第四章「光の廟」(2/3)
光の前に立つ者は、光が何を照らすかを恐れてはならない。
扉の前で読んだ一節だった。ここで読み上げられた。
俺の体が、その言葉に反応した。
反応、と言っても、感情的なものではなかった。物理的なものだった。胸の奥で何かが引いた。光から離れようとするような、収縮するような動き。指先が少し冷えた。訓練場で感じたあの冷感と同じ質の冷感が、今度は指先だけでなく手のひら全体に広がった。
俺は手を見なかった。廟の中で自分の手を確認する理由を作りたくなかった。ただ、手のひらの感触を意識した。
冷たかった。
儀式が進んだ。
神官の祈りが続いた。他の候補生が静かに立っていた。ラーシュが少し前に立っているのが見えた。正装が彼に合っていた。背筋が真っ直ぐで、光を全身で受け取っているような立ち方をしていた。これが正しい姿だと思った。俺のとなりに立って「ずっとここに来たかった」と言った人間の、これが正しい姿だった。
少し先にセリアが立っているのが見えた。
彼女は他の誰とも違う立ち方をしていた。背筋が真っ直ぐなのはラーシュと同じだが、ラーシュが光を受け取っているとすれば、セリアは光と——相互に何かをしていた。受け取るのではなく、応えていた。光が彼女に触れて、彼女が光に触れ返していた。外から見ると、他の候補生より少しだけ明るく輝いているように見えた。
気のせいかもしれなかった。
気のせいではないかもしれなかった。
光の適合者、という言葉を聞いたのはずいぶん前だった。その言葉が意味することが、今、視覚として俺の前にあった。
セリアはあちら側にいる。
その考えが来たとき、俺はそれを否定しなかった。否定するより先に、それが正確であることを認識した。あちら側、とは優劣ではなかった。ただ、違う側だった。光が正しく触れる側と、光が正しく触れない側。セリアは前者で、俺は後者だった。それだけだった。
それだけだった、と思いながら、手のひらの冷たさがまだそこにあった。
祭壇の中央の神官が、両手を広げた。
聖術の光が、神官の手から糸のように伸びた。白い光の糸が、祭壇から柱へ、柱から候補生へ向かって広がっていった。触れるというより、届く、という動き方だった。光が一人ひとりに届いていった。
ラーシュに届いたとき、彼の肩が少し上がった。驚きではなく、受け取った何かに反応した動きだった。
ブレンに届いたとき、彼は少し目を細めた。
マレンに届いたとき、彼女は目を閉じた。
一人ひとり、光が届くたびに、それぞれの反応があった。全員が同じ方向の反応だった——受け取った、安堵した、満ちた、という方向。暖かさの方向。
光の糸が俺に届いた。
針だった。
暖かくなかった。満ちなかった。安堵しなかった。皮膚の表面に細い針が無数に触れたような感触が、一瞬、全身を走った。拒絶されている、という感触ではなかった——俺が何かを拒絶している、という感触だった。俺の内側にある何かが、光の糸を受け取ることを拒んでいた。
一秒か、二秒か。
それで終わった。光の糸は次の候補生へ移っていった。俺はただ立っていた。
表情は変えなかった。顔に出さなかった。父さんに言われた通りだった——お前は感情が顔に出ない。今は、感情ではなく感覚が出ないことが必要だった。
隣の候補生を見た。彼は目を閉じていた。受け取っていた。
誰も気づいていなかった。
ただ一人——列の先の方で、セリアが正面を向いたまま、わずかに首を傾けた。俺の方向ではなかった。ただ、何かに気づいた人間が、気づいたことに反応するときのようだ。
気のせいかもしれなかった。
気のせいではないかもしれなかった。
奉告の祈りが終わると、個別の洗礼が始まった。
一人ずつ、祭壇の前に進む。神官が額に手を当てて、短い言葉を言う。その後、候補生が列に戻る。それだけの手順だった。ただ、それだけ、ではなかった。
