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両片想いでラブコメで!~想い人一筋なのに、隣人の金髪碧眼美少女がやたらとちょっかいかけてくるんだが?~  作者: 咲来青
第5章

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第11話 結太、従者三名を呼びに行く

 イーリスに、『トラさん達に頼んで、連れてってやる』と約束してしまった結太は、まずはダイニングを覗きに行き、そこにいないとわかると、隣にあるキッチンを覗いた。


 そこには鵲と国吉がいて、野菜を切ったり、ボウルで何かを泡立てたりと、(すで)に、昼食の準備に取り掛かっているようだった。

 結太は、早速国吉に、イーリスに頼まれたことを告げると、彼は苦笑して頭を掻き、


「ああ……〝ポーズ集のモデル〟ですか。確かに、ここに来る前におっしゃってましたね。……でも……うぅ~ん……。そりゃあ、ちょっと……。ん~~~、難しい……かも、しれないですねぇ……」


 困っているような、心配しているような、微妙な顔つきで考え込む。


 結太はきょとんとして、『何が難しーんだ?』と思いつつ首をかしげたが、それに気付くと、国吉は再び苦笑して、


「いや、まあ……何と申しますか。こればっかりは、訊いてみないとわかりませんしねぇ」


 などと言い、握っていた包丁を、コトンとまな板の上に置いた。


 何か含むものを感じ、詳しく教えてもらおうと、結太が口を開いた瞬間。

 不安げに顔を曇らせた鵲が、


「モデル……って、顔も写らなきゃダメなんでしょうか?」


 妙に沈んだ声で訊ねる。

 国吉は目を(しばたた)き、


「え?……さあ? それは……撮るポーズにも、よるんじゃないですかね?」

「……そう、ですか……」


 ただでさえ低い鵲の声が、ますます低くなっている。

 どうやら、顔を撮られることを気にしているらしいが、その気持ちは、結太にも理解出来た。



 鵲は、とても優しい心の持ち主だ。

 やや気の弱いところもあるが、仕事は丁寧(ていねい)だし、人当たりも良い。


 しかし、強面(こわもて)で体格も良く、身長も高い彼は、初見で『怖い』『ごつい』と思われてしまうことが多かった。

 それがコンプレックスになっているので、写真を撮られることに、あまり積極的になれないのだろう。


 結太も、生まれつきの仏頂面のせいで、写真を撮られることが、あまり好きではない。

 同じようなコンプレックスを抱えた二人は、わかり合える関係だった。



「ダイジョーブだって、サギさん! ポーズってことは、体の方が重要なんだろーし。顔まで撮るってことは、きっとねーって」


 気が重いのか、体を丸めてしまった鵲を(はげ)ますため、わざと明るめの声で言ってみる。

 鵲は微かに笑い、『そうだね』と覇気(はき)のない声でつぶやいた。




「時間が掛かりそうですから、弁当を作って持って行きますよ。そうすりゃ、わざわざ昼飯食いに、こっちに戻って来る必要もないでしょう? 出来るまで少々お時間いただきますが、出来たらすぐ行きますからって、お嬢にお伝えしておいてくださいますか?」


 国吉に頼まれた結太は、一人でキッチンを後にした。

 そこからまっすぐ、部屋で休息を取っているという東雲を誘うため、彼の泊まっている部屋を目指す。


 東雲と鵲が利用している部屋は、龍生の部屋のすぐ横にある、少し大きめの部屋だ。


 ちなみに、国吉は二階の一室を使用している。

 いくら広めとは言え、大人の男(しかも揃って大男だ)三人で一部屋に泊まるというのは、むさいし、暑苦しいという話になったのだそうだ。




(トラさん、眠ってんのかな? ヘリの操縦って、かなり神経使うって話だし……眠っててもおかしくねーっつーか、無理ねーよなぁ。……う~ん……。眠ってたら(わり)ぃーけど、トラさんだけ連れてけないってなったら、またイーリスがギャーギャー言いそーだし……)



 部屋の前まで来ると、結太はそんなことを考えつつ、しばし、ノックするのをためらっていた。

 すると、いきなりドアが開き、


「おっ? 結太じゃねーか。どーしたんだ、こんなとこで?」


 眠そうな顔で、頭をガシガシ掻きながら、東雲が廊下に出て来た。

 結太は『ナイスタイミング!』と心で手を叩くと、彼の左腕を両手で素早くつかむ。


「ちょーどよかった、トラさん! 疲れてっとこ悪ぃーけど、オレと一緒に海に来てくれ!」

「へっ?……一緒に? 海に?……ってまさか、また何かあったのか!? 今度は誰が落ちたってーんだ!?」


 たちまち顔色を変えた東雲は、結太の肩に両手を置いて、前後に大きく揺さぶった。


「ち――っ、(ちげ)っ、違ーん、だっ、よっ、とっ、トラ、さんっ! こ、今度はっ、そーゆー、ことっ、じゃっ、なくっ、てっ」

 

 結太はぶんぶん揺さぶられながら、何とか声を絞り出す。

 その言葉にハッとなった東雲は、ようやく揺するのをやめた。


「え、違う?……また誰かが海に落ちたとか、(おぼ)れたってことじゃねーんだな?」


「違ぇーよ! イーリスにモデルを頼まれたんだよ! 知り合いが、漫画描くのに必要だってんで、ポーズ集だか何だかが欲しいって話でさ。それ撮るの、協力してほしいって言ってんだ。イーリスと伊吹さんは、先に海行って待ってる。サギさんと国吉さんは、弁当作って、後から来るってさ」


 東雲は胸元を押さえ、大きなため息をついた。

 また何事か起こったら、すぐさま、龍生に知らせに行かなければいけない。そうではないことがわかって、ホッとしたのだろう。


「……けど、何なんだよその、ポーズ集?――ってのは? 漫画家が……えーっと……何だって?」


 イマイチ、状況が把握(はあく)出来ていないようで、東雲は怪しむように眉をひそめる。

 結太は再び彼の腕をつかむと、


「とにかく、一緒に来てくれよ! 行けば、イーリスが説明してくれっから!」


 ()くように告げた後、強引に腕を引っ張り、エントランスへ向かった。

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