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両片想いでラブコメで!~想い人一筋なのに、隣人の金髪碧眼美少女がやたらとちょっかいかけてくるんだが?~  作者: 金谷羽菜
第3章

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第16話 結太、桃花に怪我がないか心配する

 結太は桃花に手を貸し、ゆっくり立ち上がらせると、顔を真っ赤にさせつつも、神妙(しんみょう)な様子で謝った。


「ホントにごめん、伊吹さん! 頭とか背中とか、痛くねー? もし痛いんだったら、無理したりしねーで、ちゃんと言ってくれよな?」


 桃花に何かあったら大変だ。

 打ち所が悪く、後に症状が――などということになったら、悔やんでも悔やみきれない。


 そんなことを思いながら、結太は桃花の顔を覗き込む。

 桃花も、やはり顔を赤くしながら、『う、ううん……。ホントに、どこも痛くない、から』と()の鳴くような声で答え、そっと結太から目をそらした。



 心配してくれるのは嬉しかったが、あまり顔を近付けられると、どうしたって意識してしまう。


 特に今は、二人とも水着姿だ。

 いくら上半身だけと言えども、男性の裸など、間近で見た経験のない桃花は、目のやり場に困ってしまうのだ。



 結太も、いつもであれば、『伊吹さんに目ぇそらされたっ?』とショックを受けているところだが、心配する気持ちが強い今は、そんな風に捉える余裕すらない。

 桃花の『どこも痛くない』との言葉を聞き、ようやく、ホッと胸を撫で下ろした。


「そっか。……あ~、よかったぁ~~。伊吹さんにケガがなくて」


 ニッコリ笑う結太だったが、桃花は未だ恥ずかしがって、モジモジしながらうつむいている。

 桃花のそんな様子には全く気付かず、結太は『あっ』と声を上げた。


「砂! 伊吹さんの体、砂だらけになっちまってる!……ごめん。オレがぶつかっちまったせいで……」


 責任を感じてシュンとする結太に、桃花は慌てて顔を上げ、ふるふる首を横に振った。


「ううんっ、砂くらいヘーキ! それに、海に入れば、全部落ちちゃうと思うしっ」


 せっかく結太と海にいるのだ。自分のせいで、暗い気持ちになってほしくない。

 その一心で、桃花は必死に訴えた。


「だからっ、あのっ。……え……えっと……。う、海っ。海に入りませんっ……か?」


 内心、『一人で入ってくれば?』と返されたらどうしよう……とヒヤヒヤした。

 しかし、結太はパアッと顔を輝かせ、


「うっ、うん! 入ろー、海!……そーだよな。せっかく海にいるんだし、砂浜で、ただボーっとしてたら、バカみてーだよな」


 嬉しそうにニカッと笑い、東雲達が用意しておいてくれた、荷物の方を振り返る。


 そこに置かれているのは、先ほどまで東雲らと打ち合っていたビーチボール、大きめの浮き輪、シュノーケル(正確に言えば〝シュノーケルセット〟。マスクやフィン、ライフジャケットなど、シュノーケリングに必要なものが揃えてある)だ。



 高校生らしく海で遊ぶのであれば、シュノーケリングだろうか?

 浮き輪で海に浮かぶ彼女に、ちょっかいを出しては、キャッキャウフフするなどは、恋人同士であれば、充分成立するお遊びなのだろうが……。



 残念ながら、結太と桃花は、まだそんな遊びが出来るほど、距離が縮まっていない。

 島にいる一週間の内になんとかしたいと、結太などは願っているが……。とにかく、今はまだ早い。



 結太は桃花に顔を向け、


「ここの海、すっげーキレーだし、シュノーケリングでもする?……っても、オレ、やったことねーんだけど……。ここにあるの全部身に着けて、泳ぎゃいーってだけかな? ダイビングと違って、免許は必要ねーんだってことは、聞ーたことあんだけど……。伊吹さん、遊び方知ってる?」



 知識のない自分が恥ずかしかったが、ただでさえ、水辺での遊びには危険が(ともな)う。

 遊び方もろくに知らない者が、無責任に誘ってはいけない。


 好きな子の前で知ったかぶりたい気持ちも、あるにはあったが。

 見栄を張って良いところと、悪いところの区別は、一応付けられるのが、結太という人間だった。



「あの……ごめんなさい。わたしも、わからないの……。それに、あの……実はわたし、泳げなくて……」


 消え入りそうな声で告げると、申し訳なさそうに、桃花は深くうつむいた。


「えっ、そーなの?……そっか。じゃーどっちにしろ、シュノーケリングは無理かな?……とすると、ビーチボールか……」


 結太はじっとビーチボールを見つめる。

 ……二人で打ち合うだけでも、果たして、楽しめるものなのだろうか?


「ご、ごめんなさい。わたしが泳げないせいで、遊びの選択肢が少なくなっちゃって……」


 ますます下を向いてしまう桃花に、結太は焦り、ブルンブルン首を横に振った。


「いやっ、ダイジョーブだって! こんなキレーな海なら、見てるだけでも楽しーしさっ。それにほらっ、砂浜で貝殻(かいがら)見つけるとか、シーグラス見つけるってだけでも、ジューブン楽しーんじゃねーかなっ?」



 ……まあ、結太は〝貝殻集め〟など、一度もやったことはないのだが。


 それでも、桃花と一緒であれば、何でも楽しめる自信はあった。

 結太は軽い気持ちで、〝貝殻とシーグラス探し〟を提案した。

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