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ブルマ部  作者: 焼肉一番


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33/40

田中覚醒

「もうあげないわよ! はぁっ!!」


「げぇっ!」


 安池のやつ、あんなボールをバックアタックで返しやがった! しかもなんて威力だ。一直線にこちらのコートに突き刺さり、友城も反応出来ない。あれがあるから安池は迷わず後衛に入れたんだな。まだ内山田がどんなスパイクを打つかは分からないが守備力の低さをカバー出来る火力がありそうだぞ。


「ちっくっしょ! 次は止める!」


「ドンマイ田中君!」


「次のサービスは安池だ。止めるぞ友城」


「おうよ!」


 慣れた手付きでボールをタンタンとリバウンドさせてから、安池は随分と後ろへ下がった。そしてそのボールを前方に高々と上げ、そこへ走り込んで飛び上がる。そのまま上半身を大きく逸らせ……!


「ぐあああっ!」


 狙われたのは友城だ。反応はしていたものの、ボールが上がる事はなかった。


「すっ……凄い……、女子でこんなに有効なジャンプサーブが打てるなんて……!」


 幾瀬が驚嘆してそう言葉を漏らす。素人の俺には良く分からないが、女には向かないサーブを決めやがったって事か? 全国制覇は伊達じゃないな。

 安池は表情を崩さず、また後ろへ下がる。今度はどっちに来る……?!


 バシィッ!


 やはり友城だ! 二回とも対応出来ていないからとことん狙うつもりか?


「ああもーちくしょうーっ!!」


「なっ?!」


 コートにボールが触れるギリギリのところで、友城はまさかのスライディング! ボールの下に足を滑り込ませて上へ蹴りあげた。


「わりぃ……」


「生きてるよっ!」


 つい足を出してしまって謝る友城だが、幾瀬がそれを拾ってサラに繋げる。


「ブル魔女アタック!」


 サラのスパイクは正確に亜子を狙い、避ける事も出来なかった亜子はボールを受けて後ろへ仰け反った。


「あっ……亜子……っ! ドンマイ! 切り替えるわよ!」


 思わず駆け寄ろうとした安池だったが、それを堪えて次のターンに備えた。どうやら本当に腹を括ったらしいが……さっきの攻撃、ありなの?


「イエーイ! トモキ! グッジョブ!」


「凄いよ田中君!」


 サラと幾瀬がハイタッチを求めて走って来たが、俺達はまだ半信半疑だった。


「え……俺思わず足で蹴っちゃったんだけど……反則じゃねぇの?」


「うん、手で受けた方が正確だし次に繋げやすいからみんな手を使うけど、足でやっちゃっても反則じゃないよ」


 へぇ……。初めて知った。俺も友城も、そのレベルでバレーの知識がない。


「なぁんだ! 早く言えよ! それならもっと受けてやるぜ!」


「えっ……でも……今のは上手く行ったけど、まともに上にあがらないんじゃ……」


「大丈夫大丈夫! 俺足使う方が上手いんだ! 見てな! 俺の足技でサービスエース決めてやるから!」


「サーブは手だけだよ!」


「え? なんだそうなのか……」


 そうなのか……。俺も知らなかったけど危うく馬鹿な反則で一点くれてやるところだった。

 友城の腕によるサービス。大丈夫、腕でも友城は器用に打てる。俺よりも威力の高いそれは亜子に当たれば決まっていたであろうが、それは安池の方へ飛んでしまった。


「くそ……、やっぱ手じゃ調子出ねぇな」


 安池が難なくレシーブして加納に繋ぐと、加納も丁寧で正確なトスを上げる。いよいよ内山田のアタックが来……


「!」


 俺の横を風が駆け抜けて、もう、無理だと思った。内山田のスパイクは想像を超えていて、その一瞬で俺の闘争心を刈り取ってしまう。だが、友城は違った。


「おおおおーりゃあああぁい!」


「また足であげるだとっ?!」


 内山田が目を見開く。ルールを覚えた友城のお陰でこっちの戦力は爆上げだ!


「ブルマはいてっとよぉ! 気持ち良く足が動くんだわ!」


「当然デス! ブルマ舐めんなデス!」


「すっ……凄い! ナイスレシーブ! サラちゃん! 速攻行くよ!」


「カモン! ブル魔女アタック!」


「何度もやらせるか!」


 これで決まったと思ったのだが、内山田と加納がサラの攻撃をブロックせんと飛び上がる。ボールは内山田の太い腕に阻まれてこちらに戻って来るではないか。


「届け!」


 無理か……! いや、いつもより足が動く! 行ける!

 俺は滑り込みながら何とかレシーブするが、そのボールはゆるゆると相手コートへ戻ってしまった。これじゃあちらさんのチャンスボールだ。

 加納が冷静に、そして素早く安池へバックトス。二つで返すか。


「来るぞ奏介ぇ! どこでも良いから当てろぉ!」


「どこでも良いって……へぶっ……!!」


 考える間などあるわけもない。もろ顔面にボールを喰らって目の前に銀色の星が飛び散る。そのまま後ろへぶっ倒れてボールの行方も分からないがどうやら繋がったらしい。


「顔面もオーケーだな?!」


「うん! ナイスファイト大嶋君!」


「おらああああ無駄にしねぇ~~!」


 友城の声が遠くなって行く。上半身を起こすと、友城がコートの外へ飛び出したボールに追い付き、何故か両足を振り上げた瞬間だった。


「オーバーヘッドキーックッ!」


 相手コートへダイレクトに狙ったのだろう。それはネットぎりぎりのところをうまくすり抜け、亜子を捉えた。


「へぶっ」


 ああ、顔面レシーブしちゃうと誰でもへぶって言っちゃうんだな。亜子は俺以上に吹っ飛んで、そのまま後頭部を打ち付けた様に見えた。しかし、ボールは上がっている。

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