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Splendours Season1  作者: Saki Tachimazaki
2nd Act - プリンス・オブ・アルファライン -
13/18

Scene Delta-3【Splendours Season1】

 思い出したその本の名前は「サミュエルの発展魔法学」だった。その八十七ページを開き、書いてあるフィルノアリーフ五枚とフィルウィリーフ五枚、作りたいサイズと同じ石、ユニコーン一体分の角の粉末を鍋に入れ、火にかけた。そして沸騰したらノイキャンの花の蜜を入れ、魔力を込めながら二回半右に、そして五回左に、最後に二回半右へかき混ぜてから火を止め、呪文を口に出す。

「Protéger et Protest, Naturally Maxima(プロテガレ・プロテ、ナチュラリー・マキシマ」

 そうするとたちまち液体が石に取り込まれ、透明の鮮やかな水晶に変化した。そうしてできた水晶に装飾を施し箱に詰め、リボンを結んですぐに部屋を後にした。


 ホール近くの廊下、もうすぐというところで誰かに腕を掴まれた。急いでいるのにと思いながら振り返ると、消えたはずのお兄様が僕の腕を掴んでいた。

「どうして……」

「弟に何をしようと勝手だろう?」

「そうじゃない、どうして急にいなくなったの! 四時間も!!」

 思わず叫んでしまった。けれどお兄様は嫌な顔をせず、真っ直ぐ僕を見つめている。

「——すまない、心の整理がついていなかったんだ。それにいきなり首を絞めたことも」

 俯きながらお兄様がそう懺悔してきた。でもそんな言葉は求めていないし、首を絞めたこともなんとも思っていない。

 ——でも、気に入らない。

 そう思った時にはお兄様を壁に押しやり、昼間とは反対に首を押さえていた。

「言ってくれたよね、『無理するな』って。無理してるのはどっちなの?」

 手を離すと、苦しそうに喉を押さえながらお兄様が床に膝をついた。抵抗しようとすればできたのに、それをしないがために。その姿から放たれる何かが僕の中を走った気がした。

 そこで思い出し、結んだばかりのリボンを解いて中からピアスを取り出し、まだ震えているお兄様の耳に取り付けた。

「僕からの誕生日プレゼント。きっと今日は、もう何も言われないよ」

 唖然として僕を見つめるお兄様を立たせ、一緒にホールへ向かった。

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