災餓の謳歌編 ⑨
連続更新39日目!
遅れましたー!
武器の能力を完全に発揮してからは不規則になった武器の軌道に漸々は反応が遅れる場面が出て来る。
それでもダンジョンマスターとしての身体能力を持って無理矢理解決した。
「楽しいな南坂!!」
「俺は正直もう辞めたいんだがな!!!いい加減疲れた!!!」
「せめてあと5分は付き合え!!初めて戦った相手がお前で嬉しいんだ私は!」
「認められたはずなんだがなぁ!!」
「そう言うな!!遊戯とは長く楽しむものだろお!?」
最初のような殺気に溢れた攻撃の応酬はなくもはや演舞と呼べる雰囲気が漂っている。
「南坂っ!ふっ……!あの観戦している奴らとは!どういう関係だっ?!」
「ただの師匠と!今日会った……!知らん嬢ちゃんだよ!!」
「その!嬢ちゃんと言ってる子供は!ダンジョンの化け物だよ!!!」
「それは分かってる!!」
槍術と棒術ではなく体術も含めた事によってかなり近距離での戦いになる。
それを利用して話をするが声が大きい事もあり耳が良いアリエスと葬盛には筒抜けになった。
楽しく互いを高め合うように棒と槍を交えて20分が経過した頃ようやく漸々が南坂の実力を認め槍を収める。
「ふぅ…………」
「はぁ……はぁ……!」
「疲れているな」
「あんたはどう考えても俺より格上だ、それに手加減した実力と俺の本気が拮抗どころか終始劣っていたよ。
一瞬上回ったがそれでも直ぐに巻き返されたりとかな」
「南坂お前を認める。従う気はないが願いがあれば相応の対価を用意すれば……ふふ応えてやる」
「良い面でそんな事言うの何か腹が立つ」
「え」
下らない言葉を交わしていると離れて観戦していたアリエスと葬盛がやって来た。
「中々面白かったぞ南坂。数年会っていないだけに時間に見合う成長をしていたな」
「っ!姐御ありがとうございます!!!」
「だが私の元ならばもっと強くなれていた」
「……ゔっ」
「冗談だ責める気はない。寧ろ1人で対人限定ながら栞を超えているのには正直驚かせてもらった。
何か……欲しいか?弟子の成長を祝うんだ。多少の我儘は聞いてやる」
「えっえぇ??そんな急に言われてもっ」
「主様話が脱線していますよ」
「…………そうだったな、悪い南坂話は後だ」
「うす!!!」
葬盛が漸々の顔を見据える。
自身のより30㎝も大きい漸々を見上げるのは首が辛いのかやや顰めっ面になった。
「約束通りダンジョンの外に着いて来てもらうぞ」
「分かっている。私が南坂を認めたのだから潔く約束は守らねば恥をかく」
余裕のある顔で葬盛からの質問に答える。
「ならこのダンジョンから出る前に聞きたい事がある」
「何だ?」
「ダンジョン外のモンスター……私達はイリーガル種という名前で呼んでいます。
そのイリーガル種の見た目はどのような見た目でしたか?」
「見た目?確か人型の黒い骨と黒い液体状のモンスター……後は白色の影?」
「「はぁあ???」」
思わず私と葬盛の声が出て揃う。
影とは本来白い物ではなく黒い物。
どんなに色鮮やかな光を物体に当てようと出来るのは黒い影。
それなのに漸々の口から出てきた言葉は白という黒とは正反対の色。
流石に私とて変な声も出る。
「白い影とはどう言う事だ?意味が分からない」
「説明をしろ」
「説明を求められても白い影とは形容出来ない存在だったんだ。
黒いはずの影が白色で地面を這いずり回っていて地面を隆起させたり光線を撃って来たりと見かけによらず多彩な攻撃手段を持ってて苦労したんだ。
地面にいる訳だから常に下を見て気を配らないと行けない戦い辛さを想像出来るか?視覚的にひたすら疲れる相手だったんだ」
「…………特徴を聞いてもどんな伝承のモンスターを含んでいるのかさっぱり分からん」
「主様もしかしたら私同様伝承にならないような存在を掛け合わせているのかも知れませんよ」
「ふーむ。だが世の中には必ず相性という問題に直面するものだが伝承にすらなっていないから相性もクソもない……という考えは流石に暴論か?」
「意外にあり得るかもしれませんね」
「意外というか何というか……葬盛を見てると色々とな」
「何かそれ私を無法の塊みたいな認識になってません?」
「変な言い方になるが私に勝てる段階でこの人間達が住む世界では無法と良い所だぞ」
「そこまで言いますか?」
軽口を叩き合っていると漸々が口を開いた。
「取り敢えずこのダンジョンは閉じない。そしてお前達に協力するという流れでいいんだな?」
「そうだ。出来れば広く捜索したいから漸々は私達とではなく南坂と一緒に行動してくれ」
「ふっ!それならいつでも武を交えられる!大女良い判断だ─────」
ガシッ!!!!
漸々の顔を有らん限り力を持って掴み持ち上げる。
「言わなきゃ駄目か?これでも私は女なんだよ……確かに背は大きいが無駄な物を削ぎ落とした結果細いと自負している。
流石に私も怒るし一線を超えれば私の横にいる葬盛が格上でありながら格下の私に従う要因を引き連れて来てやるからな?そこに関しては私は恥を捨てるぞ」
「……………………ふむ!」
諦めたような元気な声が聞こえる。
次の瞬間私は漸々の頭地面にめり込ませていた。
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