020 ばーにんぐじょわ、神。
さっきの山で、砂をちょっと貰ってきた。なんかキラキラしてる、綺麗なやつ。凄く深いところにあった。
これでえっと、地下しか掘ってないはずなのに木材が手に入ったから、これで型を作る。熱して圧縮して、ふんぬーってすれば鍋の型の出来上がり。あと、槍も作っておく。前みたいに柄まで鉄製にしないように、さっきの地下にあった謎木材で柄を作る。
「完璧。今度はちゃんと準備した」
『うん! 出来たね!』
泉の水がちょっと濁ってる。土壌もいつの間にかちょっと悪くなってる。私の作業所なのに、赦せない。
「えい」
『え!? 今何を投げたの!?』
「なんか、水に入れると水が綺麗になる宝石。いっぱいあるし、入れとく」
ついでにこの宝石を砕いて、土壌に混ぜる。ばら撒いて土砂をどしゃーって混ぜ混ぜすれば、はい完成。綺麗な土地と泉の出来上がり。
この泉、水源は地下から湧いてるみたいだから、地下の水源にもさっきの宝石を投入しておこ。元から綺麗なものを更に綺麗にすれば、もっと綺麗になる。そうに違いない。
「鍋、作る」
『あ、やっと鍋作るんだ……』
名称不明の黒い金属と、白い金属。5000度の超高熱で溶けるこれ、なかなか混ざらないから根気よく混ぜる。溶かして混ぜて、溶かして混ぜて、マーブル模様が綺麗な縞模様に、それが更にムラがなく混ざったら完璧。これを……あ、さっきの水が綺麗になる宝石を砕いて混ぜちゃお。何事も、挑戦。
『ジーナちゃん、僕の鑑定だとね? さっきの白黒の金属は、デモンズタイトとエンジェルタイトって名前が出てるんだけど……』
「ん? 知らない。頑丈で、軽くて、悪魔的なやみつきの味になって、天使的な優しい柔らかさが出る。最高のお鍋」
『そっか、うん……。そっか……。伝説の魔剣とか聖剣の素材だって、書いてるあるんだけど……』
私の詳細鑑定要求は、よもぎちゃんが入手した情報から更に掘り下げた内容がわかる魔法。でも、たまーに失敗することがある。この鉱石を鑑定しようとすると『よくわからんのう~なんじゃろうなぁ~』って出てくる。多分、薄々感じてるもう1人の私が、私に余計な情報を与えるべきじゃないって判断して隠してる。
難し過ぎる情報を頭に入れると、頭が痛くなる。本気で知りたい時は必死にお願いすれば教えてくれるし、今回は~……まあ、別にいい。だって、便利な金属だな~ってぐらいの認識だし。料理の味が良くなる金属なんて、本当に凄い。便利~。
「お鍋、4つ。槍に、特大剣も作る。あと、調理器具全部これにする。フライパンも作る」
『槍と特大剣は……?』
「ん? このお鍋、大きいから。かき混ぜる用」
『ひぃいぃぃ~……!!』
型に流し込んで……あ! この砂で作った型、ぐつぐつシューシュー言わない!! 崩れないから、後で整形する手間が減るかも!!
調理器具も全部、包丁から泡立て器、フライ返し、へら……。思いつく限り全部作っておく。前の聖剣コピーした包丁は……いらない。泉に捨てちゃお。大鎌は草刈り用だから、持っておく。
『ええええええ!? 捨てた!? ねえ今前に作ったの捨てたよね!?』
「うん。いらない」
『いらないでやって良いことと悪いことが……!!』
「よもぎ、めっ! 綺麗にしたんだから、土足禁止」
『そんなぁ~……!! ルリアーナが、泣く……』
出来た。これが私のサイキョーの調理器具達。どんな出来栄えかな?
「詳細鑑定要求」
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【名称】悪魔の誘惑、天使の微笑み、聖女の魔眼
【情報】
内容物の品質の向上、そして内容物の全てを祝福し、誘惑の呪詛がかけられている傑作。
本来混ざり合うはずのない2つの鉱石、そして聖女の魔眼という宝石が混ざり合い、有害な全ての毒素を祓う効果が付与されている。
使用者の知識によって、内容物の経過時間の調整や自動撹拌なども可能になっている。圧力調整も可能。
とても大きな寸胴鍋である。フライパンも同じような品質である。
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「ん、完璧。青ラメ入り寸胴鍋」
『ああっ!! 名前が青ラメ入り寸胴鍋に変わった……!! 哀れ、伝説の数々……』
「台所作成」
良い感じ! じゃあ、これでカレーを作る。時間調整も自動撹拌も出来る、ヒャアさんにあげた箱の上位互換鍋!!
まずはフライパンでお肉に焼き目を付ける。空のおいしいと陸のおいしい、どっちも入れる。チキンカレーとかポークカレーとか、私には関係ない。全部入れて全部おいしい!! 野菜も、好きなものだけ入れる。じゃがいも、にんじん、たまねぎ!!
お鍋の1つだけはスパイス控えめ、よもぎちゃん用。その他は全部私の! 激辛!! 激辛!! 超激辛!! 触るとやけどするサタンレッドっていう、唐辛子の5000倍のやつも入れる~!!
『ぴゃぅ~……!!』
「よもぎちゃん、これを取り出しただけでこれだもんね。食べられないね」
『ぴぃぃ~……!!』
いっぱい入れる、いっぱい入れる……。えへ、えへ……!! ここまで入れたの、イッチししょーが『俺は激辛党だから平気だぜ!』って意気込んでた時以来。あの時、イッチししょーが初めて『参りました。もう辛党を名乗りません』って負けを認めてくれた。イッチししょーに唯一勝利した瞬間!
