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ブルマ部  作者: 焼肉一番


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禁止衣類

「うおおおっ……!」


 ブルマ最高、その真言を女神から賜った俺と友城はガッツポーズと共にそう雄叫びをあげた。しかし、それ以外の男子生徒は何とか理性を保てたのか、はたまたブルマ信仰ではないのか、ざわざわと小さな声を漏らすだけだ。

 サラ本人もこの妙な空気に気付いて小首を傾げる。


「どうしたのデスカみんなサ~ン? 日本の女学生は体育の時間にブルマを着用すると聞いてサラずーっとわくわくしてたデース!」


 親日家の癖に情報が古い! いや、いくら親日家でもそもそも体育の授業でどんなものを着用しているのかって情報重要だったか?!


「違うよサラちゃん! 今はブルマを指定体操着にしてる学校なんてないよ!」


 サラの古い知識はすぐに隣に居た女生徒に更新された。そして本場のリアクションを披露する。


「なななななナンデストー?! オーマイゴッ! オーーーッッマイゴッ! 何故ですカどうしてデスカ!」


 ああ、何故なんだろうなぁ! 俺も一緒にその想いをぶちまけてやりたいよサラ!


「だって恥ずかしい」

「ありえない」

「男子はブルマじゃないし意味分かんない」

「普通にセクハラ」


 女子共が口々に言う。こいつらブルマを否定する言葉をいくつ用意してるんだよってくらいに、ほぼ全員の女子が言う。

 一緒になって言わなくて良かった……。


「オーマイゴー……でも……でもブルマじゃダメって決まりもないデスネ? それならサラはこれで授業を受けマース」


「ふごっ……!」


 クラス中の女子に否定されて尚、ブルマを脱ぐ気のないサラに、友城の言葉にならない声が漏れた。膝がガクリと崩れ落ちそうになっている。


「友城! しっかりしろ!」


「……やべぇ……奏介、俺あの子好きになっちゃったよ……」


 それはもう聞いた。聞いたが最初の時とは重みが違う。心底俺もそうだろうなぁと思うし、正直、幾瀬と言う女神に出会っていなければ俺自身危なかったと思う。


「サラさん、学校指定の体操着を着用して下さい。ブルマはしっかり禁止衣類に分類されています」


 クラスのリーダー格の女子がこう言った。いや、クラスだけではなく、学校のリーダーと言って良いだろう。

 彼女は生徒会書記長、加納由香。現生徒会長に傾倒していて、ご寵愛を賜ろうと日々黙々と生徒会の仕事を熟している。ルックスも成績も並み以上なのだが、曲者揃いの生徒会の中ではそう目立つ存在ではない。だがその真面目さ、堅実さはしっかりと会長の評価を受け、二年生にして書記長と言う役職をもらった。それ以降、自分を評価してくれた会長に対する憧れは絶対的な物になったようだ。


「そんなッ! まさかッ?!」


 加納の言葉にショックを隠せないサラ。


「サラちゃん……どうしてそこまで?」


 こいつどうかしてるんじゃないか……そんな冷たい空気が流れ始める中、サラにそう声を掛けたのは幾瀬だった。


「そんなの……」


 幾瀬の質問に、逆に少し不思議そうな顔をしてからサラは太陽の様に笑ってこう言った。


「可愛いからに決まってるデス!」


 俺も友城も、たぶんきっと幾瀬も、サラの言葉に雷の様な衝撃を受けたと思う。

 恥ずかしくない。可愛い。だからブルマをはきたい。単純な事の筈なのに、ただただ真っ直ぐな思いを口に出しただけなのに、俺達にとっては青天の霹靂だったのだ。


「サラちゃ……」


「男子は出て行って下さい!!」


 幾瀬の言葉を遮って、とうとう誰かがそう叫んだ。

 その声を皮切りに、まだ制服姿のままの女子たちが自分が見られたみたいなテンションで悲鳴を上げ始める。


「女神……!」


「友城! まずい、行くぞ!」


 この状況でまだ正気を取り戻せない友城の腕を引っ張って俺は教室を後にした。 

 教室の出入り口付近で構えていた女子が、最後の男子生徒が出て行くのを見計らってぴしゃりと引き戸を閉めると、追い出された男子達は顔を見合わせる。あれは一体何だったんだと。

 何だったのかと言えばそれは突然女神が現れたのだとしか言えない。

 放心状態の友城を引き摺る様に奴のクラスへ送り届け、俺も体育の授業に出る為に着替えを始める。男子はどこでかと言うと追い出された先の廊下でと言う扱いだ。

 当然体育の授業も男女別々であるが、校庭のどこかに女子達を確認する事が出来る。そうして、体育が始まり、いい加減な柔軟体操をしながら女子達……サラを確認した。

 集団の中に居てもすぐに分かるその美しい金髪は、ポニーテールにまとめられていてそれはそれでまた魅力的だった。しかし、そのキラキラ輝く金髪とは対照的にサラの表情は暗く沈んでいて……体操着として着用していたのはブルマではなく、ハーフパンツだった。


「大嶋ぁ! ちんたらやってっと怪我するぞ!」


「うっ……はーい!」


 確認が出来ただけでもう十分だ。

 予想はしていた。

 制服はちゃんと学校指定の物を着用していたのに何故ブルマだけ個人的に用意して来たのか不思議だ。何か文化的な勘違いでもあったのだろうか。

 ブルマ最高と言っていたし、ブルマをはく事に何の抵抗もなかった……むしろ喜んでいた様だが、この学校では……、いや、全国的にブルマは体育に推奨されていない。生徒会書記加納の見ている前で、ブルマで授業を受けるなど絶対にあり得ないのだ。

 ありがとう、サラ。

 ほんの一瞬とは言え、とても素晴らしいものを見せてくれて。そして、ブルマは可愛いと、俺達が言えない事を代弁してくれて、ありがとう。

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