Scene Delta-1【Splendours Season1】
昼食を終えてから、お兄様を無理やり庭に連れ出した。というのも叙位式が終わってからお兄様はどこか気が重そうで、あまり元気がなさそうだった。そんなお兄様は、あまり好きじゃない。
「ねぇ、なにか嫌なことでもあったの?」
道端の草木を眺めながら、何気なく聞いてみた。けれども満足のいく返事は得られず、そこはかとなくはぐらかされた。
「お兄様、こっち向いて」
……反応がない。
「ねぇ——」
「黙れ」
確かにそう言って、足を止めた。
「わからないだろう、兄の気持ちなんて」
「わかるよ」
「わかんないだろう!」
突き飛ばされ、近くの木にぶち当たった。
「国庫の荷物、国の荷物、邪魔な王子! 一切の愛もない!!!」
逃げる隙を与えないほど早く首を捉えられ、そのまま木に押さえつけられた。
「ずっと一人、ずっと孤独、やっぱり生まれなければよかったんだ!!!」
真っ青な目から溢れる光が脳を巡って、僕の思考をいとも簡単に盗み取って、潰していった。一つ潰されるごとに息が奪われ、そろそろ息が続かなくなってきた。だがお兄様の手は一切緩まず、それどころかより力が増した。
きっと本気だ。
残る力で暴れてみるが、青い光はそれを許さなかった。体から力が抜け、思考もほぼできなくなっている。お兄様は、僕がただ黙ってこの場で絞め殺されるのを望むようだ。
そう悟ったとき、急に肺へ空気が入ってきた。——いや、後ろの木が折れたのか。なんにせよ、解放されてその場にへたり込んだ。
だがお兄様はいつものように助けるどころか、逃げるように遠ざかってしまった。
近くには黒バラが育てられていた。