最初の候補生が祭壇の前に立ったとき、廟の中の光が変わった。
変わった、というのが正確かどうか分からない。光の量は同じだったかもしれない。ただ、光の質が変わった。均一だった光が、候補生の体に向けて少し集まった——そういう感じがした。神官の手が額に触れた瞬間に、候補生の体全体が、一瞬だけわずかに明るくなった。輪郭が光に溶けた、というよりは、光が候補生の中に入った、という感触に近かった。
候補生が列に戻ってきた。顔が変わっていた。悪い変わり方ではない。何かが整った顔だった。安堵、という言葉が近かったが、安堵より深いものがあった。正しい場所に来た人間の顔、と俺は思った。
次の候補生が進んだ。同じことが起きた。
また次が進んだ。また同じことが起きた。
五人目にラーシュが進んだ。
ラーシュが祭壇の前に立ったとき、俺は見ていた。
神官の手が彼の額に触れた。その瞬間、ラーシュの肩から力が抜けた。力が抜けた、というのは弱くなった、という意味ではなかった。いつも少しだけ前に張っていた肩が、初めて完全に落ちた。七週間、ここに来てからずっとラーシュを見てきたが、あの肩の張りが完全に消えたのは初めてだった。
本人も気づいていないかもしれなかった。
ラーシュが列に戻ってきたとき、彼は俺を見た。何かを言おうとして、言わなかった。言葉にできないことが顔に出ていた。俺は頷いた。彼も頷いた。それだけだった。それで十分だった。
列が進んでいった。
セリアの番が来た。
彼女が祭壇に向かって歩くとき、廟の光が変わった——今度こそ、変わった、というのが正確だった。他の候補生のときより明確に、光がセリアの方へ向かった。神官がまだ手を挙げる前に、光がすでに彼女を認識していた。神官の手が額に触れた瞬間、廟の中が一瞬だけ、他の誰のときよりも明るくなった。
候補生たちが微かに息を呑んだ。音にならない程度の反応だったが、廟の静けさの中では分かった。
セリアは表情を変えなかった。ただ立っていた。光を受け取っていた。受け取るというより——召されていた、という表現の方が近かった。光が彼女を呼んでいて、彼女がそれに応えていた。
列に戻るとき、セリアの顔は普段と変わっていなかった。他の候補生のように「何かが整った顔」になっていなかった。ラーシュが「初めて肩の力が完全に抜けた」なら、セリアは最初からそこにいた人間の顔をしていた。光の廟の中で、唯一、所在なさがない人間だった。
俺の番が来た。
祭壇までの距離は、たぶん十歩だった。
十歩歩く間に、俺は準備をした。顔の準備だった。何も出さない顔を作ることを確認した。何が起きても、廟の中の誰にも、その場で分からないようにすること。それだけが今の目標だった。
神官が俺の前に立っていた。顔が光の中に溶けていた。声が聞こえた。「光の名において、あなたを迎える」という意味の言葉だった——たぶん。正確な言葉は聞き取れなかった。廟の音響が言葉を変形させていた。
神官の手が俺の額に触れた。
最初の一瞬は何も起きなかった。
他の候補生のように光が体の中に入ってくる感触はなかった。光が体に向かってくる気配はあった——光の糸が来たときと同じように、何かが接触しようとしていた。ただ、それが皮膚に達した瞬間に、俺の体の内側で何かが応答した。
受け取らない。
言葉で思ったのではなかった。俺の体が、俺の意識より先に決めていた。光が来て、俺の体が退いた。それだけだった。
ただし今回は、訓練場のときや、光の糸のときとは違った。
今回は、俺の体が退いた後に、何かが来た。
指先から始まった。冷感だった。ただの冷感ではなく——冷感の中に、何か別のものの輪郭があった。形を持ちそうで持たない何かが、指先から手のひらへ、手のひらから手首へ向かって動いた。動いた、というより滲んだ。インクが紙に滲むように、ゆっくりと広がろうとして——




