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失われたもの


「はぁ……」


ルウクスは家の前で大量の荷物を両手に持ち、立ち尽くしている。

ドアが開けられないという訳ではない。


家の中にはあの少女。ヴァイシュロスの王女シュネーであり、フルーリュンヌで共に過ごした幼馴染のエイラ。

一体どんな顔で接したらいいのか、どこまで気を許していいのか。


荷物を置き、ドアノブに手をかける。

そして深呼吸ーー。

手に力を込m


「わぶっ!」


勢いよくドアが開き、中からひょこっとソフィンヌが顔を出す。


「あらぁ?いたのね、おかえりなさい。………ぶつかればよかったのにぃ」

「お前ぇ…、最後のボソボソ聞こえてんぞ!? 俺がここにいると知っててやったな?」

「そんな訳ないじゃなーい」

「だったらその気持ち悪ぃ顔やめろ」

「酷いわー。私はただ扉が盛大にぼうやに当たったらと思って開けてあげたのに、避けて私のこと睨むんだもの」

「やっぱ狙ってやってたんじゃねーか!」



「おかえり、ルウくん」


声をかけたのはエイラ。玄関先のことを見ていたのだろうか? ルウクス達ににこやかな顔を向けていた。


「あ、おぉ……」

「ごめんね、私たちので荷物重かったよね。いくつか持つよ」


すぐそばにエイラがいる。

現実感が無く、ルウクスは夢を見ているような気分であった。


「あらぁ、女の子にそんな重いもの持たせるつもり?」

「っ」

「えっ、いやいいんですよ?私、このくらい持てますから」

「いい、俺が持ってくから」


エイラに対して目を合わせず、どこか避けているルウクスはソフィンヌの言葉を聞いてから、少し機嫌が悪くなったようだった。

ソフィンヌはいつものルウクス(いじ)りのつもりで言ったのだろう。だが、せっかく近づきに行ったのに、ソフィンヌの言葉でルウクスは離れてしまった。



エイラとルウクスの間に見えない壁があるような生活が続いています。


閲覧ありがとうございました。

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