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両片想いでラブコメで!~想い人一筋なのに、隣人の金髪碧眼美少女がやたらとちょっかいかけてくるんだが?~  作者: 咲来青
第3章

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第15話 結太、桃花と体が密着しパニくる

 東雲に突き飛ばされ、桃花を下敷きにして砂浜に倒れ込んだ結太は、直に感じる女性の肌の感触に驚き、()つ、感動していた。


 桃花は華奢(きゃしゃ)な体つきなので、女性特有の〝柔らかさ〟のようなものも控えめなんだろうなと、失礼ながら、結太は勝手に想像していたのだが。

 その想像は大いにはずれ、倒れた拍子(ひょうし)に触れた彼女の腕の感触は、思いの(ほか)柔らかかった。


 結太は新鮮な感動に突き動かされ、『もっといろいろ感じたい。許されるなら、あちこち触りまくりたい』との欲望を抱いた。


 だが、それも一瞬のこと。

 耳元で、『く……楠木、くん』という可愛らしい声が響いた瞬間、結太は我に返った。


「う――っ、……わぁああああッ!! ごっ、ごごごごごめんごめんごめんっ!! ごめんっ伊吹さんッ!!」


 慌てて砂浜に両手をつき、上半身を起こす。

 眼下の桃花は、彼と目が合ったとたん、恥ずかしそうに目をそらした。――顔どころか、首筋までも真っ赤だ。


「ごっ、ごめんッ!! ホントにごめんッ!! オレっ、急に押されて、踏ん張りきかなくて――っ!」


 結太も全身を真っ赤に染めつつ謝り、素早く東雲を振り返ると、抗議の意味を込めて睨み付ける。


「トラさんッ!! いきなり何すんだよッ!? オレのことはまだいーけど、伊吹さんが怪我したらどーするつも――っ……あ。伊吹さんっ、ダイジョーブかっ? オレ、思いっきりぶつかっちまったけど……。頭とか背中とか、打っちまったよな? ごめんなっ? ホントにホントにごめんっ!」


 桃花をじっと見つめ、心配そうに訊ねるが、彼女は胸の前で両手を組み合わせ、結太から目をそらしたまま、消え入りそうな声で『だ……ダイジョ……ブ』と返事をした。


「だから言っただろ? 『伊吹様のお気持ちは、伊吹様にしかわかんねー』って。いー機会だし、直接本人に訊ねてみたらどーだ?」


 焦る結太を見下ろし、東雲はニヤつきながら提案する。

 結太は再び東雲を振り仰ぎ、眉間にしわを寄せた。


「た……訊ねるって、何をだよ?」


「伊吹様が、おまえのことをどー思ってるかってことを、だ」

「ふぇ――っ!?」


 東雲の台詞に、結太の心臓はドックンと跳ね上がった。

 ようやく元に戻りつつあった顔色も、再び真っ赤に染まる。


「なななっ、な――っ、何バカなこと言ってんだよッ!? どーして今、そんなこと訊かなきゃいけねーんだッ!?」


 動揺する結太に、


「どーしてって、決まってんだろー? おまえが今、一番訊きたくて堪んねーことだろーから、だよ」


 東雲は、相変わらずのニヤニヤ笑顔だ。


 結太の全身からは汗が()き出し、これでもかと言うくらい、肌は真っ赤に染まって行った。

 恥ずかしくて、真下に横たわっている桃花の方へ、顔を向けられない。


「なん…っ、な、な……っ、何を言っ――?」


 どうにかして声を絞り出そうとするが、頭は真っ白。言うべき言葉が見つけられず、結太は口をパクパクさせた。

 東雲は尚、薄ら笑いを浮かべ、腰に手を当てながら結太を見下ろしている。



 東雲の言う通り、桃花にどう思われているか知りたい気持ちは、もちろんあった。

 ――と言うか、告白出来るものなら、今すぐにでもしてしまいたい。


 だが、こんなムードもへったくれもない状況下で、一年以上抱き続けて来た恋心を打ち明けるのは、絶対に御免(ごめん)だった。

 告白するなら、夕暮れの海岸や、無数の星々が輝く夜空の下で……など、もっとロマンチックな雰囲気の中でしたい。



 結太は東雲をキッと睨み、


「いー加減にしてくれよッ!! さっきから、よけーなことばっかり言ーやがって! いくらトラさんでも、これ以上、勝手なこと言ったりしたりしたら、ぜってーに許さねーぞッ!?」


 恥ずかしさで涙目になりながら言い返すと、東雲は笑顔から一転、落胆(らくたん)したようにため息をついた。

 そして『……ったく。じれってーなぁ』とつぶやくと。


「あー、わかったわかった。んじゃまー、邪魔者は退散すっから、後は若いもんどーし、勝手にやってくれ。――行くぞ、サギ」


 くるりと背を向け、東雲は一人で歩き出す。

 呼ばれた鵲は、


「えっ? あ――。ちょっ、ちょっと待ってくれよ、トラっ!」


 慌てて呼び止めようとしたが、彼は構わず歩き続ける。


 鵲は、東雲と結太を交互に見やり、しばらくその場でためらっていたが。

 結局は東雲を追い掛け、どこかへ行ってしまった。



 砂浜に残された結太は、彼らの姿が見えなくなるまで見送り……ふと視線を下に移すと、


「あっ! ごっ、ごごごごめ――っ! ごめんっ、伊吹さんッ!!」


 未だ、桃花の体の自由を奪っていたことに気付き、慌てて立ち上がった。

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