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両片想いでラブコメで!~想い人一筋なのに、隣人の金髪碧眼美少女がやたらとちょっかいかけてくるんだが?~  作者: 咲来青
第3章

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第17話 結太と桃花、砂浜でシーグラスを集める

「貝殻……。シー……グラス……」


 顔を上げ、桃花はぼうっとした顔でつぶやく。

 さすがに、それだけではつまらないだろうかと、結太がヒヤヒヤしていると、今度は桃花が、嬉しそうに顔を輝かせた。


「わあ、素敵! 綺麗な貝殻とか、シーグラス集めたら、アクセサリー作れちゃうかもしれない!」

「……え、アクセサリー?」


「うん! ネックレスとか、ブレスレットとか。手作りアクセサリー、今、趣味にしてる人結構いるんだよ? センスのいいもの作れる人は、売ってたりもするし。綺麗な貝殻とかシーグラスもね、拾い集めて、ネットで売ってる人いるよ?」

「へー……。そーなんだ?」


 予想以上に桃花の反応が良く、結太はしばし、ポカンとしてしまった。

 その一方で、頭の(すみ)では、『拾ったもの、売ったりしてる人もいんのか……。でも、それっていーな。拾い集める労力は掛かるにしても、タダなんだもんな。売れたらすっげー(もう)かんじゃね?』などという、セコイことも考えていた。



 結太は実家が裕福な龍生と違い、一般庶民だ。

 しかも、女手一つで育てられているので、小遣いも人並みか、それ以下だった。

 少々考えることがせこくても、大目に見てあげてほしい。



「えっと、じゃあ……探してみる?」

「うんっ」



 ――ということで、二人は〝貝殻とシーグラス集め〟を開始した。

 黙々と砂浜を見て回っては、互いに、『おっ。珍しー形の貝殻あった!』『こっちにも、綺麗なシーグラスがあったよ』などと、意外と楽しげに報告し合っている。


 そんな、健全なのか不健全なのかわからない二人を、遠くから見守る人物がいた。

 じれったい結太に呆れ、見捨てたのかと思われた東雲と、その幼馴染を追い掛けて行ったはずの鵲だ。


 二人は、砂浜から百数十メートルほど離れた場所に生えている草陰に、うつぶせになって隠れ、結太達の様子をこっそり窺っていた。


「おいおい、何やってんだよあの二人は? バラバラんなって下向いて……何か探してんのか?」


 呆れたように東雲がつぶやけば、横では鵲が、同意してうなずく。


「うん。探してるみたいだね。……(かす)かに、『貝殻』がどーとかって、結太さんが言ってるのが聞こえたけど……」


「はあッ!? 貝殻だぁ!?……ったく。マジで何してんだ、あいつらはよぉっ? せっかくこっちが気ぃ利かして、二人っきりにさせてやったってのに! 高校生の、恋人一歩手前の男女が、仲良く〝貝殻集め〟だぁ?――っざけんなよコノヤロウッ!! 今時、幼稚園児でもしねーだろっ、んな地味な遊び!?」


 最後の方は、ついつい興奮してしまったようで、立ち上がりつつ熱弁をふるう。


「ちょ…っ、おいっ! 立ったりしたら、結太さん達に見つかっちゃうだろ!? 元の姿勢に戻れってっ!」


 東雲の脚をバシバシ叩きながら、慌てて鵲が注意すると、東雲はハッとし、素早くしゃがみ込んだ。

 そして再び、ソロリソロリとうつぶせになる。


「す、すまねー、サギ。二人があんまり幼稚なことしてっから、つい……」


「まったく。気持ちはわからなくもないけど、見つかっちまったら、元も子もないだろ? 結太さんのことだから、俺達に見られてるのがわかったら、絶対真っ赤になって、一人でどっか行っちゃうよ。今日、告白しようって決めてたとしても、とたんに心が()えちゃうに決まってる」


「ああ。……だろーな」


 東雲は反省したようで、『こっからは、ちゃんとするよ』とつぶやいて、また二人に目をやった。



 ……彼らは未だ黙々と、砂浜を見て回っている。

 東雲は、『あんなつまんなそーなもんに、よく夢中になれんな』と、呆れるやら感心するやらと言った風に、二人を凝視し続けた。



 それからまた、数分が過ぎた頃。


「なあ、サギ。……俺らヤバくね?」


 唐突に、東雲がボソリとつぶやいた。

 鵲は、顔だけ彼に向け、


「え、ヤバイ? ヤバイって、何が?」


 きょとんとした顔で訊ねる。

 東雲はどんよりした顔を鵲に向けると、


「俺ら、ここでうつぶせになって、結太達のこと見守って……どんくらい経つ?」


 質問に、質問で返す。

 鵲は、数回ほど目をパチパチさせてから、首をかしげた。


「どんくらいって……え~っと……たぶん、数十分……くらい、かな?」

「……だろ? 背中の方……なんかジンジンっつーか、ヒリヒリしねー?」


「――へ?……ああ。そー言われてみれば……」


 そこでハッと息を呑むと、鵲は、情けない顔で東雲を見返した。

 彼も、暗い顔でうなずく。


「もう、確実に日焼けしてんだろーな。……しかも、後ろの方だけ――」


 この世の終わりかのごとき声で告げ、東雲はガックリと肩を落とした。



 この島がどの辺りにあるかは不明だが、今は夏()(さか)り。

 おまけに今日は、雲一つない晴天だ。


 ハンパない日射しが、二人の体(の後方のみ)を容赦(ようしゃ)なく照り付け、(すで)にこんがりと焼けているだろうことは、()けられない事実だった。

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