第21話(3)
ハイエルフのスージーとケイトの父ヴェスターが
元傭兵グラッグと別れてから、スージーは考え込んでいた。
聖堂院のゲール司祭が王子と親しい関係にある……
グラッグが道すがらスージーとヴェスターに語ったのは、
ハイエルフ王国マハラティーニの現状を映し出している
内容だった。
変化も無く安寧な日常に不満を抱いていた王子は、
国王の命で無理矢理出席させられた晩餐会にて
貴族でもあるゲール司祭と出会う。
そしていつしかゲールは王子の良き理解者となり、
度々王子の所有する別宅に足を運んでいた。
別宅とは名ばかりの集会場。
そこでは未来を憂う改革派が極秘に集い、
国内で革命を起こそうと目論んでいるという。
しかし噂の域を出ないような話で、
確たる証拠もないことから、引きこもり王子の
引きこもっている理由をでっち上げているだけ
なんだろうという見解に留まっている。
しかしこんな噂もあった。
「王子が発明した魔道具がある。」
これを使って革命を起こそうとしていると。
王子が引きこもっていた真の理由は、
とある魔道具の発明の為だと。
ただその現物を見た者は誰一人としていない為、
根も葉もない話だと苦笑されているだけだった。
「仮に話が事実だとしますと、王位継承の儀で
王子が何か仕掛ける可能性があります。」
心配そうな声色のスージーだが
「確証の得られない話ですから、
心配するだけ損ですよ。」
それに応えるヴェスターの声に焦りは無い。
そして付け足すように語る。
「それに、仮にそのような魔道具が存在したとしても
十分に対処できるでしょうから。」
「え……?
何を根拠にそのような事を仰って……??」
ヴェスターはここで
スージーの意識をフッ飛ばす発言をする。
「我らの女王陛下がマハラティーニに赴きますので。
如何なるトラブルをも沈黙してしまうかと。」
え?
唐突で突拍子もない突然の答えに、
スージーは一瞬言葉を失ってしまった。
「あ……あの、
一体……どういうことなの……ですか?」
「国王同士の対談が決定したとのことです。
スージー殿が帰国する際に同行されると思いますよ。」
はいぃー!?!?
「本当に……ですか?」
「はい、もちろん。」
ニコニコ顔のヴェスターに、
スージーは今度こそ沈黙した。
今後の予定を次々に語られて、
頭が追いつけないわ。
……どうしてこうなったのかしら?
苦労人スージーのご苦労ぶりは、
これからが本番になりそうだった。




