第二章「基礎と序列」(1/3)
「騎士の価値は、何を始めたかではなく、何を完遂したかによって測られる」
——ヴェルン騎士団規律、第三条
第四宿舎は、学院の建物の中で最も古かった。
他の建物が増改築を重ねて新しい石と古い石が混在しているのに対して、第四宿舎は最初から変わっていなかった。変わっていない、というのは改修されていない、という意味だった。壁が厚く、窓が小さく、廊下の天井が低かった。夜は暖炉の間を除いて寒かった。夏でも。それが下層にある建物の特性だった——上層の聖術講堂には冬でも暖かい空気が流れていると聞いた。光の魔法が空気も温めるのだという。俺には確認する方法がなかった。上層には候補生は行けなかった。
部屋は四人だった。
二段ベッドが向かい合わせに二組。東向きの窓が一つ。窓は石壁に穿たれた切れ目に近く、外の景色は近づくほど狭まった。朝の光は低い角度で差し込んで、床に一本の明るい線を作った。俺は初日の夜にその軌道を計算した——ベッドに横になりながら天井を見て、明日の朝に光がどこを照らすかを確かめた。癖だった。父さんも同じことをする人間だった。新しい場所では光の方向と出口を確認する。
二人はすでにいた。
一人は窓側のベッドに荷物を置いて、棚に私物を移していた。動きが整然としていた。手が迷わなかった。物の置き場所が全て決まっていて、その決まりを実行しているだけ、という動き方だった。もう一人は机に座って手帳を開いていた。こちらは入ってきた俺を見なかった。見ないことを選択した、という種類の見なかった、だった。
荷物を床に置いた。
窓側の男が振り返った。試験で見た顔だった。体術審査の午後、俺が模擬戦で当たった相手だった。木剣を弾き飛ばされて、一秒だけ俺を見て、何か言いたそうだったが言わなかった男。掲示板で名前を確認していた——デイン・カルヴォ。
「辺境出身か」と彼は言った。棚の整理を続けながら言った。俺を見ていなかった。
質問の形をしていたが、質問ではなかった。確認だった。すでに答えを持っていて、声に出して整理している確認だった。
俺は返事をしなかった。
デインは続けた。「うちの父上の部隊、去年から辺境枠をやめた。質の問題があったそうだ」
机の男が顔を上げた。俺とデインを交互に見て、手帳に視線を戻した。エヴァン・ソルトと後で名前が分かった。商人の息子で、この場面が自分に利益をもたらさないと判断した顔だった。おそらく正しい判断だった。
俺も何も言わなかった。この手の発言をする人間に言葉を返すのは水を砂に撒くことに似ている——消えるだけで、何も変わらない。有効な応答が存在しない状況では、応答しないことが最善だった。それは怯えからではなく、計算からだった。
机の上に父さんの本を置いた。
それから外に出た。
— — —
廊下の窓から、上層が見えた。
尖塔の先端に光が集まっていた。聖術の光だった。夕方だったから、外の光は既に斜めになって赤みを帯びていた。それなのに上層の窓は白かった。白く、均一で、方向を持たない光だった。外の光が変わっても変わらない光だった。揺れない。
その光が上にあって、俺は下にいた。
それだけのことだった。ただそれだけのことが、廊下を歩きながら少しの間、頭の中にあった。
胸の中に何かが積み重なる感触があった。重くはない。ただ、そこにある。辺境に生まれてから、王都に来るまでの十六年間で積み重なったものの、ここに来てからの上積みだった。慣れているから気にしない、ではなく、気にしてもどこにも置けないから黙っている——その違いが何なのかを言葉にするのは難しかったが、俺はその違いを知っていた。
デインは俺を見ていなかった。俺のことを「辺境枠」という分類として処理した。分類として処理されることと、人間として無視されることは別のことだが、感触として似ていた。
感触が似ている、という事実を、俺は手帳に書いておこうと思った。部屋に戻ったら。
夜、消灯前に、ラーシュが廊下にいた。
隣の部屋だった。部屋割りが分かれていたが、第四宿舎の廊下は共有だった。消灯前の時間、候補生たちが廊下に出てくることがあった。ラーシュはその一人で、廊下の窓の前に立って外を見ていた。俺が通りかかったとき、彼は振り向いた。
