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影と誓いの冠  作者:


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第六章「共鳴の兆し」(3/3)


棚の向こうが静かになった。本を閉じる音がした。それから止まった。


「終われないもの」と彼女は繰り返した。声が少し低くなった。独り言のような声だった。「それを——終わらせたいと思うのね」


「思う」と俺は言った。「それが正しいことかどうかは、まだ分からないが」


長い沈黙があった。


図書室の静けさがあった。ジオが別の棚を巡回している気配があった。外から音は来なかった。沈黙の回廊の向こう側で、学院が動いていた。ここだけが止まっていた。


「正しいかどうかより、必要かどうかの方が先に来る問いがある」とセリアは言った。棚に本を戻す音がした。「そういうことが、世の中にはある」


俺は彼女の声の温度を確認した。批判ではなかった。同意でもなかった。それは自分の中にすでにある考えを、声に出して確認している声だった。彼女は俺に言ったのではなく、俺が口にした言葉を使って、自分の何かを確認していた。


「そう思う理由がある、ということか」と俺は言った。


棚の向こうが少し動いた気がした。セリアが俺の方を向いたのかもしれなかった。向いていないかもしれなかった。確認できなかった。


「ある」と彼女は言った。それだけだった。


それで終わった。彼女は出口に向かった。扉のところで一度だけこちらを見た。図書室に入ってからずっと、足元ではなく顔を見ていた。今日も顔を見た。ただ今日は、何かを測っている顔ではなかった。何かを測り終えた顔だった。


出ていった。


ジオが棚の間から現れた。


巡回の続きだった。俺の横を通り過ぎながら、一度だけ俺を見た。いつもの目だった——何かを知っている目。


「ジオさん」と俺は言った。呼び止めた。初めてだった。


ジオは立ち止まった。振り返った。


「父さんの名前を知っている、と言いましたね」


ジオは俺を見た。三秒か四秒。何かを計っているような間だった。「ヨルン・ヴォルン」と彼は言った。「エルスタから来た研究者だ。ここに来る前に、この図書室を使っていた時期がある」


俺は驚いた。「学院の図書室を」


「二十年以上前のことだ。私が来てから、もう少し後のことになる。若い研究者だった。何週間か、毎日のように来ていた。何を調べていたかは話さなかった。私も聞かなかった」ジオは少し間を置いた。「そのうち来なくなった。理由も話さなかった」


俺は何も言えなかった。


父さんがここにいた。王都に来て、この図書室を使っていた。何を調べていたかを話さなかった。理由も言わずにいなくなった。それがエルスタを出る前のことか、出た後のことか、ジオの話からは分からなかった。


「名前が同じだったから、覚えていた」とジオは言った。「ヴォルン、というのは珍しい名前だ。お前が入ってきたとき、分かった」


「何か他に、覚えていることは」


ジオは少し考えた。「最後に来た日、禁書の棚を探していた」と彼は言った。「この図書室には禁書は置いていない。そう言ったら、分かりました、と言って出ていった。それが最後だった」


禁書の棚。


父さんが探していたものが禁書の棚にあった。この図書室にはなかった。それがどこにあるかを、ジオは言わなかった。俺も聞かなかった。


「ありがとうございます」と俺は言った。


ジオは頷いた。それだけだった。巡回に戻った。


俺はしばらく、借りた本を膝の上に置いたまま、座っていた。


父さんがここにいた。二十年以上前に。禁書を探していた。見つからなかった。その後エルスタを出て、ヴォルン村に来た。そういう順序だったかもしれなかった。確かなことは分からなかった。ただ、一つの点が増えた。父さんの動きの中の、一つの点が。


点は増えれば増えるほど、線になる。


夜の訓練は、中庭に隣接した屋外訓練場で行われた。


日が落ちた後の訓練は、日中とは空気が違った。松明の光が地面に影を作った。影が動いた。炎が風で揺れるたびに、影の形が変わった。昼間の訓練では影は固定されていた——太陽が一方向から来るから、影の向きが決まっていた。夜は違った。複数の光源から複数の影が来て、候補生たちの動きに合わせて、それぞれの方向に伸びたり縮んだりした。


俺はその影の動きを、今日はいつもより意識していた。


光の廟の後から、影に対する感度が変わっていた。廟の中には影がなかった。あの空間を経験したことで、影がある空間の影を以前より意識するようになっていた。影がある、ということが、当然ではなく、特性として感じられるようになっていた。


俺は自分の影を見た。松明の光の角度によって、影が三つに分かれていた。三つの光源から、三つの方向に伸びる俺の影。重なり合って、輪郭がはっきりしていなかった。


父さんの本に書いてあった。誰も引き受けたがらないものを引き受けているだけだ。 影は世界に必要なものを担っていた。その影が俺の体の中にある。今夜の訓練場に、俺の体から出た三つの影がある。当然のことだった。ただ、今夜は当然ではなく感じられた。


