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第21話(2)

 魔法文明とは、

 実は思いのほかハイテクだったりする。

 その最先端との言える技術が生体認証だ。

 王城関係者が所有するドッグタグ、

 納税している一般国民が所有する住民票プレート、

 そして冒険者の所有する等級プレートが

 それに該当する。


 例えば、

 追い剥ぎ共が冒険者を襲って殺し、

 等級プレートを奪って

 その者になりすまそうとしても不可能。

 プレートに込められた魔力は本人の者だからだ。

 魔力とはDNAのような膨大な情報量の塊でもある。

 だから冒険者ギルドの受付に成りすまして提示しても、

 提示の際に自動で行われる本人確認の認証で即バレ。

 拘束されて護衛団のお縄につく。


 常識といえば常識なのだが、

 田舎から城下町にきた者には分からないのも事実。

 だから時折受付で

「あ、また馬鹿がきたわ。」

 となる事もあった。

 さすがに近年は

 そういった情報を徹底して流しているので、

 馬鹿は極端に少なくなっているが……


 最も困る事は音信不通であった。

 魔物に殺されたのか、

 追い剥ぎに殺されたのか、

 病気で寝込んでいるのか、

 冒険者の仕事に嫌気がさして休養中なのか……

 冒険者ギルドの受付嬢たちにとっては

 胃がキリキリするお話である。

 今やっている冒険者除名手続き後の

 等級プレート処理はまだ気が楽な作業であった。


「鉄仮面のジンさんも冒険者卒業かあ。

 無愛想だったけど真面目で評判良かったのに

 勿体ないよねぇ。」

「王宮護衛団の西区班から

 スカウトされていたって話だし。

 給料は安定しているし。

 むしろ今まで冒険者やってたのが不思議なくらいよ。」

「あー、なんかそれね。

 行方不明の妹が見つかった事で

 踏ん切りがついたみたい。」

 二人が話し込んでいると、

 後ろから音も無くギルドマスターのシャディがやってきて

 二人の頭をげんこつでゴン!

「いったあ~!」(×2)

「なにペチャクチャお喋りしてんのよ。

 受付嬢のお喋りは余計な情報漏洩の元だって、

 研修の時に話したわよね?」

「マスターのげんこつはシャレになんないですよぉ。

 ……ジンさんのことを話してたんです。」

「冒険者続けるのって、かなり過酷な話よ。

 ジンの年齢なら転職して当然のこと。

 若いうちに老後の分も稼ぐか、

 それとも安定した職場を探すか……

 冒険者たちを見てきた貴女たちなら分かるでしょ。」

「分かりますけど、ジンさんって

 受けたがらないような報酬の安い依頼とかも

 こなしてくれていたじゃないですか。

 今後の事を考えると新米冒険者たちだけに

 頼り切れるのかなって心配になりません?

 特に薬草などの素材集めなんて尚更で……」

 それを聞くとシャディは、

「ああ、それね。」

 と特に気にしてない感じでポツリ。

 そして問題無いわと言わんばかりに

「それらの依頼は受けられたら受ける程度で大丈夫。

 採取の目途がつきそうだから。」

 は?

 どゆこと?

「朝礼で何も話してませんよね?」

「職員を現地に派遣したばかりだから、

 まだ確証が得られていないのよ。

 ……二人ともついてきなさい。」

「え?」(×2)

 シャディにそう言われてついていった先は

 ギルドの裏にある素材解体所。

 そこで二人は安物の大きな背負い袋6袋に、

 ギュウギュウ詰めに入っている薬草を見せられた。

 はあ!?

 何これ!!?

 いつの間に!!??

「マスター、これって……」

「西区で地下遺跡を発見した

 カイルたち銀等級冒険者の現状は聞いてる?」

「え、今は宿場町ラザンですよね。

 ダリエンソ山の迷宮に挑んでいるとか。」

「今あの迷宮って有毒ガス騒ぎしてて

 第3層に行くなって規制されているの。

 そしたらカイルが

 『じゃあ簡易的に治せるように

  毒消し草を探そう。』

 って話になったらしくて、それで迷宮じゃなくて

 山羊飼いが通るような細い山道に入ったら、

 偶然薬草の群生地帯を見つけたんですって。

 届いたこれはその一部よ。

 採取した薬草のほとんどはラザン支部にあるわ。」

「……そんな偶然、あるんですかぁ!?

 いくら安いっていってもこれだけの量……!

 相当な額になりますよ!!」

「ノスタンジア行きの飛空艇運賃を稼ぐって話

 だったから、十分達成したでしょうね。

 山道が随分枝分かれしてて迷いやすい場所だと

 聞いているわ。

 カイルからギルドに

 『場所を教えておきたい。』

 って申し出があって、それで職員を向かわせてたの。

 彼らの株がまた上がるわね。」

「そう…です…ね。」

 一攫千金の話を目の当たりにして、

 物凄く羨ましいと感じた受付嬢二人であった。

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