記憶への疑問
お久しぶりです。幾慧です。
かなり大きいわね。
下手したら魔物かも。
でも、この白いやつがいれば何とかなるか。
下級魔族を率いっちゃってる位だし。
と思っていたが、実際それは魔物でもなかった。
かといって獣でもなかった。
人間だった。
私の顔を見て固まっている。
30代くらいの?女性で…ああ森をさ迷ってたんだなっていう格好。
うーん…国境近くの範囲なら国境越えちゃいました、はありうるし。
この場合、彼女と私、どっちが越えちゃったんだろう…。
無断入国?ん?無断出国?
とまあ、私がボケーっとしてると、急に彼女の口が動いた。
「エイラ!」
「…エイラ?」
誰?
エイラって誰?
私はシュネーよ?
でも、何でかな、エイラって、聞いたことがある…?
彼女は私の肩をぐっとつかみ、興奮じみた声でつづけた。
「ああ、心配したのよエイラ!
覚えているかい?
よく“ルウクス”と一緒にベリータルトをおすそわけしてくれたねェ。
あの子の親も殺されちゃって、一人でどこか行っちまったっていうし、お前も生死不明っていうから、気が気でなかったんだから!
あの子はまだ無事らしいよ。
きっとお前を探しているんだろうねぇ!
ああ、もう本当に、良かった…。」
“るうくす”?
私はエイラじゃないのよ。
タルトを作ったなんて知らないし。
私が生死不明なんて馬鹿げてるわ!
第一、私はあなたに会ったこともないのよ!
そう、1度も……1度も?
………あったのかな。
おかしいわね。
不思議なメロディといい、“エイラ”や“ルウクス”といい。
聞いたこともないのに、何で私は、昔、知っていたみたいに?
『こっちだよ!―――っ!!』
…あの夢の男の子!
顔も声も、本当にいるのかもわからないけど…。
あの子が“ルウクス”?
でも変ね。私はシュネーよ。
シュネー・ガザナディラフ。
ベルガー・ガザナディラフの一人娘。
間違いない、私はシュネー。
そう、何一つ間違っていない!
でも待って。
私はシュネー、けれども、エイラなの?
エイラ・ヴィ………?
『ヴィ』?
どこからそんな単語が出てきたの?
私はシュネー、でも…?
私は…誰……?
独白が多くなってしまいましたが、最後まで閲覧ありがとうございました。




