スッ……!
「奏介! 無事かっ!!」
一直線に俺の机に走って来た友城に力なく笑って頷いて、今朝と同様にあのショップバックをトンと叩いた。
「マジか……。奇跡だな」
「俺も本当にそう思う」
思い出すだけで身震いがする。
「大嶋君、ごめんね、私何も出来なかったよ!」
そう言って幾瀬も、そしてサラもやって来た。
「いや、無理もないだろ。俺だって何も出来ずに状況に身を任せてただけだ……」
二人してへこむ俺と幾瀬にサラは言う。
「サラは何かやろうとして盛大に滑りマシタ~……」
ううっ……! あれは本当に滑ったとかそう言うレベルじゃなくてサラをやばい子にしてしまったよなぁ~!
「ううぅー! ごめんサラありがとうなぁ!」
「それは良いですがお仕置き一週間デス……。掃除当番以外のとこも掃除するデス……」
しゅんと肩を落とすサラを見て、友城が怒気を孕んだ声で俺に迫る。
「はぁ?! 一体何があったんだよ!」
「友城友城声が大きい大きい」
「……でも、本当に何が起こったの? 私はもうダメだと思ったんだけど……、まるで見逃してくれたみたいに見えた」
そう……。そうなのだ。
確かに亜子の目にはブルマを確認出来た筈だ。いやその前に、ブルマをバックから引っ張り出さなかったのは何でだ? 手で触れた時に、何かに気付いた様な顔にも見えた。ブルマだと気付いた上で、取り出さなかった……? いや馬鹿な、普通の人間が触っただけでブルマをブルマだと気付く筈がない。何故……。
「俺にも良く分からないんだ。幾瀬の言う通り見逃された様な気もするんだが……、相手は生徒会長の妹、安池亜子だ、そんな事するワケないよなぁ?」
「おーそうか良く分かった何も分かんねぇんだな? だったらとりあえず考えても仕方ねぇから休み時間の間に着替えて来い」
何事にもおおらかな友城が、少しイライラした様子で俺にブルマをはいて来いと急かす。
「ええっ! いいい今からか?! もう抜き打ち終わったし直前で良いんじゃないか?!」
「うるせー。お前がはいて来ねぇから危ない目にあったんだろうが。はける時にはいておかないと次いつはけるか分かんねぇぞ、ほら行け!」
サラが嫌な目にあったからちょっと怒ってる……。食える時に食えみたいな、ブルマは俺的にそんな感覚の物じゃないんだけど、なんか怒ってるし行って来よう……。
「分かったよ、行って来るよ」
行け行けとなおも急かされて、俺はトイレへ向かった。個室に入り、ブルマを取り出す。昨日みたいに時間は掛けられないからスッとはいてしまわなければ! スッと!
スッ……!
「ふぁっ……!!」
両手でガッチリ口元を抑えて奇声を抑え込む。危ない危ない。せっかく持ち物チェックを乗り切ったんだ。ここで怪しげな行動をして台無しにするワケにはいかない。
「ふーっ……ふーっ……ふぅぅーっ……」
気持ちを落ち着かせて教室に戻る。現国と日本史はこのまま受ける事になるのか……。気をしっかり保たねば……。
それにしてもやっぱりブルマから伸び出た俺の足綺麗だったぞ。
「んふぅっ……! ふーっ……ふーっ……ふぅぅーっ……」
ダメだっ! 考えるなっ!
口元を抑えたまま教室に戻ると、二時限目開始のベルが鳴った。
「おっせぇよ! ちゃんとはいて来たか?」
友城に聞かれて俺はただコクコクと頷く。
「お前……なんて顔してんだそりゃあ……。まぁ良いや、じゃあな! 脱ぐなよ!」
そう言って友城は出て行ったが……、どんな顔してるんだろう……俺。もしかしてキモイのかな? 早くこの状況に慣れなくては。
だって家ではくのとはまた違うってもんだ。学校で、実は制服の下にブルマ……。
「んんぅっ!……! ふーっ……ふーっ……ふぅぅーっ……」
ダメだっ! 考えるなっ!
それから何度か、考えてはいけない事を考えてはフーフー言っちゃって、教師に具合が悪いなら帰れと言われたが、何とか現国の時間中に慣れて来た。三時限目にはもう発作が起きる事もなく、これなら決戦に間に合うだろう。
直前にはけば良いと思っていたが、前もってはいておいて良かった……。何だか俺だけが色々とギリギリだな。
だが、間に合ったぜ……!




