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両片想いでラブコメで!~想い人一筋なのに、隣人の金髪碧眼美少女がやたらとちょっかいかけてくるんだが?~  作者: 咲来青
第5章

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第15話 従者三名、アイテムを持って合流する

 気持ちを切り替え、再び、どのポーズから撮ろうかと、三人でメモ(当然、最後の方の指示はスルーだ)を見ていると。


「おーい、結太ーーーっ! 撮影は順調に進んでるかーーー!?」


 パラソルを肩に(かつ)ぎ、東雲が歩いて来るのが見えた。

 後ろには、鵲と国吉もいる。

 鵲は、風呂敷で包まれた四角形のお重のようなものを両手に抱え、国吉は、ピクニックバスケットを左手に提げ、クーラーボックスを肩に掛けていた。


 結太は三人に駆け寄って行き、


「それがさー、聞ーてくれよー。イーリスのヤツ、知り合いから、とんでもねー指示されてやがってさー」


 メモの最後の方に箇条書きされていた、〝筋骨隆々の男性〟のポーズ(シーン?)指示のことを、手短に説明する。


 東雲はビーチパラソルを広げ、スタンドにセットしながら、その話を聞いていたのだが、


「ゲ――ッ! そりゃ最あ……っ、あ、いや……コホン。藤島様のお願いなら、聞ーて差し上げてー気もするんだが……さすがに、そりゃー無理だなぁ。俺の恋愛対象が男で、相手がサギってんだったら、話は違ったのかも知んねーが……。残念ながら、俺の恋愛対象は女だしな。そーゆーのは勘弁してほしいぜ」


 そう言うと、(わず)かに顔をしかめた。

 隣では鵲が、うんうんうんと、しつこいくらい首を縦に振っている。


 イーリスは真っ赤になって、


「ちょっと、結太ってば! あれは、向こうのおふざけだったって言ったでしょ!? アタシをからかって面白がってただけなんだから、メモの後ろの方のポーズは、撮る必要ないの! さっさと忘れなさいよね!」


 結太を恨めしそうに睨みつけてから、ぷいっとそっぽを向いた。

 国吉は、クーラーボックスの(ふた)を開け、お重と、バスケットから取り出した、ラップに包まれたサンドウィッチを入れると、


「昼食はクーラーボックスに入れておきました。昼になったら食べるとしましょう。――お嬢。そのメモとやらを、見せてくださいませんかね?」

「――は?……ま、まあ……べつにいいけど……」


 イーリスからメモを受け取り、しばらくの間、書かれている内容に目を走らせる。

 それから顔を上げ、


「んじゃー、さっさと始めちまいましょうか。まずは、〝高校生くらいの少年が海に向かって叫んでるところ〟ってヤツから行くとしましょう。――楠木様。ご協力いただけますか?」


 国吉にいきなり声を掛けられ、結太は『へっ?』と驚きの声を上げてしまったが、内容を理解すると、無言のままうなずいた。

 イーリスはムッとした顔つきで、


「ちょ、ちょっと国吉! 勝手に仕切らないでよ! 頼まれたのはアタシなのよ?」


 気に入らないと言うように、両腕を組んで胸を張る。


 (あるじ)を差し置いて、従者が仕切るとは何事だ?――と言うことなのだろう。

 自尊心を傷付けられ、()ねているのだ。


 国吉は苦笑して、


「お嬢に任せておいたら、とてもじゃないですが、一日じゃ撮り終わりませんぜ? 島での貴重な時間が少なくなってしまいますが……それでもいいんですか?」


 探るように、イーリスに流し目を送る。

 イーリスはうっと詰まり、微かに顔を赤らめた。


「わ、わかったわよ。不本意だけど、ここは国吉に仕切らせてあげる。――結太。悪いけど、海に向かって叫ぶって感じのポーズ、お願い出来る?」

「え?……あ、ああ。わかった」


 結太はその場で両足を肩幅くらいまで開き、両拳を握ると、海に向かって叫ぶフリ――大きく口を開けた。


 国吉は、いつの間に用意したのか、ファインダー付きデジタルカメラを結太に向けて構え、ファインダーを覗き込みながら、


「楠木様。口を開けただけでは、どうにもわざとらしい――不自然な感じに見えてしまいますので、実際に、何か叫んでみていただけますか?」


 アドバイスを送るが、いきなり『何か叫べ』と言われても、どう叫んだらいいのかわからない。結太は困って、拳を(あご)に当てて考え込んだ。

 すると、


「好きな人の名前でも叫べばいーんじゃねーのかぁ? 『〇〇さーん、大好きだーーーーーッ!!』……とかってよ」


 ニタニタ笑いながら、東雲は結太に茶々を入れる。


「な――っ、何バカなこと言ってんだよトラさんッ!? 茶化してんじゃねーよッ!!」


 すかさず真っ赤になって言い返し、結太はチラリと、桃花の顔を窺った。

 とたん、目が合い、桃花はハッとしたように目をそらす。



(わぁあああーーーっ、トラさんのバカヤローーーーーッ!! 伊吹さんに誤解されちまったらどーしてくれんだチックショォオオオオッ!!)



 恥ずかしさと、桃花に目をそらされたショックで、結太は思わず涙ぐむ。


 彼女が目をそらしたのは、当然、結太の好きな人が〝自分以外〟であると思っているからなのだが。

 妙な誤解をされてしまったかもしれないと、焦る結太なのだった。



 結太は、改めて海に向かって仁王立ちし、東雲に対する怒りを込めて、


「トラさんのバッカヤロォオオオオオオーーーーーーーッ!!」


 腹の底から、力の限り叫んだ。


「おっ。いいですねぇ、楠木様。その調子でお願いします」


 国吉は、ファインダーを覗き込みつつ声を掛けると、少しずつ場所を移動しながら、結太の姿を連写し始めた。

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