表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
両片想いでラブコメで!~想い人一筋なのに、隣人の金髪碧眼美少女がやたらとちょっかいかけてくるんだが?~  作者: 金谷羽菜
第3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/156

第2話 男性陣、一足先に海辺へと集合する

 着替えを終え、龍生と結太は、海岸までの道をのんびりと歩いていた。


 前を見ると、すでに砂浜には、レジャーシートやビーチパラソル、ビーチチェア、サンシェードテントまでもが、セッティングされている。


 ビーチチェアの横には、ミニテーブルが置かれ、その側には、クーラーボックスやタオル類、何やらいろいろ入っていそうな、大きめのトートバッグ。

 更に、ビーチボールや大きめの浮き輪、シュノーケルまで用意されていて、二人は思わず足を止めた。


「おおっ、スゲー! 〝海と言えばコレ!〟――って感じのもんが、全部(そろ)ってんじゃねーか!」


 ほぼ完璧かんぺきと言ってもいい。海の必需品ひつじゅひんばかりだ。

 結太が感嘆かんたんの声を上げると、側で控えていた東雲が、自慢げに胸を張った。


「フフン。そーだろそーだろ? スゲーだろー、結太? 坊ちゃんとご学友方がくゆうがたのバカンスに、いたらぬ点があっちゃあいけねーからな。俺とサギと国吉さんで、張り切って用意したんだぜー?」

「そっかー! あんがとな、トラさん! これだけありゃー、きっとたっぷり楽しめるよ!」


 瞳を輝かせ、素直に感謝する結太に、東雲は照れ臭そうに微笑むと、


「へへっ。相変わらず可愛いヤツだなぁ、結太は。そーゆーまっすぐなとこ、嫌いじゃねーぜ」


 そう言って、彼の頭をぐしゃぐしゃっと撫でた。

 二人のやりとりを、腕を組みながら眺めていた龍生は、


「ご苦労だったな、東雲。鵲。――国吉さんも、ありがとうございました。この暑い中、その姿でここまで用意するのは、大変だったでしょう? 午後、特にすることがないようでしたら、水着にでも着替えて、ゆっくりなさってはいかがですか?」


 国吉に休息を勧めてから、『おまえ達も、水着は持って来たんだろう?』と、東雲と鵲にも声を掛ける。


 東雲ら三人は、ボディガードの正装とも言える、黒の上下のスーツ姿だ。

 確かに、燦々(さんさん)と降り(そそ)ぐ太陽の下で、いつもの黒ずくめの服装では、見た目からして暑そうだった。


「お気遣い痛み入ります。――ですが、私はイーリスお嬢様のボディガードとして(やと)われている者です。遊びで参ったわけではありませんので、水着の用意などはして来ておりません。どうか、私のことはお気になさらなず、何卒(なにとぞ)、イーリスお嬢様のことを、よろしくお願いいたします」


 龍生の申し出をやんわりと断り、国吉は深々と頭を下げた。

 横で聞いていた東雲と鵲は、龍生の言葉に従う気満々でいた自分達を恥じ、しょんぼりと肩を落とす。



(うぅ……っ。俺としたことが、坊ちゃんのお言葉をまんま受け取って、水着に着替えに行こうとしちまってた。……そーだよな。国吉さんの言う通り、俺達は遊びに来たんじゃねーんだ。浮かれてちゃいけねーよな)


(いくら坊がお優しいからって、お言葉通り、水着に着替えようとするなんて。本当に、俺ってヤツは……。そうなんだよな。俺達の仕事は、坊や、坊の大切な方々を、いついかなる時でも、しっかりとお守りすること。水着で遊び(ほう)けるなんて、とんでもない愚行(ぐこう)なんだ。……国吉さん。確か、俺達と一~二歳しか違わないはずだし、一見軽そうに見えるけど……実は、しっかりした人だったんだなぁ)



 二人はすっかり反省し、プロ意識の高い国吉に、尊敬の眼差しを向けた。

 龍生は二人の様子から、すぐさま彼らの考えを察したらしく、軽くため息をつくと。


「国吉さんのお立場は、重々(じゅうじゅう)承知していますし、お仕事に対する心構えも、ご立派だとは思いますが……。正直に言わせていただくと、その暑苦しい服で目の前を行き来されるのは、勘弁願いたいのです。水着の用意がないのでしたら、せめて、もう少し涼しげな服に着替えてはいただけないでしょうか?」


 龍生の重ねての申し出に、東雲と鵲はハッとする。

 なるほど。我らの主は、ただ気を遣っていたわけではなかったのだ――ということに気が付いたのだ。



 ……まあ、確かに。

 夏真っ盛りのこの時季に、真っ黒な服で目の前をウロチョロされるのは、相当鬱陶(うっとう)しいに違いない。



「涼しげな服、ですか。……ふぅむ、困りました。あいにく、私服の用意はして来ていないのです。替えのスーツなら、数着用意してはおりますが――」

「そうなのですか?……これはまた、ずいぶんと仕事熱心な方だ。一週間、ずっとスーツを着ているおつもりですか?」


 国吉の返答に、龍生は本当に驚いたようで、目を大きく見開いている。


 従者二人や、結太の前でならまだわかるが、龍生が他者の前で、大きな感情を表に出すことは滅多にない。

 それを知っている結太は、『よっぽど意外だったんだな』と、龍生をチラ見しながら思っていた。



 印象だけで言えば、国吉は、〝スーツを着ている〟こと以外、あまりボディガードっぽくも、真面目そうにも見えない男だ。


 ヘアスタイルは、無造作(むぞうさ)ヘアとでも言うのか、毛先が右に跳ねたり左に跳ねたりと、キッチリしていないし、襟足(えりあし)もやや長め。髪色も、黄色味の強いダークブラウン。


 見た目だけで人を判断するのは、よくないことではあるが……。

 何にせよ、固い仕事をしているようには思えないのが、国吉七海(ななみ)という男だった。



「そうですね。先ほども申しましたように、遊びではなく、仕事で来ているわけですので。イーリスお嬢様からお呼びが掛かれば、平日休日関係なく、いつでもこの姿で対応出来るよう、日頃から心掛けております」


 そう言って国吉は、営業スマイルを浮かべた。

 その場にいる者達は、曖昧(あいまい)な笑みを返しつつ、心で『真面目か!』と総ツッコミを入れたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