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両片想いでラブコメで!~想い人一筋なのに、隣人の金髪碧眼美少女がやたらとちょっかいかけてくるんだが?~  作者: 咲来青
第2章

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第15話 結太、甘々な二人を眺めて思いを馳せる

(あ~~~あ。まーた二人の世界にひたっちまってるぜ。毎度毎度、見せつけてくれるよな。……しっかし、まさかここまで〝バカップル化〟しちまうとは。龍生はまだともかく、保科さんなんざ、つい最近まで『男なんて眼中にない』って感じだったのに。……あ、そーだ。そー言やー、オレ……無人島で保科さんと二人きりになっちまった時、寝惚ねぼけた彼女に、〝豚の丸焼き〟だと勘違いされて、首元に思いっきりみ付かれたんだよな。ガジガジ、ガジガジとよぉ。……ったく。色気のカケラもねーったら。……なのに、龍生の前だと、あれなんだもんなぁ……。人間、変われば変わるもんだぜ)



 結太は、今までのことをしみじみと思い返しつつ、改めて二人に目をやった。


 今の二人は、誰の目から見ても、美男美女の仲睦なかむつまじい恋人同士だろう。

 ほんの数ヶ月前までは、仲が良いどころか、桃花を間にはさんで敵対していた(咲耶の方が、一方的に敵視していただけとも言えるが)などとは、誰も思うまい。


 だが、龍生の暗躍あんやく(?)により、咲耶は、龍生とは幼い頃に出会っていて、短い間ではあったが、共に遊んだ仲だったことを思い出した。

 そしてその後、紆余曲折うよきょくせつを経て――(結太の知らぬ間に)、めでたく恋人同士になったのだ。



(龍生はずっと、保科さんのことが好きだったんだよな。だからわざわざ、もともと通ってた、私立の名門エスカレーター校をって、うちの高校を受験して……。ったく。水臭みずくせぇーよな。そんならそーと、事前に教えてくれてりゃよかったのに。そしたらオレだって、何か手伝えるよーなことあったかもしんねーし、伊吹さんとだって、同じクラスになるまで待つ必要なんかなくってさ……もっと別の形で、自然に知り合えてたかもしんねーのに。なーにが『結太と同じ高校を受験したのは、お祖父様じいさまの発案だ。庶民の暮らしを知っておいた方が、後々ためになると言われたんでな』だ! 口から出まかせばっかり言ーやがって! 単に、〝保科さんと同じ学校に通いたかった〟ってだけだったんじゃねーか!……まー、つい最近まで、オレもすっかりだまされてたけどさ……。よくよく考えてみりゃ、あのじーさんが、『庶民の暮らし』なんてお高くとまったよーなこと、言うワケねーんだよな)



 秋月家の現当主であり、龍生の祖父である龍之助は、威厳いげんある風格ではあるが、決して、威張いばらしたり、他人を見下したりする人物ではない。

 むしろ、見た目の印象とは異なり、秘書的役割をになっている赤城あかぎと、時折ときおり、〝時代劇ごっこ〟をしては、ストレス解消(?)していたりする、なかなかにお茶目な人だ。


 龍生が咲耶と付き合っていると知った時も、特に反対したりはしなかった。

 身分がどうの、住んでいる世界がどうの――という古臭いことは、一切言ったりしないのだ。


 そんなふところが深い龍之助のことを、赤城も宝神も、東雲も鵲も、秋月家で働いている人々は皆、心からしたっている。

 龍生が結太をはぐらかすために言った、『庶民の暮らしを知っておいた方が』――などという高慢こうまんな言葉からは、一番遠い人だ。


 むろん、龍生自身も、『庶民の』どーたらこーたらを~などと、思っているわけではない。

 結太をはぐらかすため、とっさについた嘘――と言うよりは、からかって、彼の反応を楽しんでいただけ――という方が、より真実に近かった。



(……結局、あんないー加減で、すぐバレちまいそーな嘘に、まんまと騙されちまったオレがアホなだけ……ってことか?)



 そう考えたら、龍之助に悪いことをしたような気がして来た。

 龍生の言葉をすんなり受け入れてしまったということは、『庶民の暮らし』~などという高慢こうまんちきなことを、彼が言ったと、疑うことなく信じてしまった――ということになるのだろうから。



 結太は、『今度じーさんに会ったら、謝っておこう』と心に決め、まだきもせずにイチャついている〝バカップル〟を、じとっとした視線で眺めていたのだが。

 ふいに視線を感じ、反射的にそちらを向くと。


「――っ!」


 視線の主は、桃花だった。


 彼女は結太と目が合うと、ハッとしたように目を見開いてから、慌てたようにうつむいてしまった。

 結太は、『なんか、ここんとこよく、伊吹さんと目が合うような……?』と感じつつ、顔を赤らめた。



(もしかして、伊吹さんも俺のこと……?)



 かすかな期待が心をよぎるが、結太はふるふると首を左右に振り、都合の良い考えを追いやった。



(いやいや! そんなはずねーって! あんまチョーシに乗んなよ、オレ!? 勘違いだった時のダメージ、ハンパねーんだかんな!?……目が合ったのは、あくまでグーゼン! グーゼンだ!)



 強く自分に言い聞かせ、激しく首を振り続けていたら、目が回ってしまった。

 結太はテーブルに頭から突っ伏し、〝ゴン!〟という大きな音を立てた。


 その音にギョッとしたのか、結太以外の面々は、慌てて音のした方向に目をやり、彼が突っ伏しているのを確認すると、


「……どうしたんだ、結太? 満腹になったから、眠くなったのか?」


 皆を代表するように、龍生が訊ねる。

 結太はしばしの沈黙の後、


「……いや、眠いワケじゃねーけど……。いーから、オレのことはっといてくれ……」


 テーブルに突っ伏したまま、弱々しい声で答えた。


 龍生達は、それぞれ顔を見合わせ、桃花以外の三人は、『何をやってるんだか』とでも言いたげに、ひょいと肩をすくめる。

 結太は呆れられている気配を感じつつも、



(オレ、今きっと……顔、赤くなってんだろーな。……顔、伏せててよかった……)



 心底ホッとしながら、その後数分間、伏せた状態で固まっていた。

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