「同じ宿舎だったな」と彼は言った。嬉しそうだった。本気で嬉しそうだった。
俺も悪くないと思った。ただ、それを同じ声量で言い返す習慣がなかった。「そうだな」と言った。
ラーシュは窓の外を見た。王都の夜の明かりが広がっていた。「同室はどんな人間だった」
「デイン・カルヴォと、エヴァン・ソルト。あとトール・エインズが後で来た」
「デイン・カルヴォ」とラーシュは繰り返した。「試験で会ったか」
「体術審査の模擬戦で当たった。俺が勝った」
ラーシュは少し笑った。「それは気まずいな」
「気まずくするかどうかは本人次第だ」
「で、本人はどうだった」
俺は少し考えた。「辺境枠は去年から廃止したと言った」
ラーシュは黙った。笑いが消えた顔をした。笑いが消えた、怒りではなかったがもう少し内側の何かだった。
「お前は怒らないのか」と彼は聞いた。
「怒っても変わらないことに怒るのは、エネルギーの無駄だ」
「それが本心か」
俺はその質問を少し意外に思った。本心かどうかを聞いてくる人間は多くない。「七割は本心だ」と言った。「残り三割は何かが積み重なっている感触があるが、今は名前がつけられない」
ラーシュはしばらく俺を見た。「正直だな」と彼は言った。
「嘘をついても仕方ない」
「お前に嘘をつく人間は多いと思う」
「そうかもしれない。気づかないこともあるだろうし、気づいても言わないこともある」
ラーシュは窓の外を見た。また笑った。今度は違う種類の笑いだった。さっきの本気で嬉しそうな笑いでも、怒りが来た後の笑いでもない。考えながら笑う、という笑い方だった。
「俺はお前のことが好きだと思う」と彼は言った。唐突だった。ただ、唐突な言い方ではなかった。言うべきことを言う、という声だった。
俺は一拍、間があいた。「俺も悪くないと思っている」と言った。
「随分と控えめだな」
「俺はそういう言い方をする」
「知ってる」とラーシュは言った。知っているはずのない言い方をした。七時間しか一緒にいない人間が「知ってる」と言った。それが嘘や誇張ではなく、本当に知っているように聞こえた。なぜそう聞こえたのかを、俺はうまく説明できなかった。
消灯の鐘が鳴った。
「明日から訓練だ」とラーシュは言った。嬉しそうだった。また本気で嬉しそうだった。
「そうだな」と俺は言った。
部屋に戻った。
訓練初日の鐘は、夜明け前に鳴った。
暗い中で目が覚めた。窓から光は来ていなかった。それが日の出前という意味だと分かった。エヴァンはまだ寝ていた。トールはまだ寝ていた。デインはすでに起きていた。ろうそくに火をつけて、机の前に座っていた。着替えも終わっていた。俺が目を開けたとき、デインはこちらを見なかった。ろうそくの光の中で何かを読んでいた。
着替えて廊下に出た。
第四宿舎の廊下は、朝の最初の時間、独特の静けさがあった。石の壁が冷えていて、その冷えが空気に出ていた。足音が少し響いた。遠くから他の候補生が動く音が聞こえた。扉が開く音、靴底が廊下を打つ音、誰かが咳をする音。全部の音が、冷えた空気の中で輪郭がはっきりしていた。
ラーシュが廊下にいた。準備ができていた。すでに笑っていた。
「待ってた」と彼は言った。
「一分も差がなかったはずだ」
「一分でも待った」
俺は何も言わなかった。ラーシュが一分を「待った」と言う種類の人間だと分かった。そういう人間が存在することは知っていたが、これほど近くにいたのは初めてだった。
食堂へ向かった。
食堂は中庭に面していた。
中庭を通って食堂へ行く途中、俺は毎朝少し足を止めた。意図したわけではなかった。最初の朝、中庭の石畳の上に立ったとき、上層の建物が見えた。夜明け前のまだ暗い空の中に、上層の窓が白く光っていた。
消えていなかった。
夜中もずっと光っていたのだと分かった。聖術の光は時間によって変わらなかった。太陽が出ていようと出ていなくても、夜が深かろうと、上層の窓だけは白く均一に光り続けていた。外の世界が何をしても関係ない光だった。




