得て最初にした事は守りたかった子供達への殺戮だったわけだ──────笑えるな?」
「─────!!!!」
流石に私の言葉に怒ったのか立ち上がり殺そうと腕もとい枝を伸ばした───が
届かなかった。
「私が反撃を想定していなかったとでも?───あぁ勿論動きは封じさせて貰った」
炎の様に揺らめく魔力が木偶の体を纏わりついている。
しかし本物の魔法ではない為体は燃えていない。
木偶より離れた位置にいる私は言葉を続ける。
「だがこの【眼】は勿論お前の行動が本意では無い事も分かっている」
この言葉に木偶は逃れようと暴れていた体の動きを止めた。
じっとしているのは話は聞くつもりらしい。
「力を貰いこれで子供達を助けられると思い使い時を待った。
そしてまた子供が消えようとしていたから力を行使しようとした瞬間力が暴走して今に至ると同時に記憶障害……と」
【眼】を通して見た木偶の成り行きはこれで殆ど事件以前の記憶を覗いたとしても対した記憶はないだろう。
「まだ街に存在する縁の処理は続いている。
直ぐに解決をするだろうがお前が存在している限りモンスターは湧く」
「───────…………」
何やら思う事があるのか木偶も黙った。
「はぁーあまりこういう御膳立てはしない主義だが育った街がこんなにされて無視する事など出来ない。
つまりだ木偶の棒!お前はその力を捨てろ!捨て方が分かるないのなら私が何とかしてやる。
勿論お前の子供を守りたいといつ意志も尊重して今の体より劣化はするが分身を作って活動出来る魔法を用意する。
そうすればこんな力に頼らなくても自分の身で守れるなるし何より納得出来るだろ」
木偶は女帝の言う言葉の意味を理解している。
しているからこそ最後の一撃を貰う前に聞いた「世界相手に戦うのならば万能でなければならん」という言葉を思い出していた。
この言葉が女帝の発言に真実味を持たせ木偶に希望を与えている。
「ァ───────」
必死に人間の声帯を木偶の体で再現してようやく声を絞り出す。
肯定にも否定にもならない掠れた声は女帝の【眼】によってしっかりと真意を汲み取られた。
「世界相手に戦った万能の秘技。
勿体無いが木偶の棒のお前に施してやる」
頭を手を置く。
「矮小だが神格を与えてやる。
この大きい神格があるならば良い形に出来る。
良かったな今度は本当におめでとうだ」
周囲が光で包まれた。
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