019 がらがらどしゃ~ん。
カレーライス、食べたい。
「カレーライス、食べたい」
『あ、ジーナちゃんの発作が……!』
「カレーライス、食べる」
『もう2段階に!!』
カレーライスが食べたいと決めた私は、何がなんでもカレーライスが食べたい。だってもう5日ぐらい食べてない気がするもん!
最後に食べたのは、多分リタ達の馬車に乗って王都へくる道中。あのお皿が最後のカレーライスだった……。ししょー達には『お鍋ごと収納して持っていったら?』って言われたけど、なんだか食いしん坊みたいで恥ずかしくなっちゃったから『いいの、また作るからっ!!』って反抗して出てきちゃった。
お 鍋 で 持 っ て く れ ば 良 か っ た 。
「王都の北に香辛料畑もあるし、ハーブ園もあるし、カレーだって売ってておかしくないのに……」
『あ~うん、それはね、う~ん』
王都ってどうして香辛料が豊富にあるのに、香辛料を使った料理が少なめなの? ヒャアさんが香草焼きとか、タンシチューとか色々作れるけど、致命的なことにカレーがない。
そう、カレーがないのよ、この王都には。どうしてないの? レイショーししょーが『カレーは魂、カレーなきところに魂なし』って語るほど、カレーは重要な食べ物なのに……。
「お鍋から作ります」
『あ、鍋から作るんだ……』
まずお鍋から作る。未来の私がまた頑張れる日がくることを祈って、大きなお鍋を4つ作る。
私の特殊能力の異空間収納は小分けにしてあって、それぞれの異空間収納を一部だけ繋げたり、中身だけ取り出したりすることが出来る。つまり、どんな金属でも溶融可能な異空間を用意してあるから、ここに金属を投入するだけで溶融した金属が完成するってこと!
そしたらまずは、熱の伝導率が良くて軽い金属の選定から……。
『ジーナちゃん』
「うん? 今ね、素材選びで忙しいから」
『型』
「…………よもぎちゃん、偉いね~。ありがとうね~ジャーキー食べる?」
『食べる!!』
よかった、よもぎちゃんが先に型のことを教えてくれて。また勢いで作って型がない事件が起きるところだった。そうしたら、うーん……。
「前に包丁を作った、あの泉で作ろうかな」
『んう? あそこの砂は綺麗だし、確かにいいかもね!』
「槍も作り直したいし、ちょうど良いからテキトーな山に穴を開けてからいく」
『…………あ、ジャーキー美味しい!』
足りない鉱石があるから、まずは山に穴を開けて鉱石を回収しよう。回収用の異空間に掘ったのを全部詰め込んで、そこから種類別に分ければいいよね。とりあえず、山は~……。
「東のほうに山、あったよね?」
『うん! あったね!』
あの山を掘ろうかな~。前にみたいに直下掘りをすると空洞に落ちたり溶岩溜まりに当たったりするから、今度は斜めに掘ろう~。
「移動形態」
『あ! 久々に飛ぶんだ!』
「うん。旅とは違うから、ししょーの言いつけの範囲外。旅行はちゃんと乗り物を使ったり、歩いたりして景色も楽しみなさいって言われたけど、これは素材回収だから」
『うんうん、そうだね! そういうことにしとこ!』
「飛ぶよ~」
いったことがない場所だから飛んでいかないとだけど、いったことがある場所なら空間転移魔法で帰ってこられる。連続した使用が出来ないのが難点だけど、今日は別に連続使用する必要性がないし、問題ないよね。
あ、そういえばなんか今日は魔法学校の学長さんに『是非明日も、こられるのであれば!!』って言われてたんだった。う~ん……いけたらいくって返事しちゃったけど、いけたらいくだったし。いっか。
「あ、空を飛ぶからあげが居る」
『あの鳥のことをからあげって呼ぶのやめてあげようよ! 確か、メガロバードって言う名前があるよ!!』
「おおきなからあげ~」
『――――ギェェエエエ!?』
「簡易狩猟法、発動~」
そう。そして私は発明もしました。とても偉大な発明です。
まず魔物を倒します。次にこれを簡易狩猟法と名付けた異空間収納に投入します。すると、血抜きとか毛皮を剥ぎ取ったりとかを、勝手にやってくれるんです。そう、鉱石を含んだ土から鉱石だけを抜き取るイメージと同じで、お肉から余計なものを分離するというイメージでやれば、出来ちゃうんですね~。
今回はからあげ用の大きい鳥なので、皮は残しま~す。有害なばい菌とか内蔵とか、要らないくちばしとか硬い羽は全部まとめて簡易狩猟法からポイ。出来上がったお肉は部位ごとに解体して食材用の異空間収納へ転送。魔石は魔石用に転送~。
ここまで、なんと3秒。どうして今まで異空間収納を使って分離する案を思いつかなかったのか、これがわからない……!
