表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
両片想いでラブコメで!~想い人一筋なのに、隣人の金髪碧眼美少女がやたらとちょっかいかけてくるんだが?~  作者: 咲来青
第2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/156

第16話 結太、不用意な一言で女子の反感を買う

 昼食後に、面片会おもかたかいのメンバーで話し合った結果、〝午後は一時間の休憩の後、各自かくじ水着に着替えて海岸に集合〟ということになった。


 結太は休憩の話が出た時に、


「休憩一時間? そんなに必要かー? 十分くらいでジューブンじゃねーの?」


 軽い気持ちで口にしてしまったのだが、そのとたん、


「はあ!? 何言ってるのよ結太!? 男と違って、女にはイロイロと準備する時間が必要なのっ! そんなことも知らないの? それに、昼食後すぐじゃ、お腹が……」


「そーだぞ楠木! 腹が出た状態で、私達に水着姿になれと言うのか!? 冗談は顔だけにしろ!」


 ものすごい形相のイーリスと咲耶に責められ、結太はタジタジとなった。

 しかし、ここでやり込められてしまっては、桃花の手前、カッコ悪過ぎる。

 結太は勇気を振り絞り、反撃をこころみた。


「腹が出た状態……って、そんなの、一時間程度休んだくれーで、へこむもんでもねーだろ? 消化して出すまでには、もっと時間掛か――っ」


 言い掛けて早々、結太はハッとなって口をつぐんだ。二人がより一層いっそう、恐ろしい顔つきになったことに気付いたからだ。


 ……が、時すでに遅し。

 二人は結太に対し、一斉攻(口)撃(こうげき)を開始した。


「はぁああああッ!? 結太ったら、つくづくサイテーね!! レディに向かって、〝出す〟とは何よ〝出す〟とはッ!? あなたには、デリカシーってものがないの!?」


「まったくだ!! おまえはサイテーだ楠木ッ!! 〝出す〟などと、女に対して言うことじゃないだろう!? おまえがそんなだから、いつまで経っても誰からも告白のひとつすらされないんだッ!!」


「そーよそーよッ!! 結太なんか、この先誰からも、相手になんてされないんだからッ!!」


「おまえのよーな迂闊うかつ不躾ぶしつけで無神経で頭の回転の悪いうすらバカは、一生一人でいるがいいッ!!――いや! いっそやみめっしてしまえ、このとんとんちきがッ!!」


 散々(ののし)った後、二人はフンっとそっぽを向き、ダイニングから出て行った。

 二人の剣幕に、オロオロと見守っているしか出来なかった桃花も、慌てて後を追う。


 一方的にまくし立てられ、呆然と立ち尽くしていた結太は、数秒の沈黙の後。


「なあ、龍生――」

「なんだ?」

「……オレ、あそこまで責められなきゃいけねーよーなこと、言ったっけ……?」


 抑揚よくようのない調子での質問に、龍生は小さくため息をつき、


「まあ、あそこまで怒るほどのことかと訊かれれば、『そうは思わない』――と答えてやりたいところだが……。〝女性に対し、デリカシーがない〟という点においては、うなずくしかないだろうな」

「う――っ。そ、そっか……」


 結太よりは、遥かに女性に対しての見識が広い龍生が言うのだ。たぶん、その通りなのだろう。

 またしても余計なことを言い、二人を怒らせてしまったのかと、結太はすぐさま反省した。

 反省した上で、咲耶に言われたことのうち、引っ掛かっていた部分を改めて思い返し、


「……でもさ。『闇に滅してしまえ』――ってのは、どーゆー意味なんだ? 『闇落ちしろ』ってことか? それとも……死んじまえってこと? あと、〝とんとんちき〟って何?」


 龍生にならわかるだろうかと、一応訊ねてみる。


「さあ――? 『闇に滅してしまえ』の意味は、なんとなくわかる気はするが……。『とんとんちき』の方は、俺にもよくわからないな。雰囲気からすると、たぶん、マヌケとかアホとか、そういうたぐいの言葉だとは思うが。……咲耶は、数年前に亡くなられたお祖父じいさんの影響で、時代劇が好きだそうだからな。たまに、聞き覚えのない言葉を口走ることがあるんだ。今のも、その内のひとつじゃないか?」

