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両片想いでラブコメで!~想い人一筋なのに、隣人の金髪碧眼美少女がやたらとちょっかいかけてくるんだが?~  作者: 咲来青
第2章

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第5話 龍生、身悶える結太を前に黙考する

 いったい、イーリスにどんなことを言われたら、ここまで興奮しまくれるのだろう?


 桃花の水着姿を妄想し、ソファで身悶えている結太を前に、龍生は呆れ返っていた。

 冷めた目で眺めていると、結太はガバッと起き上がり、


「龍生もッ!! 人ごとみてーに放置してんじゃねーよッ!! イーリスとデートしてんのは、伊吹さんだけじゃねーんだぞ!? 保科さんだって、イーリスに()(さら)われちまってんだろーがッ!! 彼女と過ごすはずだった貴重な時間を丸ごと(うば)われて、悔しくねーのかよ!?」


 ギロリと睨みつけながら、痛いところを突いて来る。


 咲耶とは、〝休日は共に過ごす〟という約束になっているのだ。


 本当は、登下校も一緒にしたいところなのだが、『桃花を一人にしておけない。彼氏なんかが出来るまでは、一緒にいてやりたいんだ』と咲耶が強く主張するので、休日は共に過ごすことを条件に、泣く泣く受け入れたのだが……。


 その〝共にいられるはずだった、貴重な恋人同士の時間〟を奪われたのだ。悔しくないわけがない。


 しかし、咲耶に真正面から見据えられ、『一日くらいいいだろう? たまには、友人と遊ぶ時間も必要だ』と言われてしまっては、どうしようもないではないか。



 ここでまた、『俺より友人を選ぶのか? 友人の方が大事なのか?』と責め立てたところで、ケンカになるだけだ。

 夏休み前の大事な時期に、それだけは絶対に避けたかった。



「仕方ないだろう。別荘に行く前に()めたくなかったんだ。予定を台無しにしたくないしな。――おまえだって嫌だろう? 伊吹さんと一週間も共にいられる機会を、みすみす失うのは?」


 内心ムッとしながらも、どうにか平静を(よそお)って訊ねる。

 結太はぐっと詰まり、『そりゃ……イヤだけど……』と小声で応じ、再びソファに身を沈めた。


「けど、今のイーリスの様子じゃ、別荘に行ってからも、何かとオレ達の邪魔して来る気がすんだよなー。あれ、ぜってー面白がってるぜ? オレらからかうためなら、どんなことでもして来そーでさ……ちょっと、なんつーか……イロイロ心配なんだよな~」


 愚痴(ぐち)りつつ、結太は深々とため息をつく。

 〝今度こそ桃花に告白する〟と決意している手前、少しでも邪魔をされそうな予感がすると、気が気ではなくなってしまうのだろう。


 結太の心配もさることながら、龍生は、イーリスの真意も(はか)りかねていた。



 転校して来て間もない頃、イーリスは皆の前で、『結太に興味があるってゆーのは、間違いない事実よ』『運命みたいなものを感じちゃったのよね』などと言ったり、自転車通学の結太に、『乗せて行って』と頼んだりと、〝結太に気がある〟ような言動を繰り返していた。


 しかし、最近のイーリスを見ていると、〝結太に恋をしている〟というよりは、〝からかって遊んでいる〟ようにしか思えない。

 いったい何を考えているのだろうと、龍生ですら彼女の目的が読めず、戸惑っていた。



(藤島さんについては、まだまだ謎の部分が多い。お祖父様に訊ねても、詳しいことは教えてもらえなかったしな……)



 別荘に行くのは、四人のみの予定だった。

 そこにもう一人(――いや。ボディガードの国吉も連れて行くようなことを言っていたから、二人か)加わるとなると、秋月家当主である、龍之助の許可がいる。


 そこで、イーリスのことを伝えてみたのだが――。



「……ふむ。藤島の(せがれ)とは、付き合いが全くないわけでもない。こちらから、娘さんも別荘に行きたがっているらしいと電話で伝えたら、『是非、同行させてやってください。よろしくお願いいたします』と、頼まれてしまってな。だから、まあ……イーリスという娘さんも、仲間に入れてやってくれ」


 龍生の(かす)かな期待(もしかしたら、『藤島家とはあまり縁がない。よく知らん家の娘を、島に行かせるわけにはいかん』と、反対されるのではないかと、ちらっと思っていたのだ)は見事に外れ、イーリスの別荘行きは、難なく即決されてしまった。


 言動の読めない人物を相手にするのは、龍生ですら、不安に感じるところが多い。

 だが、当主である祖父に、直接頼まれてしまっては、『嫌だ』と言うことも出来なかった。



(とりあえず、藤島さんには要注意だな。別荘に行ってからも、よくよく見張っておかなくては。結太の邪魔をするだけなら、放って置いても構わないが……俺と咲耶にまで被害が(およ)んでは、堪らないからな)



 結太が聞いたら、『放って置いても構わないってどーゆーことだよ!?』と怒り出すに決まっているが、龍生は素知らぬ顔で、優雅に紅茶をたしなんでいる。


 別荘に行くのは、三週間後。

 それまでに、出来るだけイーリスについての情報を集めておこう。

 (かささぎ)東雲(しののめ)だけでは、心許(こころもと)ない。悪いが、安田にも働いてもらおうかと、龍生はスマホを手に取った。

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