『わあ……。轢き逃げされたと思ったら、骨と皮とかだけにされてばら撒かれちゃった……』
「からあげは、おいしい部位だけにしか用事ないもの」
『それはうん、そうなんだけど』
「よもぎちゃん、山に到着しそう。このまま突っ込むね~」
『は~い!』
そして簡易狩猟法を思いついた時、山でも同じことをすればいいじゃんと思いついたんですね~。
今までは掘ってから土を異空間収納に投入して~って無駄なことをしてたけど、『破壊・補強・収納』の作業工程を瞬時に繰り返せば、スムーズに穴が掘れると思いついたわけで~す。どうやって掘るのが早いかな~って考えたんだけど、これはやっぱり……。
「防御形態、回転」
『わ~回る~!』
私の防御形態の状態で、回転するのが一番早いよね。面白いぐらい早く掘れるし、破砕した地面が勝手に崩れないように回転しながら補強も出来るし、掘ってる足元に異空間収納を展開すれば勝手に回収もされるし。うん、ノンストップで掘れる~。
「あ、この山は結構いい金属が出るかも」
『そ、そうなんだ! あばばばばばば……』
「金がちょっと多いかも。うーん、宝石もたまに出てきて邪魔~……。あ、魔力を帯びてる鉱石も出てきた」
『今、ど、どのぐらい掘り進んだの?』
「ん~……多分、2キロぐらい?」
『そっか……!』
とりあえず5キロぐらいまで掘り進めよう~。最後に最深部で発破しながら破砕材を回収しつつ戻ってくれば、山がちょっと痩せるぐらいで沢山の鉱石が手に入る。あ、装飾ぐらいにしか役に立たないダイヤモンドの層に入った。邪魔。でもだいたいこの層の下辺りから、名前のわからない鉱石が出てくるんだよね。この鉱石がね、凄くいいのよ~。
「出た。5000度ぐらいでやっと溶ける金属の層~」
『師匠達の家にある鍋とかと同じやつだね!』
「うん。軽くて丈夫で、全体に均一の熱が通せて凄く便利なやつ。食べ物も5段階ぐらいおいしくなる」
『不思議金属ね~!』
「ん! 不思議金属……じゃ、いつも通りに発破する。魔力防壁! 鉄はね、地面の中にいっぱい存在しているから。それを少し爆破するだけで、崩壊する。私の髪は、既に触れている」
『わ!! いつものやつもやるんだぁ!?』
やるよ? だって、こうしないといっぱい鉱石手に入らないもん。欲しい時に欲しいだけなんてやってたら、いつもこれやらなくちゃいけないんだもん。
「すいっち、おん」
『ひっ……!!』
大丈夫大丈夫、防御形態を取っている間は自分の起こした爆発程度じゃ傷一つ付かないから。おお、がっぽがっぽ回収出来る~。崩落させて採掘する方法、やっぱり素早くて最高~。頭上に向けて異空間収納を広げておくだけで、崩落した岩とか土砂が全部入ってくる~。そして不要な石と土と砂を混ぜ混ぜしたものは、ぜーんぶ足元に廃棄。山から綺麗に鉱石だけ抜き取って、いらないものは全部山に返却する~。
「ん、大体地表寸前まで崩れたと思う。後は空洞を埋めて、おしまい」
『ああ、また罪のない山が1つ、鉱石も宝石もないからっぽ山になったね……』
「大自然の恵み~」
『そうかな……そうかも……』
そうなのよ、きっと~。それじゃ、これでようやくお鍋作りのスタートラインに……違う違う。最強のカレーライス作りのスタートラインの準備段階に立つことが出来た~。それじゃ、今度こそ……ちゃんと型を作ってから鍋を作ろう~。
※ロンダス帝国領の山です。




