大は小を兼ねる
「大嶋君、田中君……、私ね、私やっと分かったの、サラちゃんのお陰で分かったの。好きな物を好きって言う事の大切さ……。今日、みんなで食べたブルマのお弁当、本当に美味しかったし、楽しかった」
ああ、良く分かる。
俺には友城と言う仲間が居たけど、幾瀬はずっと一人だったワケだからな。
だけど今度からはサラも、俺も友城も同じブルマ仲間だ。ばれない様に気を付けてまたブルマ弁当を食べられる日を迎えられればそれで……。
「だから私……、どうしてもブルマ禁止に納得出来ないよ! だって可愛いんだもん! コスプレじゃなくて、これでしっかりと体育の授業を受けたい! お願い協力して!」
「はぁっっ?!」
「ゴブッ……!」
思わず大きな声が出た。横で聞いていた友城も盛大にお茶を拭き出し、変なとこに入った様でゲフゲフ咳込んでいる。
「サラも同じ考えなのデス! ブルマ文化ここで消してしまうのモッタイナイデス! 少しだけ恥ずかしいと言う気持ちも分かるデスガ、好きな人は好き! それまで禁止するのはチョトおかしいデス!」
「ねっ! サラちゃん! そうだよね!」
「ソーデス! コハル!」
ガッシと両手を組み合わせて見詰め合う二人に、俺は何とか言葉を捻り出した。
「お、落ち着くんだ二人とも。俺は二人の言ってる事すげぇ~良く分かるぞ? 分かるけど、さすがにブルマ禁止を覆すのは無理があるんじゃないか?」
「協力ってどうすれば良いんだよ?」
俺のもっともな意見に対する二人のリアクションを待たずに、ようやく咳が止まった友城が割って入る。まだ涙目のクセに。
「うん、もちろんそれについてもサラちゃんと話し合ったよ。あのね、みんなが抵抗があるのは、女子だけがブルマだってのが大きいと思うの。だから……」
「おいおいおいおい待て待て待て無理無理無理」
今、恐ろしい事を言おうとしていなかったか?
女子だけがブルマだからダメなんだと、だから……の続き、安易に想像出来るけどめっちゃ怖いんだが。
「どうして! 奏介くんもブルマ好きだって言ったじゃない!」
「好きな物を着る権利が私達にはありますデスの!」
「好きだけど着たいってワケじゃないっ!」
……いや、まぁはけるもんならはきたい気もするけど。
「えーっ!! お前ら! 俺らにブルマになれって言ってんの?!」
友城がこのタイミングで気付いて喚く。気付くの遅い、などと責めるつもりはない。今のは俺の察しが神がかっていただけで普通はまさかそんな事を言い出すとは思うまいよ。
そもそもだ、そもそも思春期男子は心とは裏腹に下半身が反応してしまうケースがあってだな、そんな際にブルマでなんか居たら……。誠心誠意、誓って言うが心とは裏腹な思春期のあれによるあれなんだが……ああ、信じてもらえるだろうか? これを女子にどう説明すればいいんだ……。
「バッカだなぁお前ら。男がブルマなんかはいて勃起しちまったらどうやって隠せば良いんだよ」
うわ~~~田中友城! こう言うとこホント田中友城! 助かるけど!
「そっ……それは気を付けてコントロールを……」
サラは言葉の意味が分からないのか、ただ黙って友城を見詰めているが、幾瀬はなおも俺達にブルマをはく様にと説得に掛かるつもりだ。
「コントロール出来ねぇ時もあんだよ!」
「どっ……どうして……」
「知らねーよ! ちんこに聞けよ! 別にエロい事考えてなくても勃起すんだって! まぁ考えてる時もあるけど! あいてっ!」
友城に任せてしまったのは俺だがさすがに少々強めに殴って黙らせた。
「いってぇな、何すんだよ」
「お前の言ってる事はもっともだけど少しはオブラートに包め」
そう言って幾瀬の方を見る様に促す。幾瀬はまた、あの時みたいに真っ赤な顔をしていたのだ。
「包んだところで本当の事だろうが」
「トモキ! 安心してクダサイ! 閃きましたデス! 私に良い考えありマース!」
「サラちゃん、本当?!」
意味分かってたのか……。
「男の人スポーツの時おちんちん痛くしない様にファールカップ付けますネ!」
そんな日本語も知ってるんだ……。
「そのカップをブルマに縫い付けてしまえば……」
「そうか! それなら勃起してもカップ以上は出っ張らないぜ!」
「賛成すんのかよ?!」
俺のツッコミも虚しく、三人は大いに盛り上がり、これならイケるとハイタッチをし始めてしまった。
「お裁縫なら私に任せて! 手先は器用な方だから何とか出来ると思う!」
「ならサラはこの後スポーツショップへ行ってブルマとファールカップを手に入れて来マス!」
「一緒に行くぜ! サイズを間違えたら大変な事になるからな!」
「オ~……トモキ~! もちろんサラはLサイズのファールカップを買うつもりデシタ~! 大は小を兼ねる、サラこの日本語好きデスヨ!」
「バッカ俺のは小じゃねぇよ!」
「HAHAHAHA!」
「わーははは!」
「うふふふふっ」
幾瀬までくだらないシモネタで笑っている。
こ……これは……、とてもじゃないが止められる空気じゃなくなった……!




