噛み合い出す歯車
幾慧です。毎度の事タイトルが変ですが気にしないでください。
とにかく。
もうこの件はおしまい!
そうだ。今のうちに、フロストにも秘密にしてる隠し武器・自作ショートボウの製作にとりかかろう。
この塔の外壁に絡まっている蔦や塔内に残っているがらくた、鉄器。
それらでちまちまと最終兵器を作っている。
うわ、何でだろう。この最終兵器感の無さったらありゃしない。
フロストがいない時が少ないから製作時間はかなり限られる……けど、たまにはあの白い奴をびっくりさせてやりたい。
軽く心を弾ませながらベッドの下に手を入れる。
意外と進んでいる作業の塊に、指先が触れた。
―瞬間、バタバタとあわただしく近づく羽音。
案の定、白い鳥がノックもせず(訂正。ノックなんてできそうもない。鳥だもの。)に部屋に入ってきた。
危ない……!
バレるところだった……!
「…フロスト、随分と遅かったわね。」
と、いつもの表情のまま振り向く。こうやって口では言いつつ、もう少しゆっくり来ても良かったと一人呟いた。
「あー、シュネー、それでよォ……」
「一つ、頼みを聞いて欲しいのだ。」
「…頼み?何でしょうか 父上様。」
フロストの後ろからスッと現れた父に内心驚きつつ、父から1枚のメモ書きを渡された。次の標的が書いてある。私は思わずその名前を声に出した。
「…ルウクス?」
あの、キーンとした頭痛がよみがえる。
耐えろ、耐えなければ。
父上様に弱気なところを見せては駄目。
「フルーリュンヌの残党の青年だ。やっかいな事に、この国やフルーリュンヌなどとは、空間軸の違う世界にいるそうだ……」
父は何やら細かく話してくれたが、要約すれば、そのルウクスという人物は、“人間界”という、いわゆる|平行世界[パラレルワールド]にどういうわけか逃げ込み、何故か魔族の血筋の者に育てられている、というのだ。
ルウクス。
彼に会えば、私の中に渦巻く感情が何かわかるのかもしれない。
ただし、私はヴァイシュロスの王女。
ルウクスとやらは、確実に、フルーリュンヌの生き残りとして、私が、王女として、殺す。
「…はい、お父様。このシュネー、標的を取り逃がす事は致しませんわ。」
そう言うと、意識した訳ではないのに口角が上がる。
そう。彼は私の敵。
絶対に、息の根を止める。
エイラさんの心がだいぶ不安定になってきました。
閲覧ありがとうございました。