どんどん投入して、具材がドロドロに溶けてるやつと、具材が半分溶けてるやつと、具材がしっかり残ってるやつの3種類作る!! よもぎちゃんは具材が溶けてて甘いやつが好き。ハチミツ入れてあげるね。
「えっへ……!! えっへへ……!! カレー……!! カレー!!」
『お米は大丈夫なの~!!』
「あっ」
すっかり忘れてた。お米はレイショーししょーが毎月買い溜めてくれたのがいっぱいあるから、飯盒を作る。野外でお米を炊くなら、飯盒が大正義。飯盒以外勝たない。これもさっきの鉱石ミックスの余りで作っちゃお。まだ残ってたよね? 型は~……あ~……雑に作るとあとでよもぎちゃんから馬鹿にされるし、ちゃんと作ろう。
「――――ん、良い感じ」
『わあ~。煮込む段階に入ると、やっと近づけるよ~』
「蓋をあけたら?」
『死んじゃうからやめて!!』
辛党じゃない人に、辛いのをおすすめするのは悪いこと。食べられないものは食べられない。私がセロリとパプリカとお魚が嫌いなように、辛いのが嫌いな人も沢山いる。だから、無理強いしてはいけない。
カレールーは、レイショーししょーに『異世界の神器ィー!! バーニングジョワカレー、これしか勝たんー!!』ってやつを買って貰った。バーニングジョワカレーは神。火を止めて、ドロドロになるまで投入する。時間経過と自動撹拌を活用して、面倒なルーを溶かす作業も…………あっ。
「槍と特大剣、いらなかった」
『哀れ……!!』
自動撹拌あるのに、槍も特大剣もいらなかった。かき混ぜ棒の役目すらなくなっちゃったから、うーん……何か使い道あるかもしれないし、とりあえず持っておこ。
「ん~ふ~ふ~。ふふ~んふんふ~ん」
『お料理してるの、楽しそうだね~』
「うん。洗うのは嫌い。面倒臭いから」
『それも、分離とか、収納して分離とか、そういうので楽出来ないの?』
…………?
「よもぎちゃん」
『うん?』
「どうして今まで黙ってたの?」
『えっ、えっ、だって、出来ないのかなって思って』
「…………よもぎちゃん、辛いの食べる?」
『ええっ!? 無理強いは駄目だってししょー達に言われたでしょ!?』
「ぶぅぅぅうう~。たまねぎ増やす」
『あ!! 僕は普通の犬とは違うので、たまねぎ食べても死にませ~ん! ふふん!』
「ぶぅ~……」
そういう使い方があったの、気が付かなかった。今度からお皿とかお鍋の汚れもこれでいける……。今まで、なんて無駄なことをしていたんだろう。
なんだったら、食べ残しを一箇所に集めて最後の一口とかも出来る……。うう、酷い。今までどれだけカレーを無駄にしてきたんだろう……。カレーさん、ごめんなさい。
「うう……。でも、完成した。現状の材料で、至高のカレーが」
『わあ~!! 前とは違うお鍋で、食材も良いし、楽しみだね!!』
完成した。今作れる限界の、最高の1杯。
イッチししょー達が祈りを捧げている、ネナスっていう女神様に祈りを捧げて。今日もおいしい食事にありつける幸せに感謝致します。いただきます。
「わぁああ……。見て……。輝きが違う……」
『わふ~!! いつもよりおいしい~!! 久々に食べた気がする~!!』
「ん、3日以上食べなかったのは久しぶり。この艷やかなルー、力強い食材のインパクト、お米と絡み合うコラボレーション、最高……」
ああ~……。脳に幸せが溢れる~……。幸せ幸せ幸せ幸せ~……。
とりあえず、全溶け・半溶け・全残しを1皿ずつ食べよう。そうしよう。そうしなければ……!!
「……やっぱり、具材が残ってるやつが好きかも。今度は全部具材残ってるので作る」
『それっていつになりそう?』
「多分、このペースだと……。2週間後?」
『早くなぁい!? 太っちゃうよ!?』
「太らないもん。爺様から頂いた、ユニークギフト。絶対美麗少女の力」
『わあ~ズルい!』
いくら食べても太らないし、病気にもならない。人間の三大欲求のうち、食欲と睡眠欲には全く困らない。せーよく……? は、ちょっとわからない。ししょー達に頭を撫でられると嬉しくなるのは、せーよくじゃないらしいし……。そのうちわかる日がくるって言ってたけど、今は……いいや! カレーがおいしいもん。
「ぷわ~……。食べた~……」
『ごちそうさまでした!!』
「はい、ごちそうさまでした」
あとはね、閃いたばっかりの収納時に食べ残しの分離で……ああ、本当に出来ちゃった……。うう、これを思いつかなかったのが悔しい……。
とりあえず帰って、イライザにもカレーを食べさせてあげよ~。イライザ、気に入るかな~? ふふ~ん。
イライザ「神……神……神……。神の食べ物……。辛い、最高、幸せ、死ぬ……!! 死ぬ、幸せで死ぬ!!」
ジーナ「そんなに?」
イライザ「神、他の方には絶対に振る舞いませんよう。恐らく精神が天に昇り帰ってこられません」
ジーナ「そんなに」




