災餓の謳歌編 ⑦
連続更新37日目!
「勝つだけならばそこの同胞だけで充分だろう。
しかしそれでは私は認められない。認められたいのならばそこの男だ。大女もいらん一目で強いと分かるからな。
ただの人間がダンジョンに挑んでこそ認められるべきなのだ」
「お主は中々厳しい性質なのだな」
「試練を与えるのならば全てこうでなければならんと思っている。
そんな事よりやるのかやらんのかどっちだ男」
「っ!!!」
南坂へ直接指名
幾らSランク相当の力を手にしたとはいえ単独でボスに勝つのはかなり骨が折れる。
しかもそれは通常のボスの場合だ。
目の前のボスはボスとしても別格
Sランク1人でどうこう出来る次元ではない。
そんな事は葬盛も私もボスである漸々も分かっている。
「だからこそ試練……か。どうする南坂お前はやるのか?」
「当たり前だぜ姐御!!!試練だというのなら受けるのみ!!
そもそも俺はこのダンジョンにリベンジしに来たんだ!甘んじて受け入れる!」
「良い心意気だ名を聞いておこう」
「南坂豪毅!!」
「改めて紅空漸々だ。武器を取れ試練を始める!」
「主様」
「そうだな試練を見るだけの外野は離れていよう」
2人から距離を取り傍観に務める。
南坂は背中から自身の武器である棒を取り出す。
棒と言ってもただの棒ではなくしっかり職人達の手によって加工された特注品。
ひたすら持ちやすさと硬さに振り切った逸品で例え葬盛が本気で地面に叩きつけても僅かに歪む程度に収まる。
「対する漸々は……槍か」
「馬鹿の攻撃範囲はどちらも互角、だがボスである漸々は刃物がある分有効打という面では勝っている」
「南坂は南坂で刃物が付いていないからな攻撃を拘らず出来る自由さが優っていると言える。
武器術の勝負となるなら案外良い勝負になるかもしれん」
「主様のおっしゃる通りかと。
私の剣術は本職の方々と比べればお粗末……しかしそれでもある程度は戦える。
南坂の棒術の心得がどの程度なのか」
「見ものだな」
☆
「ふっ!!!」
「ふん」
ガキンッ!
「何という素晴らしき武器!」
「ほぼ全財産叩いて作ってもらった特注品だぁあ!!」
樹木の柔性、金属の剛性
両方の性質を魔力によって掛け合わせた特殊樹木鉱石がある。
それを更に超高温と超大量の魔力を注ぎ込む事でインゴットになり『樹木鉄』に変化、ようやく加工のスタート地点へと至る。
一流の職人が十数人掛かりでインゴットを叩き棒状にする。
型に流し込めばと思うがそもそも液状にならない為叩き上げにしなければならない。
『樹木』の性質を持つ為か見た目はただの木。
それでも鉄のように硬く、鉄より扱いが遥かに難しい。
それだけなは何とでもなった。
問題は超大量の魔力の注入
魔法特化ハンターが魔力を何度も注ぎ込んでようやく加工が始められる。
そんな大層な代物の値段はおよそ5億円。
鉄の剛性、樹木の柔性、更に魔力を込めれば最悪破損した時でも再生する能力付き。
つまり実質的な不壊属性
銘は不壊の樹鉄
武器に心の底から身を預けられる南坂の攻撃は苛烈極まる物となった。
「らぁぁぁあぁあぁぁあ!!!!!」
「ふむっ!」
持ち手を逆に変え放った一撃を漸々は体を逸らして避ける。
南坂は一歩前に進み持ち手を短く持つと即座に漸々に対して振り抜く。
「おっと」
「ちっ」
武器の軌道に合わせ一回転をした漸々は南坂を睨む。
「想像以上に相手に時間を与えない戦い方が上手い。
少なくとも私に対して怯えず武器を振るうだけで前に立つ資格は充分」
「御託は良い!!試練なんだろ?!!掛かって来いや!!」
「逆だお前が私に挑むのだ」
「そうだったな!!!」
漸々との距離を詰めて不壊の樹鉄を振るう。
すぐさま右手を左手から遠ざけ、横に振り抜いた。
「ちっ!」
ガンッ!
危なげなく防ぐ
しかし流石に漸々も槍を突き出して攻撃する。
漸々の槍にな少しだけ特殊な仕掛けがある。
それは持ち手のなる部分に一個だけ指を通す枠が付いているのだ。
その為突きを放っても手の力を抜き片手だけを動かせば即座に突きを放つ前の体勢に戻せる。
それ故に漸々の連続攻撃は脅威となり南坂の肌に傷をつけついく。
「ぐっ!」
「どうした!その程度か!!貴様が培って来た技はそんなものか!!」
「ぐっっっ!!!!なわけあるかぁあ!」
不壊の樹鉄の下を持ち、腕を持ち攻撃しない時間を作らないように次に行動を繋げる。
そのおかげでもあり漸々の攻撃は浅い傷に収まっている。
「華美な技魔法に頼らず棒術のみで私に挑む気概……良し!だが認めるにはまだ青い!」
「?!」
ドッ!!
漸々も槍を振り回して持ち手で南坂を殴り飛ばす。
そのまま放っておく訳もなく吹き飛んだ南坂との距離を詰める。
「くそ!」
「ふっ!!!」
漸々の攻めが徐々に苛烈になって行く。
刃を使い持ち手を使い2種の攻撃方法によって確実に南坂の行動を制限して行った。
「葬盛お前はこれをどう見る」
「武器の特性だけなら総合的に見て互角。
しかしながら単純な身体能力の差だけではなく技の駆け引きにも差が出始めています。
このままはあと数分で詰んでしまいますね」
「それまでに南坂はこの状況を打開出来るかどうか…………」
「ご心配で?」
「最後まで面倒を見たわけじゃないが一応弟子なんだ。
負ける姿はあまり見たくない」
「なら主様も私に追いつけるよう頑張らねばなりませんね」
「その説教口調むず痒いな」