「へえ。……時代劇……」


 そう言えば、前にもチラッと、そのようなことを耳にしたかもしれない。

 国吉にも、『〝これにて一件落着いっけんらくちゃく〟って、言ってみてくれないか?』と、目を輝かせながら訊ねていたし……。


 お祖父さんの影響とは言え、今時、時代劇が好きだなどとは、ずいぶんとシブい趣味だなと、結太は感心してうなずいた。


「とにかく、エキサイトしている時の咲耶の言葉は、気にしない方がいい。俺も、あの程度のことはしょっちゅう言われている。あれは、彼女なりの照れ隠しなんだ」

「照れ隠しぃ!?――あれがぁ!?」


 思わず、裏返りそうな高めの声が出た。

 それでも龍生は、落ち着いた様子で結太を一瞥いちべつすると。


「ああ、そうだ。恥ずかしくなると、子供っぽいけなし言葉を投げつけて来る。そこで相手がひるんでいるうちに、逃げ出そうとするんだ。……フッ。可愛いだろう? 真っ赤な顔をして、涙目で睨みつけて来る咲耶を見ると、ゾクゾクするんだ」


「――へっ?……〝ゾクゾク〟?」


 龍生の口から飛び出した意外な言葉に、結太の目はまん丸く見開かれた。

 彼は何故か、恍惚こうこつとした表情で、どこか遠くを見つめ、


「そう。ゾクゾクと、だ。――あの表情を目にすると、どこであろうとすぐさま抱き寄せて、思いきり抱き締めたくなる。あまりにも可愛過ぎて……」


 過去の出来事でも思い出したのか、クスリと微笑む。

 結太は『へ、へえ……』と相槌あいづちを打ちながらも、



(睨まれてゾクゾクするってことは、龍生はMなのか?……いや。涙目になってるの見て、ゾクゾクするんだから……S?)



 素朴そぼく(?)な疑問が脳裏をかすめ、結太は首をひねった。



(……けど、涙目に〝ゾクッと〟したことはねーけど、〝ドキッと〟したことなら……まあ、あるよな? 伊吹さん、泣いてるわけじゃねーのに、いつも、ウルウルした目してるし……。あの目でジィーっと見つめられると、ドキドキどころかバクバクしちまって、妙に落ち着かねー気持ちになっちまうんだよなー……)



 そこで結太は、桃花が実際に涙を見せた時のことを思い出す。

 ――桃花が咲耶と間違えられ、二人組の男によって、さらわれてしまった日のことだ。


 龍生の専属運転手の安田のお陰で、すぐに救出することは出来たが……。

 手首と足首に巻かれていた粘着テープをはがし終えたとたん、桃花は結太に抱きついて来た。

 そしてしばらくの間、震えながら泣きじゃくって――……。



(あの時の伊吹さん、すげー頼りなげに見えたっけ……。普段も、小柄で華奢きゃしゃな体つきだから、弱々しくは見えんだけど、そーゆーのとはまた違って……。どー説明していーのかわかんねーけど、オレ……『この人を守りたい』って、『守らなきゃ』って、強く思ったんだよな)



 今も、その想いは変わっていない。

 桃花は、見た目よりもずっと強いということも、わかってはいるのだが……。

 それでも『守りたい』という願いは、少しも揺らがぬまま、結太の心に宿やどっている。



「――おい。いつまでそんな顔をしているんだ? 咲耶も、本気で怒っているわけじゃない。照れ隠しだと言っただろう? 集合する頃には、怒っていたことすらすっかり忘れて、ケロッとしているさ。恋人の俺が言うんだ。少しは信じろ」


 結太の顔が曇っているのは、咲耶達のことを気にんでのことと思ったのだろう。柔らかな口調で語り掛け、龍生は、結太の肩にポンと手を置く。

 ハッと我に返った結太は、



(ヤベ…っ。龍生のヤツ、オレが暗くなってんのは保科さんのせいだって、誤解してんな?)



 慌てて『ダイジョーブだ。もー気にしてねーよ』と答え、ニヘラと笑う。

 龍生は、『そうか? ならいいが』と返した後、


「では、そろそろ部屋に戻るか。――と言っても、俺達は水着に着替えることくらいしか、することはないが……。ああ、そうか。俺は日焼け止めを塗っておかなくてはいけないんだった。日焼け止めは、どこに仕舞ったんだったか……」


 そうつぶやくと、足早に入口へと向かう。


 龍生は肌が弱い方なので、なるべくなら、日焼けはしたくないのだそうだ。

 結太も、決して強い方ではないが、『男はやっぱ、白いよりも、日焼けした黒っぽい肌の方が、モテたりすんのかな?』などと思いつつ、のろのろと龍生の後を追った。

第2章はここまでとなります。

お読みくださりありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