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第23話(1)

 物語の時間は

 ケイトとドールがまだ王城前にいた頃に戻る。


 忍者ロバスの側近ヌエは、

 盗賊ギルド“アンカー”の元宝物庫に来ていた。

「ここが4番の宝物庫とか言ってたとこね。」

 周囲に人の気配が無いことを確認し、

 開かれたままの巨大な扉を入る。

 かなり重そうな扉ね……あ、なるほど。

 入ってすぐのところで若い男の死体が5体あった。

 そしてその近くには破壊された巨大な檻。

 5人がかりで開けて入ってすぐに、

 この檻に入っていたヤツに殺されたってオチかい。

 金髪ロン毛の美女ヌエは、

 憐れみなど欠片も感じていなかった。

 田舎から城下町に来て、

 その後音信不通になり死体で見つかる。

 珍しくもない現実の一つに感情を左右される様な

 忍者は一人としていない。

 周囲は食べ物の腐った臭いで満ちていた。

「元々食糧庫だったのか……

 元がなんだったのか分かんねぇくらい腐ってやがる。

 ま、そんなモンはどうでもいいがな。」

 ヌエはそう言うと壊れた檻の中に入った。

 そして右手で檻の鉄柵を握り目を瞑る。

 すると、

 ズズズ

 と何かが何処かに吸い込まれていく様な

 音が響いてきた。

 忍術“土遁”の一つ“避雷針”。

 電撃系の攻撃を地に落とし無効化する能力の他に、

 地に残るモノを全て吸収する能力もあるヌエの技だ。


 ロバスの側近4人は、

 地のヌエ(御庭番序列14位)、

 水のミズ(御庭番序列13位)、

 火のハク(御庭番序列12位)、

 風のヤタ(御庭番序列11位)、

 と地水火風に特化した者たち。

 4人の筆頭はヤタだが、統率力が高い

 という理由で筆頭になっているに過ぎない。

 戦闘能力は拮抗していて序列は意味無しと言えた。

 忍者はハイマスター(上忍)クラスにならないと

 真の名を語ってはならないという掟があるので、

 今の彼女らの名は中忍としての仮名である。


 そのヌエが忍術“避雷針”で痕跡を吸い取ると、

 目を見開いて

『見つけた!』

 と言わんばかりにニヤリと妖しく笑う。

「クックックッ

 まさか、まだこの近くにいるとはなぁ。」

 そして懐から黄色い折り紙を取り出して念じる。

 するとそれは瞬く間にひとりでに折られていき、

 小さな虎の形を成した。

 地面に置くとすぐにどこかへと走り去っていく。

「言われた通りに伝書は送った。

 けど別に、支援が来る前に倒しちまっても

 構わねぇよなぁ。」


 ヌエは腰に下げていた刀を抜いて地下道へ。

 久々に強敵と戦える予兆を歓喜し、

 感じ取った場所へ小走りに向かっていった。


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