不気味なビル
慌てて外に出ると、ルウ君がフラフラと路地に入っていくのが見えた。
「何処行くのルウ君?」
「他人に力使うとこ見せるなって、あの女に言われてるんだよ。ったく、不便でしょうがない…」
文句を言いながらも、何か詠唱し始めるルウ君。
辺りに黒い文字が現れたと思うと、瞬く間に空に融けた。
「今のは…?」
「探査魔法。」
ぶっきらぼうに言うルウ君。
でも探査って、ヴァイシュロスにいた時も大掛かりな機械でやっていたのに…。いつの間に高度な呪文を習得していたの?
「赤毛の奴がいるところは解った。男の方は何かが妨害してる」
「え…どうして?」
「…知るかよ」
言うとルウ君は狭い道を駆け出した。
私は何とか見失わないようについていく。
通る道は生憎整備されていない裏通りに配工管の巡るビルの間。数々の戦場を走ったとはいえ、こんな抜けづらいとこ通らなくても……。
「ここだ」
ルウ君の足が止まった。目の前に現れたのはややさびれた複合ビル。
散々汚れた服をパンパンっと手ではたく私には気も止めず、黒い背中はビルの中に入っていく。
「ちょっ…ルウ君。何の準備もしてないのにそんな…。」
「戦いならいつでもできる」
「そういう準備じゃなくて!ほら、気持ちの問題とか、あと…。」
ちょっと不気味じゃない?入るの怖いんだけど。
などとは言えず……。
「あの2人が自らこんなとこに来ることはないはずだもの。何かの事件に巻き込まれたとか…。」
「その時は邪魔な奴を殴っとけ。俺はついでに銀髪も殴る」
ルウ君はぶっきら棒に言うと一つのドアの前で立ち止まる。
ノブを回すと音からして鍵はかかってない様子。
「よし」
呟くとルウ君はドアを蹴破った。
ルウ君、なんで蹴破ったの!?イライラしてるの!?
気が立っているのか知らないけど、落ち着こうルウ君!?
なんて思ってると周りを冷気が襲った。
自然発生したものじゃないわ、これは魔力からつくられたやつだ。
でもどうしてこの人間界に?
ドアの奥は寒さのせいで空気までも凍り、白くなって見通せない。
しかし何としても把握しなければ…。目を凝らしていると、白濁の空間に見覚えのある赤毛がちらりと見えた。
閲覧ありがとうございました
これからエイラはソルトゥフの正体を知ることになります




