↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブルマ部  作者: 焼肉一番


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/40

新たな女神

「ソーリー……」

「ううん」

「ま、しょーがねぇだろ」


 謝るサラに幾瀬と友城がそう答える。本当に、仕方がなかったのだろうか……。どうして、勝ちに行かなかったのだろうか……。どうしてもモヤモヤしてしまう俺の言葉を代弁してくれたのは、なんと敵チームの亜子であった。


「どう……して……?」


 満身創痍のその身体をどうにか動かして、ネット越しにそう尋ねる亜子。


「オー、アコ、ナイスファイトね!」


 サラもネットに近付いて、話し掛けてきた亜子に激励の言葉を伝えた。


「そんな事聞いてない……どうして私を狙わなかったの?」


「やめなさい亜子、そんな破廉恥な連中に近付いてはダメよ」


「そうです、勝ったのは我々です。亜子様を含め、我々が強かっただけの事」


 いつも安池の後ろに隠れているイメージの亜子が、こうして自分の聞きたい事を聞いていると言うのに、安池も内山田もそれを止めている。


「二人共黙ってて!」


 亜子の大きな声に、安池も内山田も……ついでに俺もちょっと、怯んだ。恐らく、亜子がこんなに感情を表に出す事は珍しいのだろう。


「二人共……本当は分かってるんでしょう? ねぇ、加納も、分かってるんでしょう? あのまま私が狙われてたら……、勝ってたのは……」


 足を引き摺る様にして、加納もこちらへやって来た。亜子の質問にイエスもノーも言わないが、その目は真意を知りたがっている様に見えた。


「どうしてって……だって弱い者いじめは、ブルマのする事じゃアリマセン!」


「!」


 サラの言葉に、俺がハッとする。

 そう……、そうだ……。その通りだ……。

 俺は……情けない! ブルマの為に戦っていた筈なのに、いつしか勝ちに固執して、ブルマでやってはいけない事をやってしまっていた……!


「何……言ってるの……? 負けたらはけないんだよ!」


 すべてがスッと腑に落ちた俺とは違い、亜子はちっとも理解出来ていない様子だった。何と言ったものかとウーンと顎を弄るサラに変わって幾瀬が言う。


「だとしても、ブルマは正義の存在でいたいから……。あれ以上亜子ちゃんを狙うのは、戦略じゃなくて弱い者いじめだもん」


「ま、俺はそんな強いポリシーもなかったんだけどよ、あれで勝ってブルマに悪いイメージが付いちまったら嫌だしな」


 チェッ……。みんな、カッコ良いや……。

 モヤモヤしていた俺の心は、お陰さまですっかり晴れた。試合には負けた。ブルマはもうはけない。だけど、試合に負けたからと言ってブルマが何の役にも立たないものだと、見ている連中は思っただろうか? いや、違う筈だ。本当はきっと、生徒会だって分かってる。だけど安池がこう言うのも……、こう言わなきゃならないのも分かってる。


「何をどう言っても構わないけど、勝負は勝負。私達の勝ちよ。約束通り、速やかに着替えてもらいますから」


 抵抗するつもりはない。俺達は頷いて、コートを去ろうと一歩踏み出した。亜子はまだ納得が行かないのか、ネットを握りしめたまま動かない。


「さ、亜子……」


「…………」


「亜子? どうしたの、行くわよ、すぐに傷の手当をしなきゃ、いっぱい打身が出来てしまったでしょう、可愛そうに」


「……ね……お姉ちゃん……、ブルマって……ね、重ね着が楽、なんだよ……」


「え?」


 怪訝そうな安池の声。俺達も突然の亜子のブルマ擁護に足を止めて振り返る。


「いきなり何を言ってるの亜子、頭を強く打ったのね、念の為精密検査を……」


「上にはくのがスカートじゃなくても……、たぶん、ピッタリしたパンツでも、大丈夫、なの。だから、もちろん、こんなブカブカのショートパンツなら……」


 そう言って、亜子は自分のショートパンツの両サイドをおもむろに握りしめた。


「下にはいてても……全然、邪魔にならないんだ……よ!」


 シャッ! と、それは紛れもなく布ずれの音であった。亜子がショートパンツを降ろす際に生まれた、布ずれの。


「おおおっ?! そっ……それは……!」


「オー……、アメージング……! アメージングアコ!」


「す……凄い……こんな……こんな事って……」


「おっ? 似合うじゃん」


 そこに突如現れた新たな女神に、俺達がそれぞれ反応してもなお、安池の顔は固まったままだった。どうやら理解が追い付いていないらしい。そりゃ俺達も相当驚いたから無理もないだろ。

 亜子の、ブルマ姿に。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。