剣術の練習をした。木剣を振った。型を繰り返した。クラウスに言われた終わり方の先を意識した。倒した後。終わらせた後。その先に何があるかを意識しながら動いた。


一時間後、訓練が終わった。


宿舎へ向かう中庭で、ラーシュが横に来た。


今日のラーシュは少し疲れていた。魔力伝導の実習で出力を抑えるのに消耗したのかもしれなかった。それでも歩きながら話しかけてくるだけの元気は残っていた。


「最近、少し硬いぞ」と彼は言った。


「そうか」


「そうだ。訓練中も、食堂でも。何か考えすぎてる感じがする」


「考えることがある」


「話せることか」


「まだ言葉にできていない」


ラーシュは少し間を置いた。「言葉にできないなら、無理に言わなくていい」と彼は言った。「ただ、体に出てるぞ。肩に力が入ってる。今日の実習も、顔色が悪かった。ブレンが心配してた」


「ブレンが言っていたのか」


「食堂でちらっと。お前のことを直接心配するのは恥ずかしいから俺に言った、という感じだったけど」


ラーシュらしい観察だった。俺はブレンを表面しか見ていなかった。ラーシュはブレンの表面の下を見ていた。


「少し肩の力を抜けよ」とラーシュは言った。「そういうときはこうだ——」


彼が手を伸ばした。俺の肩を叩こうとした。


俺は一歩、右にずれた。


意図したのではなかった。体が先に動いた。ラーシュの手が俺の肩に届く直前に、体が引いていた。筋肉が自分で判断して動いた。俺は後から気づいた。


ラーシュは手を下ろした。「おっと、悪い」と言った。笑っていた。気を悪くした顔ではなかった。ただ、俺を見た。一秒だけ。何かを確認する目だった。それから前を向いた。


俺は歩き続けながら、体が何をしたかを考えた。


なぜ体が引いたのか。


最初に浮かんだ答えは、廟での反応と同じだということだった。廟で光の糸が来たとき、体が引いた。ラーシュの手が来たとき、体が引いた。同じ動作だった。


ラーシュの魔力は光の系統だった。今日の実習で白く輝いた。強すぎて制御が難しいくらいの出力を持っていた。その手が俺の体に触れたとき——何が起きるかを、俺は知らなかった。


何も起きないかもしれなかった。肩に手が触れる、それだけのことかもしれなかった。


ただ、俺の体は判断した。その判断は意識より速かった。光の力と影の力が一つの体の中で接触したとき何が起きるかを、俺の体は廟で学んでいた。同じことが起きることを恐れて、一歩引いた。


ラーシュの光を、俺の冷たさで汚してはいけない。


その考えが来た。言葉として来る前に、体がすでに動いていた。


汚してはいけない、というのは奇妙な言葉だった。俺と俺の体の中にあるものが、ラーシュを汚す可能性があると体が判断した。俺の意識はまだそれを確かめていなかった。ただ、体の判断を否定する根拠も持っていなかった。


「お前、最近考えすぎじゃないか」とラーシュが言った。前を向いたまま言った。


「そうかもしれない」


「俺が言うのも変だけど、体を信頼していい。お前の体は速い。頭より速い。その速さを信頼しろ」


俺は何も言わなかった。


体を信頼することと、体が意識より先に動いてしまうことは、同じことではなかった。ラーシュが言っているのは、意識で考える前に動く体を信頼しろ、ということだった。俺が経験しているのは、信頼するかどうかを決める前に体がすでに動いてしまうことだった。


説明できなかった。説明しようとすれば、影の話をしなければならなかった。


宿舎の入り口でラーシュが「おやすみ」と言った。俺も言った。彼は隣の部屋へ入っていった。俺は自分の部屋へ入った。


エヴァンが寝ていた。トールが寝ていた。デインがろうそくをつけて手帳に何かを書いていた。


俺はベッドに横になった。手のひらを見た。


暗がりの中で、手のひらの輪郭だけがあった。何も見えなかった。ただ冷感があった。今日一日、ずっとそこにあった冷感。実習で抑制したとき。図書室でジオと話したとき。セリアの「ある」という一言を受け取ったとき。中庭でラーシュの手を避けたとき。全部の場面で、この冷感がそこにあった。


名前がついた何かが、静かに、確実に、俺の体の中にあった。


俺はまだ、彼らの隣に立っていられるだろうか。


ラーシュの隣に。ブレンの隣に。ナイの隣に。訓練場で、食堂で、暖炉の間で——同じ場所に立てるだろうか。光の側にいる人間たちの隣に、影を持つ人間が立てるかどうかを、俺は知らなかった。


立てなくなる日が来るかもしれなかった。


ただ今夜は、まだ立っていた。今日も、昨日も、先週も、俺は同じ宿舎に寝て、同じ食堂で飯を食って、同じ訓練場に立っていた。立てなくなったのではなかった。立てているうちは立つ。それだけが、今の俺にある答えだった。


倒れるまでは、立っている。


目を閉じた。


手のひらの冷感が、暗闇の中でまだそこにあった。今夜もそこにある。明日もそこにあるだろう。それが俺の体の一部になった。


その体で、明日も訓練場に立つ。


翌朝、グレイムの名前で掲示が出た。来週、近隣村への護衛任務に候補生を出す、という内容だった。俺の名前があった。ラーシュの名前もあった。


初めて、学院の外に出る日が決まった。

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