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両片想いでラブコメで!~想い人一筋なのに、隣人の金髪碧眼美少女がやたらとちょっかいかけてくるんだが?~  作者: 咲来青
第4章

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第16話 結太、キス以外未経験の龍生に安堵する

 龍生と咲耶が、キス以上のことはしていないと知り、結太は意外に思うと共に、ホッとしていた。

 正直なところ、幼馴染である龍生が、一人だけ大人になって行ってしまうことに、寂しさも感じていたし、焦ってもいたからだ。


 龍生は名家に生まれ、幼い頃から、かなり年の離れた大人達に囲まれて育ったせいか、いつも、実年齢より上に見えていた。

 知識も豊富だし、常に落ち着いていてスマートだし、女性を前にしても、あがったり浮かれたり、ガッツいたりもしない。


 本当に同い年なのかと首をかしげてしまうほど、結太から見たら、彼は〝大人な男〟だった。



 しかし、違った。

 彼も普通の男――結太と同じ、普通の高校二年の男子だった。



 いつも、一歩も二歩も先を歩いているように見えていた龍生が。

 今、『俺だって、咲耶が初めての人なんだ』と言って、恥ずかしそうに頬を赤らめている。


 それが、結太にとっては新鮮だった。

 滅多なことでは素顔をさらすことのない、彼のちょっとした()の部分を垣間(かいま)見た気がして、なんだか、すごく嬉しかった。


 今の龍生を、〝ギャップ萌え〟女子が目にしたなら、たちまち〝キュン死〟していたかもしれない。



(そっか。……そーだよな。龍生、あんだけモテてたのに、ガキん時から、保科さん一筋だったんだもんな。他の女子には目もくれず、一途に想い続けてたんだから……そりゃ、保科さんが〝初めての人〟に決まってっか。保科さんと付き合う前までは、付き合った経験一度もなかったのは、オレと一緒なんだ。だったら、まあ……キス以上のこと、どーやってすればいーのかなんて、わかんねーよな。……ん? でも……キスは経験済み、なんだから――……)



「なあ。キスってどーやるんだ? する時、歯とか鼻とか、ぶつかっちまったりしねーの? 女は目つむるとかって聞くけどさ、男は開いてていーのか?」


 素朴な疑問を投げ掛けると、龍生は一瞬目を見開いたが、すぐに呆れた顔つきになり、軽く額に手を当てた。


「まだ訊くか……。おまえも相当しつこいな」

「……だってさ、キスは経験済みなんだろ? それ以上のことはいーからさ、キスのこと教えてくれよ。本番で失敗しちまったら、カッコ(わり)ぃーじゃん」


 いつの間にか、膝をついていた状態から、正座に座り直した結太は、真剣な顔で龍生を見上げる。


「頼む! ちょっとした注意とか、そんなもんでもいーから教えてくれ!」

「……注意、って言われてもな……」


 龍生はほとほと困り果て、背もたれに寄り掛かった。



 幼馴染とは言え、何故、そんな恥ずかしいことを、わざわざ教えてやらなければいけないのだろう?

 だいたい、『失敗したらカッコ悪い』からと言うが、自分だって、誰かに教えてもらったわけではないのだ。



 初めてのキスは、咲耶からだったが……。

 二度目のキス――自分から初めてしたキスは、どんな感じだったろうか?


 ……正直、キスだけならば、既に数え切れないほどしてしまっている。

 どのキスが初めてだったのか……今はもう、思い出せないくらいなのだ。



(しかし……さすがに今日のキスは、咲耶には早かったらしいな。あんなに強く、近付くことすら拒否されるなんて思わなかった。……『今はまだダメ』……か。ならば、いつになったら『ダメ』ではなくなるんだ?)



 今日、二人きりの別荘で咲耶とした、初めてのキスを思い返す。


 ……初めてと言っても、ただのキスのことではない。

 ()()()()()のことだ。



 龍生と咲耶は、今日初めて、大人のキス――唇を重ねるだけではない、()()()()()()()を交わした。



 交わした……と言っても、咲耶は受け入れる側だ。

 積極的に仕掛けたのは、龍生の方だけだった。



 それと言うのも。

 どうやら咲耶は、大人のキスの存在を、()()()()()()()()らしいのだ。

 今日は、初めて知る大人のキスに、ただただ驚いて、体を固くしていた。


 そしてなんと――最後には、気を失ってしまったのだ。



(恋愛事には(うと)い人だと、わかってはいたが……。まさか、あれほどとはな。キスで気を失う人間がいるだなどとは、思ってもいなかった。いったい、どんな育ち方をすれば、あそこまで、男女のことに無知でいられるんだろう? 今時は少女漫画でも、過激な描写が多いと聞くが……。まあ、どこに置かれていたとしても、あの手の本は、咲耶は読まないか。何せ、愛読書はプラトニック系のGL(ガールズラブ)小説か、冒険小説か、推理小説……辺りだそうだからな。……だが、その手の小説にだって、ラブシーンが出て来ることはあるだろうに。……まったく。今までどんな本を読んで来たんだか……)  



 結太そっちのけで、咲耶のことを考えていた龍生は、『なあッ!!』と結太に大声を出されて、ようやく我に返った。


「オレのこと無視して、ボーっとしてんじゃねーよ! どーせ、保科さんのこと考えてたんだろーけどさ!」



 ……図星だ。



「それは違うな。おまえにアドバイスするとしたら、どう言えばいいのか考えていたんだ」


 結太に見抜かれるようでは、俺もまだまだだな――などと思いつつ、一応ごまかしてみる。

 結太は『えっ? 教えてくれんのか!?』と言って、瞳を輝かせた。



 龍生は『相変わらず、単純な奴だ』と心でつぶやいて、


「キスするときは、顔をどちらかに(かたむ)けて、目を開けたまましろ。そうすれば、目測を誤って、鼻や歯をぶつけることもない」


 一番基本的な、誰でもすぐにわかりそうな、どうでもいいアドバイスを送った。

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