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両片想いでラブコメで!~想い人一筋なのに、隣人の金髪碧眼美少女がやたらとちょっかいかけてくるんだが?~  作者: 咲来青
第5章

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第12話 イーリス、遅れた結太らに文句を言う

「あっ、やーっと来た。――もう! 遅いじゃない! どーしてこんなに時間掛かったワケ!?」


 海辺に着いたとたん、イラついたようなイーリスの声が飛んで来た。

 イーリスと桃花は、こちら側に背を向けた状態で、砂浜に敷いたレジャーシートの上で、身を寄せ合うように座り、日傘で相合傘(あいあいがさ)している。


 今日も晴天だ。

 真夏の太陽が燦々(さんさん)と照り付けている中、ビーチパラソルも用意していない砂浜で、長いこと待っているのは、相当辛かったのだろう。


 悪いことしたなと思いつつも、


「しょーがねーだろ? 急いで来よーと思ったけど、トラさんが、『写真に写るなら、やっぱシャワー浴びて、汗流してさっぱりしなきゃだろ!』つって、引き返してっちまったんだから!」


 結太はムスッとした顔で、隣の東雲を一瞥(いちべつ)する。

 東雲は頭を掻きつつ、ヘラヘラ笑って。


「いや~、すいませんねぇ。ヘリでひとっ走りして来たばかりだったんで、汗だくだったんですよ。モデルになるってのに、髪がベッタベタのままじゃ、みっともねえと思いまして」


 イーリスは桃花に日傘を預け、すっくと立ちあがると、こちらを振り返った。

 いつの間にか、水着に着替えている。昨日の水色のビキニではなく、鮮やかなオレンジ色のビキニだ。


「あら。モデルなんて、ポーズさえわかればいいのよ? 顔はそれほど重要じゃないの。汗だくだの何だのって、気にする必要なかったのに」


 イーリスの一言に、東雲は、『えっ? そ、そーなんっすか?』と、いささかショックを受けているようだ。

 カッコイイ写真を撮ってもらえるものと、勘違いしていたのかもしれない。


 イーリスは、結太と東雲の周囲へ目を走らせ、


「それより、他の二人は? 国吉と鵲さんはどーしたの? アタシ、三人連れて来てって言ったわよね?」


 約束が違うじゃないかとでも言いたげに、結太をギロリと睨む。

 結太は内心で『ヒィッ』と悲鳴を上げ、慌てて、国吉から頼まれたことを伝えた。


「お弁当……。なるほどね。さすが国吉、気が利くじゃない。確かに、昼食のために別荘に戻るのも面倒だし。……いいわ。それじゃ、まずはこっちの写真から撮っちゃいましょ。――いい、桃花?」


 まだ隣で座っている桃花を見やり、イーリスが告げると、桃花はビクッと肩を揺らし、


「え……。でも、あの……。イーリスさん、ホントにこれで……写真、撮るんですか……?」


 恐る恐る顔を上げ、消え入りそうな声で訊ねる。


 桃花は結太達に背を向け、体育座りで縮こまっているので、パーカーを羽織っている後姿しか、まだ見えていないのだが。

 あの様子とセリフから考えるに、パーカーの下にはやはり、水着を着ているのだろうか?


 そんなことを思いながら、結太はソワソワと落ち着かない心持ちで、二人の様子を窺う。


「当たり前でしょ? それは、桃花にしか頼めないことなんだから。……まあ、アタシが着てもよかったんだけど……サイズがねぇ、合わなかったのよ。それ、小学生用だったみたいで、家で試しに着てみた時、お尻も胸もキッツキツだったの。あんなの着てたら、数分と持たずに倒れちゃうわ」


 イーリスは、そう言って肩をすくめた。

 桃花は『小学生用』という漢字四文字が、相当ショックだったのか、ますます体を丸め、


「……ショウガクセイ、ヨウ……。ショウガクセイ……ショウガクセイ……ショウガク……セイ……」


 同じセリフを、小声で延々とつぶやいている。

 結太は、無神経なイーリスに少々腹が立ったが、ここでケンカになってはマズいと、ググッと堪えた。


 イーリスは桃花に向かって手を合わせ、神社で願い事をする時のように頼み込む。


「だから……ねっ? お願いよ桃花。アタシのためじゃなく、アタシの知り合いのためだと思って、協力して? もちろん、後でお礼はするわ。知り合いから、バイト代を出してもらってもいいし。――もともと、あっちがお願いして来たことなんだから。報酬(ほうしゅう)くらい、払うのは当然だもの。……そーだわ。こっちが高校生だからって、タダで使おうなんて……考えてみたら、調子が良過ぎるわよね」


 途中でタダ働きに気付き、今更ながら、安易に引き受けてしまったことを、後悔し始めたらしい。

 イーリスは腕組みして仁王立ちし、ブツクサと文句を言い始めた。


 結太は桃花が何を着ているのかが気になり、先ほどから、チラチラと彼女を窺っているのだが。

 桃花は、下に着ている服(?)がよほど恥ずかしいのか、パーカーを胸の前で重ね合わせ、小さく小さく縮こまっていた。



 『ここで後悔していても始まらない』という結論に達したのか、イーリスは再び桃花に目を向けると、


「とにかく、引き受けちゃったものは仕方ないわ! お願いよ桃花! ここは、アタシの顔を立てると思って、協力してちょうだい! どーっしても恥ずかしいってゆーなら、撮ってる間は、男性達には後ろ向いててもらうとか、後ろ向いたまま、人間の壁になっててもらうとか、いろいろ考えるから! だから……ねっ? お願いよ桃花! 桃花にしか頼めないの!」


 拝むように両手を合わせたまま、ペコリと頭を下げる。


 ここまで言われてしまっては、桃花も、協力しないわけには行かないと、腹をくくったようだ。

 そろそろと立ち上がり、思い切ったようにパーカーを脱ぐと、軽くたたんで、レジャーシートの端の方に置いた。

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