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両片想いでラブコメで!~想い人一筋なのに、隣人の金髪碧眼美少女がやたらとちょっかいかけてくるんだが?~  作者: 咲来青
第5章

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第10話 イーリス、大きな荷物を持って現れる

 部屋から出て来たイーリスは、パンパンに(ふく)れたファスナー付きのトートバッグを、重そうに両手に提げていた。

 それを見た結太は、


「……あれ? イーリス、そんなバッグ持って来てたっけか? 両方、俺が持たされたのとは違うバッグ……だよな?」


 島に着いて早々、強引に押し付けられた大きなバッグを思い出しながら、困惑顔で訊ねる。

 イーリスは、『よくぞ訊いてくれました』とでも言いたげに、ニヤリと笑った。


「結太に持ってもらったのは、アタシの着替えとか、化粧品なんかが入ってたバッグよ。こっちのバッグは、国吉に預けておいたバッグ」

「――って、どんだけの荷物持って来たんだよ!? まさか、一週間分の着替えとか言わねーだろーな!?」



(別荘には洗濯機もあるんだし、一週間分なんか必要ねーだろ! 二~三着でジューブンじゃねーのか?)



 呆れて結太が心でツッコむと、イーリスはバッグを下に置き、腕組みして反論して来た。


「はあ!? 洗濯機があろうとなかろうと、服は毎日替えるわよ! 当たり前でしょ? 何日も同じデザインの服を着るなんて、オシャレな女子としてはあり得ないわ!――ねっ? 桃花もそー思うでしょ?」

「えっ?」


 いきなり話を振られた桃花は、大きく目を見開き、数秒間静止した後。

 恥ずかしそうに顔を赤らめ、小さく縮こまった。


「あ……あの……ごめんなさい。わたし……四着しか、持って来てない……です……」


 イーリスの『オシャレな女子としてはあり得ない』発言を聞き、自分は女子失格だとでも、思ってしまったのだろうか?

 蚊の鳴くような声で答える桃花に、イーリスは、『あ……あ、そう……』とだけ返し、それきり沈黙した。



 しばし、廊下に気まずい空気が流れる。



 マズいと思ったイーリスは、


「ま、まあ、それはともかく。……う、海に行くわよ、海に! 撮りたい写真、いーっぱいあるんだから! こんなところでモタモタしてたら、時間がもったいないわ!――ほらっ、結太、早くバッグ持って! さあさあ、桃花も行くわよーーーっ!」


 結太にバッグを持つよう指示し、自分は桃花の手を引いて歩き出す。


「えっ、ちょ――っ! またオレが荷物持ちかよッ!?」


 慌ててバッグを両手に提げ、結太も二人の後を追う。

 階段を駆け下りて行く背に向かい、


「オレは、イーリスの荷物持ちするために、ここに来たんじゃねーんだぞっ!? おいコラッ! 聞ーてんのかイーリス!? イーリスってぇーーーッ!」


 大声で呼び掛けながら、階段を駆け下りた。

 階段の下で待ち構えていたイーリスは、彼からバッグのひとつを奪い取ると、


「ありがと。――じゃ、アタシと桃花は、先に海に行ってるから。結太は、国吉と秋月家のボディガードさん達を連れて、後から来て?――わかった? 必ずみんな連れて来るのよ?」


 念押しするように命じてから、右手にバッグ、左手で桃花の手を引いて、さっさとエントランスへ向かう。


「えっ? ちょ、ちょっと待てよ! ボディガードの人達も、って……。撮影会、オレ達三人でってことじゃねーのか? まさか、トラさん達に、撮ってもらうつもりじゃねーだろーな? だったら反対だぞ! 大人はいろいろ、片付けなきゃいけねー仕事ってもんがあるんだ。お嬢サマの気まぐれなお遊びに、付き合ってる暇なんかねーんだからなっ!?」



 特に東雲は、龍生達を向こうの島に送り届けたばかりで、疲れているに違いない。

 龍生がここにいない今、彼らのことは自分が守らなければと、結太は考えていた。



 勢いで、『お嬢サマの気まぐれなお遊び』などと言ってしまったので、また噛み付いて来るかと思っていたのだが。

 予想に反し、イーリスは真顔で振り向いて、


「違うわよ。撮らせようと思ってるんじゃなくて、彼らには、モデルになってもらいたいの。――前から、知り合いに頼まれてたのよ。『漫画を描くために、ポーズ集みたいなものが欲しいんだけど、思うようなポーズが、なかなか見つけられなくて困ってる。いっそ、自分で撮ろうかとも思ったんだけど、知り合いに、モデルになってくれるような、大人の男性がいない。もし、あなたの知り合いに、大人の男性がいるなら、モデルになってくれるよう頼んで、撮って来てくれないかしら?』って」


 東雲達にも来てもらいたい事情(わけ)を、淡々と話す。

 結太は目をぱちくりさせ、


「あー……。なんだ、そっか。そーゆーこと、か……。じゃー、まー……しゃーねーな。トラさん達に頼んで、連れてってやるよ」


 首の後ろを掻いて、口をモゴモゴさせながら承諾(しょうだく)した。

 イーリスはフッと笑って、『じゃあ、お願いね』とだけ言うと、桃花の手をグイグイ引っ張り、外に出て行った。


 一人残された結太は、



(ポーズ集の撮影……って、どんなんなんだろーな? 知り合いに、『漫画を描くため』って言って頼まれた……って話だったけど……。ってことは、イーリスの知り合いって、漫画家なのか?……モデルの次は、漫画家かぁ……。イーリスくれーのお嬢サマともなると、やっぱ、交流関係も(ひれ)ぇーんだな。……スゲーなー、お嬢サマって……)



 しみじみと、人気職業の知り合いがいる彼女を、羨ましく思っていた。

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