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ブルマ部  作者: 焼肉一番


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25/31

1985年

 初めから負け戦だと言う事は分かっていたので、俺達は概ねこの決戦の結果に満足はしていた。ただの自己満足だったと言われれば、はいそうですと言うしかない。それと引き換えに卒業まで放課後奉仕活動ってのは、ちょっとばかりリスクがでかかった気がしないでもないけど、それも一人じゃないから辛くないさ。

 しかし、実はこの結果に全然満足していない奴が一人居たのだ。本気であのデモ行進で全校生徒の心を掴もうと思っていた奴が……。


「こう毎日放課後奉仕活動じゃあ、今度の計画を練る事も出来ないデス……! 同じ事をやったら今度は退学とか言ってるし……マジに困りマシタネ~……」


 そう言ってサラは校長室の花瓶をキュッキュと磨いている。今日の奉仕活動は校長室の掃除だ。


「でもサラちゃん、こんな事言ったら本気じゃなかったのって言われちゃうかもだけど……私は結構スッキリしたよ? 冷静そうな顔してたけど、会長の拳ずっときつく握られてたの見た? ちょっとギャフンって言わせてやったぜっ! って、感じ……えへへっ」


「拳は見なかったけど俺は会長のパンツ見てやった。白だった。ざまぁ!」


 幾瀬と友城が掃き掃除をしながら、それぞれの方法でサラを宥めている。それでもサラはどうにも収まっていない様だ。


「うーんむ……うーんむうーんむううーーんむ……」


 サラは俺達の言葉を納得しようとしているのか、それとも何か違う方法を考えているのか、うんうんと唸りながらどデカい収納棚の掃除に移った。その収納棚は中央部分がガラス張りになっていて、中にはトロフィーやら表彰盾やらが飾られている。


「そんなとこまでやらなくて良んじゃね? 仕舞ってあるし、そう埃も付いてねぇだろ?」


 ガラス戸を開けてトロフィーを磨き出したサラに友城が言う。


「うんむんむんむん……」


「聞いてねー」


 肩を竦ませる友城に幾瀬が苦笑いを向けると、サラの唸り声のトーンが変わった。


「むむっ?!」


「……? どうした? 何かあったか?」


 友城がサラに近付くとサラは表彰盾を手にしていて……、いや、それは良く見るとどうやら写真立てである。トロフィーや表彰盾と一緒に記念写真を並べておくとか珍しい事じゃないけど……。


「こっ……この写真! ブルマデス!」


「はぁ?」


 見ると、色褪せたその写真に写っているのは紛れもなくブルマ姿の女生徒達だった。とは言え、それはバレーボールのユニフォームである。場所もバレーコートだし、何かの大会で優勝して撮られた記念写真だろう。


「ずいぶん古い写真じゃねぇか。昔はブルマで運動するのが当たり前だったんだから驚くもんじゃねぇだろ、ましてバレー部だし」


「古いデスカ? 白黒じゃないデスヨ?」


「白黒じゃねぇけど分かんだろ、この色褪せ具合とか……髪型とかで何となくよ。ほら、この優勝旗んとこに書いてあるじゃねぇか、一九八五年ってよ」


「わぁ~、可愛いなぁ~!」


 幾瀬もやって来て写真立てを覗く。


「こんなものが……校長室にあるなんて……これはとんでもないスクープデスネ!」


 どうもサラは友城の話しをイマイチ理解していないのか、テンションは変わっていない。


「どこがスクープなんだ……」


「良く考えるデス! ブルマのお弁当さえ禁止されているこの学校で、あの生徒会が! この写真が校長室に飾られているのを良しとするデショウカ?!」


「……したんじゃね? 昔の話だし……」


「否! あり得ません! この写真立ては表彰盾の後ろに隠される様に置いてあったのデスヨ! 許可したのなら何故隠されていたのデスカ!」


 サラの言う様に、本当に隠して置いてあったのならそれは少し不思議な話しではある。


「この学校のコーチョ先生……まさかのブルマ派デスヨ!!」


 不思議ではあるが、それは話しが飛び過ぎだと思う。


「なるほど……叩けばまだまだ出て来そうだな」


 納得した奴が一人。


「実はここに来た時からきな臭いと思ってたの」


 二人。


「何とか確固たる証拠を探し出してコーチョを味方に付けるデス! 少々強引でも掃除してましたで済むとか、奉仕活動さまさまデース! HAHAHAHA!」


 ああ、人ってこうやって暗黒面に落ちて行くんだな……。初めはみんな純粋だったのに、それ故に人の弱みを握ろうなどと悲しい事をしてしまうなんて。あ、あそこが怪しそうだ。


 ガサゴソ……


「マジかよ……、おい! 本当にあったぞ!」


 なんだって?!


「でかしたデストモキ!」 


 友城は校長机の下で蹲っていて、その手には紺色の何かが握られていた。まさか、それが本当にブルマだと言うのか……?

 友城は片手で握りしめていたそれを両手に持ち変え、頭よりも高く掲げてはゆっくりと広げ出した。

 嘘だろ、まさか……。何か別の……紺色の何かだろ……。なーんだやっぱりブルマじゃねぇじゃんあるわけないじゃんって言う、そう言うオチだろ……?


「じゃじゃーん!」


「ブルマじゃねーかっ!!!」


「だからそう言ったろ?」


 もったい付けて広げたわりにブルマじゃなかったって言うオチを確信してたのに本当にブルマとか校長何考えてんだ?!


「とうとうヤッコサン尻尾を出しマシタネ……ククク……」


 とうとうってかあっさりだったけどな。

 しかし、出て来たブルマに納得できる理由がなければ……確かにこれはワンチャンあるかも知れないぞ。力関係的に生徒会には勝てないにしろ、何かが動く可能性はある!

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