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ブルマ部  作者: 焼肉一番


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亜子ちゃま

「ひっ……!! ああああ亜子! 亜子……! なんて姿を……!」


 安池は仰け反り、そのまま尻もちを付いた。試合の疲れもあったのだろうが、足はカクカクと震えてどうも簡単には起き上がれなさそうである。


「どう言う事ですか! 亜子さん!」


「すぐにショートパンツをお上げなさい!」


 尻もちまでは付かなかったものの、内山田も加納も随分と狼狽えている。破廉恥だ何だとブルマを隠そうとしやがるが、何が破廉恥なもんか。亜子のブルマ姿は超絶可愛かった。サイズが合ってないのか、足の付け根当たりのブルマが少し余って弛んでるけど、それ含め亜子の魅力になっている様だ。うん、これはブルマの着こなし術とでも言うのかな! とにかくナイスだ!

 可愛い可愛いと俺達はネットをくぐって亜子を取り囲んだ。


「こら! 亜子様に近付くんじゃない!」


 内山田にシッシッとハエの様な扱いを受けるがみんなそれどころじゃない。盛り上がってるのは当然俺達だけじゃなくて、それを目撃したギャラリーもそうだ。なにせブルマ解禁を賭けてのバレー勝負だったのに、ブルマ反対派の生徒会にブルマをはいてる奴がいたんだからな。


「私は……あなた達に、勝って欲しかったの……」


「……それで……、それで自分を狙わせれば俺達に勝機があると思って無理やりバレーに参加したのか?」


 黙って頷く亜子を見た安池の表情は、みるみる凍り付く。


「ごめん……なさい、お姉ちゃん……。でも、お姉ちゃんと一緒に戦いたいって、言うのも本当で……、だから、お姉ちゃんが私を守ろうとして試合が台無しになっちゃうのも、嫌で……それにね……それに、ね……お姉ちゃん、お願い、聞いて……見えてる……から……」


「何なの……亜子……何が見えてるって言うのよ……」


 俺達は亜子が何を言わんとしているのか分かっていた。亜子も、俺達が気付いていると思ったのだろう。俺達の顔を一通り見てから、何となく気持ちを共有した上で改めて安池にこう言った。


「パンツが見えてる、よ……」


 最後まで聞かずに、安池が素早く足を閉じた。

 内山田が黙って手を差し伸べ、それに捕まって立ち上がりはしたものの、何も言わないまま下を向いている。


「お姉ちゃんは、ブルマを破廉恥って言ったけど……。本当は、お姉ちゃんが回転レシーブをする度に、その……ショートパンツの隙間から、パンツが……チラチラ見えて……いたんだよ……」


「なっ……!」


 安池は弾かれた様に顔を上げ、お尻を抑えながら辺りを見渡した。すでに体育館には、センターコートの四方どこにでも、旧体育館から飛び出して来ていた生徒達が居たのだ。その中には手にスマホを構えている者も居る。


「もちろん加納のも見えてた。たぶん、あのカメラに突っ込んだ時……とか、どんな絵が撮れてるのか、心配なくらい……」


「そっ……そんな!!」


 それを聞いた加納も、安池と同じ行動を起こしてしまう。今は見られていないだろうに、こうしたくなるのは心情と言う奴か。


「聞いて……、ブルマは、ここにゴムが入ってるからそんな事にはならない……」


 亜子が自分の足の付け根をなぞってブルマのゴムをアピールする。


「下着と同じ面積で恥ずかしいとか、破廉恥とか、全然そうじゃないの……。この格好だからこそもっと気を付けるし。でもショートパンツとかだと……無意識に何度もチラチラして……、お姉ちゃんの方が……お姉ちゃんの方がよっぽど破廉恥だよ!」


「あ……亜子……亜子……」


 安池が膝から崩れ落ちた。


「はぁ……なんて事だ……加納だけならまだしも、我らが会長がこんな……」


 そう言って頭を抱える内山田の言葉には、どこか安池を責めるようなニュアンスが含まれていた。盲目的に安池に傾倒しているだけの犬かと思ったが、自分の主君には常に完璧を求める面倒なタイプなのかも知れない。


「内山田にいたっては……玉……が、見えていた。ハッキリって何見せてくれてんだって思った」


 姉を責める内山田が許せなかったのか、亜子がとんでもない爆弾を落とす。その爆弾に内山田はまんまと狼狽えた。


「なっ! そっ……そんな筈は! そんな筈はないだろう! 太ももまで隠れているのにどうしてそんな事が……! あり得ない!」


「はっはっはー! あり得ないかどうか見てみようぜ! チャレンジ!! ビデオ判定しろ!」


 さも楽しそうに友城がはやし立てる。


「チャレンジチャレンジ! いつ見えたかだいたい分かります! 二回はチャレンジさせてください!」


 そう言ったのはなんと幾瀬だ。いつ見えたか分かるとか……。ああ、俺ブルマはいてて良かった……。マジで良かった……。


「やっ……やめろ! チャレンジするな! 頼むから……クソ……」


 とうとう、内山田もその場にへたり込んでしまった。全校生徒の前で玉が見えていたなどと言われたのだ。心中察する。


「ううっ……亜子ちゃま……はっ……亜子ちゃまはっ……ヒクッ……ブルマの方がっ……優れてるってっ……思うのぉぉぉ?」


 あ……亜子ちゃま……?? 安池の様子がおかしい……。

 完璧主義の人間、向上心の強い人間ほど、頑張って頑張ってそれが報われなかった時のショックが大きいらしい。それ故、こんな風に子供返りしてしまうのは偉い立場の人間や一流大学卒の人間に多いと聞いた事がある。

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