勝つのは俺達だ
翌日、俺達は休み時間の度にバレーボールを触った。バレー経験のない俺達の為に少しでもとサラと幾瀬がバレーの基本を教えてくれているのだが、やはり友城は飲み込みが早い。こりゃ俺が一番の穴になりかねないぞ。
陣形は前衛にサラと幾瀬、後衛は俺と友城でやる事にした。昼休みにアタックの練習もしてみたが、未経験者だとタイミングを合わせるだけでも難しい。とにかく男二人でどんな球でも喰らい付いて、後は女子二人に託す戦法だ。所詮は付け焼刃……。後はもう出たとこ勝負でやるしかない……!
「よっし! やったんぞ!」
体育館のセンターコートで、俺達と生徒会の試合は行われる。全校生徒に観戦を義務付けると言っていたが当然体育館には収まりきれないので、関係者以外はすぐ隣の旧体育館に集まる。カメラでそこにこの試合を中継するらしい。
完全に巻き込まれた形の全校生徒だが、生徒会と、あのブルマで大騒ぎをした連中がバレーボールで戦うと言う、良く分からないカードに興味はある様だ。その証拠に、休み時間の練習中に冷やかし半分で頑張れよと声を掛けられたりもした。それを真に受けたサラは試合会場と観戦場所が別と聞いて少しガッカリした様である。
「思ってたよりギャラリーが少なくてチョト残念デス……。でもカメラの向こうでみんなサン見てると思って頑張りマスヨー!」
四隅に設置されたカメラの一つにウィンクをするサラ。緊張している様子もなく本当にブルマでバレー出来る事が楽しくて仕方がないみたいだ。
「私はホッとしたけどね。もともと緊張しぃだし……みんなに見られてると思ったらふぁああーってなっちゃう……」
「俺はどっちでも良い! 早くやろうぜ! いつになったら来んだよ!」
他の生徒会員はもう体育館に集まって何かと準備を進めてくれていたが、肝心のバレーメンバーはまだ姿を表していない。その友城の声が聞こえたワケではあるまいが、タイミングよく安池達はやって来た。
「お、噂したら来たじゃねぇか」
その出で立ちは、学校指定のTシャツにブルマと言う俺達に対し、完全にバレー用のユニフォームである。もちろん、下はショートパンツだが、プロのバレーボール選手のそれに比べると少しゆったりめに見えた。
うむ……こうしてみると敵ながらブルマをはいて頂きたいと思うプロポーションである。実に勿体無い。
後ろに続く内山田、加納、亜子……。三人もそれぞれのオーラを放っているが特に内山田がヤバそうだ……。制服の上からもマッチョなんだろうなってのは分かってたけど、薄着になると本当に凶悪な身体をしているぞ……。それに比べると随分と小さく見える加納と亜子。亜子に至ってはサイズの合うショートパンツがなかったのか、膝丈くらいになっている。これはもはやハーフパンツという奴だ。
「準備運動は済ませてあるでしょうね?」
「ああ、朝からずっと準備してる様なもんだ!」
「結構、では始めましょうか」
わざとらしく、肩に羽織っていたジャージを脱ぎ捨てて安池はコートに入った。意外にもそのポジションは後衛で、更にその後ろに亜子を配置。前衛に内山田と加納と言う構成だ。四人制の特別ルールで、ローテーションはサービスのみ、配置もどうしようと勝手だが……本当なら前衛二人後衛二人で配置したいよな? これは是が非でも亜子にボールがぶつからない様にと言う陣形に見えるぞ……。
「あれ? 会長が後衛じゃないか。俺の聞いた話じゃあいつはアタッカーだった筈だぜ?」
友城がそう言うと、俺の脳裏にあの時の安池の言葉が蘇る。「絶対にお姉ちゃんが守ってあげるから大丈夫」と、そう亜子に約束していた。わざわざ本来のポジションを投げて、亜子を守る方に専念すると言うわけか。いよいよ良いじゃないか!
「どうやら予想通り、アコが穴デスヨこれは! サラ心を鬼にして後方へ打つデス!」
「分かった、私もそのつもりでトス上げるね!」
やる事は決まった。俺達はあの時みたいに円陣を組んで気合を入れる。
『イエス! マイ! ブルマ!』
勝つのは俺達だ!
ピッ! と鋭く笛の音が鳴って、とうとう、ブルマ隊VS生徒会の試合が始まった!




