表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブルマ部  作者: 焼肉一番


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/26

万事休す

「……次」


 俺の列を担当しているのはよりにもよって亜子だ! そして亜子はすでに俺の前の席まで迫って来ている。


「はぁ……はぁ……はぁ……」


 落ち着け……。先に体操着を全部出しておいて、このショップバックの中身はこれだけですーな顔をするんだ。変に緊張していたら怪しまれる。なんとかやり過ごすんだっ!


「……次」


 来たっ!

 ドッ……! ドッ……! ドッ……! ドッ……!

 目に見えて左胸が動いてやしないか心配になる程、俺の心臓は早鐘を打っていた。

 落ち着けと思えば思うほど手に震えが来る……。


「んっ……」


 あまりやる気のない感じで、亜子は俺の机の上の物をチェックし始めた。撫でる様に手を動かすだけでじっくりチェックする素振りは見せない。これならなんとかやり過ごせるかも……! と、思った時、亜子のショップバックを撫でていた手が止まった。


「……何か、硬い物が入ってる」


「かっ……硬い物……?」


 ファールカップうぅぅぅぅ~~~~~~~~!!


「いいいや? 見ての通り体操着はぜ全部机の上に出てるしその袋は体操着入れだしなな何も?」


 俺の下手くそおぉぉぉぉ~~~~~~!!

 亜子は無表情のまま俺の顔色を伺っているようだった。

 当たり前だよね! 怪しいものね!


「見せてもらう……」


「オッホーン! 生徒会のみんなサーン! サラ懺悔シマース! 実は今日サラいけない物を持って来てマース! さぁさぁみんなサン、総出でサラをチェックしないと見つからないかもデスヨ~!」


 極めて明るい声でサラが唐突に手を挙げて言った。

 あいつ……! まさか俺を庇って……!


「……サラセニア・バーネットか。ふざけてないで全部机の上に出しなさい」


 サラの直前まで迫っていた生徒会員が、担当中の生徒から注意を逸らされた。いや、そいつだけじゃない。クラス中がサラを見ている。


「ノーノー、クイズデース! 探してくれないと見つかりまっセーン!」


「いい加減にしなさい!」


「そうそう、いい加減諦めてサラのいけない物捜索隊カモーン!」


 サラの挑発に乗るかたちで、生徒会の連中がサラの机のまわりに集まる。

 サラが捨て身で作ってくれたチャンスだ。この隙になんとかブルマをチェック済の荷物の中に潜り込ませれば……。

 チラリと亜子を見ると、なんと亜子の視線はまだショップバックに固定されたままだった。


「そっち、任せるね」


 サラの方を見ないまま、亜子は生徒会員達にそう声を掛け、バックを持ち上げる。


「サラは総出で来いと言いマシタ! 見つけられなけば生徒会汚名オーケー?!」


「座りなさい!」


 なんて事だ! すまんサラ……!

 サラの叫びも空しく、亜子の腕がショップバックに入る。その指先はもうブルマを捉えただろう。

 万事休す……!!


「……ん?」


 亜子は小さくそう言うと、中身を取り出さずに自分の顔をバックに近付けた。薄手なビニール製のショップバックなので外から透ける事はないものの、口を開ければ中に何が入っているかは鮮明に分かるはずだ。


「うん……」


 どう言う意味でか、亜子はうんと言った。

 俺の心臓はもううるさくはない。切り抜けるのは不可能だと悟ったら、自然に落ち着いてきたさ。


「……次」


 へっ?

 膝の上で固めた拳を眺めていた俺は、亜子の意外な言葉に驚いて顔を上げた。後ろの席に歩き出していた亜子はそれに気付いて足を止める。


「何?」


 幼い仕草で首を傾げる亜子。表情が、読めない……。


「いや……何でも……」


「そう」


 そしてまた歩き出す亜子を、俺は目だけで見送った。固まっちまって眼球しか動かなかったのかも知れない。


「ナーンチャッテ! 嘘デース! これサラの国で最高に流行ってる嘘っこゲームデス! 最近争いが絶えない事に気付いて廃れましたけど、時々やると楽しいデスネ~! みんなサンもたまにどうですか~? ナーンチャッテ! HAHAHA!」


 ううっ! サラ、ありがとう! 大丈夫だった! お前のお陰じゃないと思うけどなんか大丈夫だったよ! だけどあんな無茶をしたから今度はサラの方がピンチになってる……。反省文の提出と一週間の放課後奉仕活動を言い渡されている様だ。全部俺が代わりにやってやるからな、サラ。

 幾瀬の方に視線を投げると、胸に手を当ててホッとしたジェスチャーを作ったが、サラの方をチラリと見ては苦笑いをし合った。

 そうして生徒会の抜き打ちチェックを何故か乗り切り、そのまま一時限目が始まった。それも終わると、友城がまだ終了チャイムの余韻があるうちに教室に掛け込んで来る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