ブルマにドローンを付けて飛ばしてみました
三時限目の終了チャイムと共に、俺達は制服のまま校舎裏へ集合した。事前に生徒の出入りがない事を確認してある。ここでブルマになって、校庭に繰り出す。そして俺達は声の限りブルマ愛を叫ぶつもりだ。例え百パーセント負け戦だとしても、俺達はやる。
「良し、無事だ。あったぞ」
友城が低木の中から決戦用の道具を取り出す。これも前日にこっそりここに用意しておいたのだ。
「ほら奏介」
友城からそれを受け取り、力強く頷く。それから一人一人の顔を見て気持ちが一つだと言う事を確認した。
「ブルマの可愛さ、一人でも多くの人に広めるデス」
「もう隠さない。私は私の好きな物を好きと、胸を張って言うよ」
「そうだ、俺達は、好きな物を好きだと言う。全身で好きだと表現する。それだけだ」
「おう! んじゃーいっちょ、変身しますかぁ!」
友城の掛け声を合図に俺達はブルマ姿に変身した。
『イエス! マイ! ブルマ! メタモルフォーゼ!!』
四時限目開始のチャイムが鳴る。
「特攻隊長サラセニア・バーネット! いざ参るデーース!!」
校舎裏、校庭の死角からサラが一番手で躍り出る。スタイル抜群なサラのブルマ姿は見る者に憧れを生む筈だ。
「孤高のブルマ愛好家、幾瀬小春! 今は一人じゃないっ! ……ふぁああああっ!!」
すぐに幾瀬が続く。サラよりもやや肉付きの良い幾瀬のブルマ姿は健康的でありながら、見る者にそこはかとない背徳感を与える。
「穏やかな心を持ちながら美しい愛によって目覚めた伝説のブルマ戦士! 田中友城も行くぜぇ!」
三番手は友城だ。友城のブルマ姿に関しての言及は特にない。と言うか控える。
「やーーーーっ!!」
サラを真ん中にして、少し後ろを幾瀬と友城が走る。三角形の様な陣形だ。それを四角形にするべく、俺もいよいよ、出るっ! 秘密兵器と共に!
「ブルマにドローンを付けて飛ばしてみましたぁぁーっ! 大嶋奏介! 行きまーす!!」
そう、低木に隠していたと言うのはブルマとドローンを合体させて作ったドローンブルマだ! ドローンにブルマを付けて、そのブルマの下にまたブルマを連ねて……そう、それは連凧の様な、バルーンの様な、とにかく絶大な効果が期待出来るブルマの広告塔だ! 俺はそれを高過ぎず低過ぎず、校庭からも校舎からも確認出来るベストポイントで飛ぶ様に操縦しながら陣形に加わった。
「やーーーーっ!!」
校庭の連中はすでにこちらをガッツリ見ている。その上で現れたドローンブルマはインパクト大だろう。
「どいてクダサーイ!!」
サラが速度を落とさず、体育の為に集まっていた生徒達に突っ込む。そうそこが校庭のど真ん中だからだ。
女生徒達がキャーッと蜘蛛の子を散らす様に逃げ出すと、釣られる様に男子達もそこを開けてくれた。残っていたのは生徒会書記長、加納由香だけだ。
「何やってるんですかあなた達!」
そう気丈に振る舞ってはいるが、突如現れたブルマ戦士達に明らかに動揺している。今のうちだ! そう判断した俺達はアイコンタクトで次の段階に進む事を決めた。
陣形を保ったまま、校舎側へ身体とドローンブルマを向ける。
この校舎のど真ん中、校庭を見下ろせる向きで、生徒会室があるのだ。そしてこの時間、生徒会長安池亜弥のクラスは英語! 安池はトーイックスコア満点の実績と、生徒会権力で授業を免除されていて、この時間を生徒会室で過ごしているのだ。
わざわざ俺達の体育と、安池の英語が重なるタイミングでこの計画を実行に移したんだから、ちゃんと見ていてくれよなぁ、会長さん!
ドローンブルマを生徒会室の窓目掛け飛ばす。連凧ブルマは全部で八枚。それぞれに白字で一文字ずつ書かれていて、続けて読むとそれはこうなる。
「ブルマに自由を!」
幾瀬が細い声を張り上げた。十分届いているだろうが、俺はしっかりブルマの文字が見える様にドローンの微調整に努めた。
「ブルマに自由を!」
「サラ達は! 好きな格好で運動を楽しみたい! ブルマは可愛い! ブルマは機能的! 運動に最適なブルマを禁止……するなーっ!」
「するなーっ!」
まるでデモ行進みたいに、友城がサラに続く。実際、やっている事はデモと変わらないか。
生徒会室の窓に注目していると、早々にそれは開かれた。中から安池が出てくる。
「会長! 申し訳ありません! すぐに機動隊のご指示…………!」「俺達はブルマを支持する! この自由を奪う事は出来ない!」
加納の声に被せて叫んでやる。加納の声が届こうが届くまいが、もうとっくに安池は動いているだろうがな。




