バレーボール勝負
「では……、まさかブルマを解禁しろと……校長はそうおっしゃるんですか?」
投稿内容を知らされていなかった生徒会員達が安池の言葉にどよめく。
「いくらなんでもあり得ないでしょう! 一部の生徒の為にどうしてあんな恥かしい物を認めなければならないの!」
バンッ! と長テーブルを叩いて加納が立ち上がった。
「ブルマは恥ずかしくないデス!」
サラが間髪入れずに抗議の声を上げる。
ギリリと睨み合うサラと加納。
「お静かに」
声を荒げる事なく、安池が一喝すると、それだけで場の空気が変わった。
「どう考えてもブルマを解禁する気にはなれません。私も、加納と同じ意見です」
「会長……」
安池に意見を認められた加納はうっとりと安池を見詰める。
「では……安池君はこのまま生徒会の信頼が失われても良いと考えるのかな?」
「こんな事で地に落ちる様な活動をして来たつもりはありません。それでごく一部の生徒からの信頼を失ったとして痛くも痒くも……」
「お姉ちゃん……らしくない」
「ええっ?! ああああ亜子?! 今一体何と言ったの?!」
何を言われても取り乱さなかった安池が、亜子の一言で大いに狼狽える。俺達からしてみればこっちの安池の方がらしくないと思うのだが。
「お姉ちゃんは、いつでもパーフェクト……。生徒の信頼だってパーフェクトを目指さないなんてお姉ちゃんらしくない……」
「あっ……亜子……! 亜子ーっ! お願いよそんな事言わないで! お姉ちゃん頑張る! 頑張るから嫌いにならないでーっ!」
亜子のガッカリ顔に慌てふためいた安池は、とうとう偉そうな椅子から立ち上がって亜子に縋りついた。
「大丈夫……だよ、お姉ちゃんはいつでもパーフェクト。きっと生徒からの信頼だって勝ち取れる……。例えば……ブルマが何の役にも立たないって事を全校生徒に分からせる事が出来たら、きっとまたみんなお姉ちゃんに付いて行くと思う」
亜子の奴、一体何を言い出すんだ。これはまずい流れなのでは……。
「なるほど……、さすが亜子! 校長、この亜子の提案、もっともだと思いませんか?」
「そっ……それは……そうだが、ブルマーの運動機能は決してバカに出来るものではないんだよ?」
「それなら……」
安池が何か言う前に、亜子が口を挟んだ。
「それならそれを証明する機会を作れば良い。スポーツで勝負して、生徒会に勝てたらブルマの運動機能を認める……。でも負けたら……、全校生徒の前であなた達はブルマが役に立たない事を証明する事になる。その覚悟があるのなら……、私のお姉ちゃんは逃げも隠れもしない」
「もっ……もちろんよ亜子。私が逃げたりするもんですか」
確かに……、確かに勝てればブルマのイメージアップに繋がるが、負けた時のリスクもでかい。このチャンスを潰したらもう二度とブルマ解禁の機会は与えられないだろう。出来ればもっと安全な方法でいきたいが……これくらい賭けなきゃ、何も動かない。むしろこのチャンスが与えられる事自体が奇跡なのかも知れない。
「なら! ならばそのスポーツ勝負! バレーボールはどうだろうか! やはりブルマーと言えばバレーボールではないかね?!」
校長が鼻息荒くこの話しをまとめに掛かる。こいつ……、ブルマの中でもバレーボールのブルマが好きなんだろう……。あの写真立てと言い……、あんまり興奮するとブルマニアがばれるぞおい。
「バレーボール勝負! 挑むデス挑むデス! やったぁ! コハル! サラ達東洋の魔女デス!」
サラがあまり何も考えていなさそうに西洋顔を輝かせて喜んだ。でもそうか! サラのブルマ好きは東洋の魔女に憧れての事だ。もしかしたらバレーボールに自信ありなのかも知れない!
「……そう……、それは良いわね」
サラとは全く違う表情で安池も自信を覗かせた。あまりにも不敵な瞳に、俺はぶるりと身震いをする。
「おい校長、生徒会長が中学時代バレーで全国制覇したって知ってんのか?」
「なにっ?!」
小声でそう言いながら校長を小突く友城に俺が反応する。安池のあの表情はそう言う事かよ。
校長が何も言えずに目を泳がせているが……、これはもうバレーで勝負するしかないじゃないか。なにせこっちからの提案なんだから……。
「そちらは四人なので、こちらも人数を合わせましょう。私と、内山田、加納……それから……」
「私がやる」
内山田と加納が誇らしげに頷いた傍で、そう言ったのは亜子だ。亜子の予想外の行動に安池が目を見開く。本当に、妹が絡むと表情がくるくる変わる奴だ。




