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両片想いでラブコメで!~想い人一筋なのに、隣人の金髪碧眼美少女がやたらとちょっかいかけてくるんだが?~  作者: 咲来青
第2章

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第6話 面片会メンバー、バカンスに向かうリムジンに集う

 夏休みに突入してから、別荘に行く日まで二週間ほどあったが、各々(おのおの)、やるべきことを片付けていたら、あっという間に当日になっていた。


 〝やるべきこと〟というのは、夏休みに、学校側から必ずと行って言っていいほど示される課題。要するに〝宿題〟だ。


 龍生や咲耶などの優等生タイプは、宿題は前半に終わらせ、後半は休みを満喫(まんきつ)する。特に苦しい思いをすることなく、当日を迎えられたのだが。


 結太やイーリスなどの、劣等生とまでは行かないが、どちらかと言うと、(なま)けるタイプの生徒達は違う。


 休みの大半は、遊びや、のんびりと過ごすことに(つい)やし、終了日間近になってから、ようやく重い腰を上げるのだ。そしてヒーヒー言いながら、宿題を片付ける羽目になる。(中には、完全に放棄(ほうき)するツワモノもいるが)



 しかし、今年の夏は、二人共に、気合の入れ方が違っていた。



 龍生達のように、全てとまでは行かなくても、別荘で宿題のことを考えなくて済むよう、半分ほどは片付けて来た。(桃花は毎日少しずつやって行くタイプだが、今年はこの日のために、咲耶に手伝ってもらいながら、三分の二ほどは済ませて来ていた)



 そんな事情(わけ)で、秋月家からの迎えの車に乗り込んだ時の結太とイーリスは、一目で『やつれたな』と感じさせるほど、ボロボロの状態だったのだが……。



「おい。どーしたんだ、二人とも? 目の下のクマが、凄いことになってるぞ? 昨夜、眠れなかったのか?」


 呆れているような咲耶の問いに、結太とイーリスは、


「昨夜……どころか――……」


 声を揃え、ガックリと肩を落としながら、弱々しくつぶやく。

 先に迎えの車に乗っていた咲耶と桃花は、そっと顔を見合わせ、首をかしげた。



(『昨夜どころか』?……ってまさか、昨夜だけではなく、『数日眠っていない』とでも言うつもりか? 遠足前の小学生じゃあるまいし、いくらなんでもはしゃぎ過ぎだろう)



 すっかり呆れ果て、咲耶がしかめ面でため息をつけば、桃花はひたすら心配そうに、二人を見比べている。



(どーしちゃったんだろう? 二人の目の下のクマ……あそこまで(ひど)いものは、一日眠れなかったくらいで、出来るものじゃないと思うけど……。もしかして、この二週間で、宿題全部終わらせちゃったのかな?)



 最初に()べた通り、桃花の方が正解に近い(全てを終わらせたわけではないが)のだが、結太もイーリスも、とにかくバッテリー(気力)の減りが激し過ぎた。詳しく答える余裕もないのだろう。車のシートに体を預け、ぐったりとしている。


 咲耶と桃花は、再び顔を見合わせ、『これは、しばらくそっとしておいた方がよさそうだ』という結論に達したのか、同時に深くうなずいた。




 それから、しばらくの後。

 結太はハッと目を見開き、シートから体を起こして、キョロキョロと周囲を見回した。


 どうやら、いつの間にか、眠ってしまっていたらしい。

 慌てて、口元を手の甲で(ぬぐ)っていると、


「――あら。ようやく目を覚ましたみたいね」


 隣からイーリスの声がし、反射的に横を向く。

 彼女はスマホを片手に持ち、彼と目が合うと、ニヤリと笑った。


「結太ったら、車に乗り込んでから、一分と経たない内に眠っちゃったのよ? どれだけ肩を揺すっても、起きやしないし……。仕方ないから、アタシ達はアタシ達で、スマホの対戦ゲームでもしてましょ――ってことになったの」


 イーリスに言われて状況を把握(はあく)し、顔を前に向ける。

 目の前のシートには、咲耶と桃花が、やはり、スマホを片手にして座っていた。


 ちなみに、今回の迎えの車は、龍生の送迎の時に使用されている〝黒塗りの高級車〟ではない。黒塗りは黒塗りでも、後部座席に、向かい合わせで四名座れるシートが備え付けてある、いわゆる〝リムジン〟。秋月家所有の高級車、数種類の内の一台だった。


 結太と向かい合わせのシートには、桃花が座っていた。視線が重なったとたん、ニコリと笑って。


「楠木くん、気持ち良さそうに眠ってたね。赤ちゃんみたいで、可愛かった」


 出し抜けにそんなことを告げられ、結太はたちまち真っ赤になった。



(あっ、あ……赤ちゃん!? おまけに『可愛かった』、って……。ヤッベー! 喜んでいーのか悲しんでいーのか、わかんねーや)



 そう思いつつ、『けど、赤ちゃんって……。やっぱ、ヨダレでも垂らしてたのか!?』と心配になり、再び手の甲で、ゴシゴシと口元をこする。

 桃花はハッとしたように目を見張り、


「あ…っ。ご、ごめんなさいっ。男の人に、『赤ちゃんみたい』だとか『可愛い』だとかって……。あの、べつに変な意味じゃなくてっ。ホントに可愛らしかったから、つい――っ」


 焦ったように言い訳すると、見る見るうちに、顔が赤く染まって行った。

 そんな二人を、イーリスはニヤニヤと笑いながら、さも愉快(ゆかい)そうに見つめていた。

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