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梶野宮家の転移家計簿  作者:
最終章 異世界召還に巻き込まれた者
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近衛たちの話と海鮮焼きそば



 イレーネイルとアステリアスの暴走から数日が経過したのだが、お姫様抱っこを目撃した未婚の近衛兵たちの嫉妬や結婚願望などが高まっていた。


「アステリアスさままでお姫様抱っこをされていたと聞いたわよ……」


「これはワンチャンあるかもしれないわ……」


「イレーネイルさまから土筆殿下に近づくなとお達しがあったけど、それって……」


「まさかの重婚!?」


「土筆殿下ならあり得るかもしれないわ。数々の特許で資産は間違いなし、血統は初代さまと大魔王さまのご子息、ホルステッド王国の王子さまという肩書まであるのだから……」


「アステリアスさまはサキュバニア帝国の王女さま、イレーネイルさまは三大侯爵さまの息女、キャルロッテさまは竜王国の王女で、聖女ペアネさまはそのまま聖女よ。完璧にハーレムね!」


「それに帝国の盾と呼ばれるアイギス家のココアもいるわ……土筆殿下と婚約することになれば子爵から伯爵家へ復帰する口実にもなるんじゃないかしら」


「ああ、他国の王子ともなれば伯爵以上の家柄でないとか……」


「そう考えると凄いわね……王女二人に侯爵令嬢と伯爵令嬢に聖女……」


「私たちの付け入るスキが全くない……」


「だからこその愛人よ! 土筆殿下も自信を守ってくれる近衛兵なら常に近くにいるし、ピンチを救いでもしたらコロッと惚れる可能性もある訳よ!」


「う~ん……でもでも、土筆殿下の傍には常にペルーシャがいるわよ。ペルーシャが負けた所で助けに入るってペルーシャよりに強い敵に勝たないと……」


「うん、無理!」


「ペルーシャは異常に素早いし、妹のシャムールを見ていると勝てる気が全くしないわね」


「妹であれだものねぇ……」


「はぁ~土筆殿下の御手付きになれば毎日美味しいものが食べられるのになぁ……」


「食堂の食事もかなり美味しくなったけど、アステリアスさまの誕生祭の料理を食べてしまうとねぇ~」


「離れの屋敷から流れてくる甘い匂いやカレーの香りは今でも堪らないわよね~」


「くんくん、今日はなんだか香ばしい匂いが……」


「何の香りかしら? 少しだけ海の香りがする?」


「フライにかける真っ黒なソースの香りかしら……」


 白百合の館の窓から顔を出す第一近衛中隊の仲良し三人組は離れの輩から流れてくる香りに鼻を動かし吸い込むと、自身のお腹が反応し顔を赤く染める。


「今日のお昼は何だっけ?」


「天ぷらうどんだったかな?」


「あのツルツルとした麺という料理はどれも美味しいわよね~毎日、麺でも私は嬉しいわ!」


「私は柔らかいパンにシチューをつけて食べるのが好き! 柔らかくてしっとりとしたパンにシチューのまろやかな味が最高に合うわ!」


「ふっふっふ、私はオムライスをまた食べたいわ! トロリとしたオムレツの中に赤いライスと呼ばれる穀物と肉に野菜が混ぜ込んであって、一口食べれば何とも言えない味わいがあって、上に乗るケチャップと呼ばれるソースがまた美味しいのよ~ピザとかに塗ってある赤いソースに似ててね、甘くて酸っぱい感じが堪らなかったわ!」


「何それ!?」


「あんただけ食べた事があるってこと!?」


「えへへへ、この前に厨房からいい香りがして見に行ったら試食させてくれたのよ~あの味は忘れられないわね~」


「何それずるい!」


「今晩から食堂に張り込むわ!」


「その手があったか!?」


 いつの間にか話題が変わった近衛兵の乙女たち。このような会話が各部屋で行われており土筆の話題で盛り上がっているのだ。恐らく今が土筆最大のモテ期であろう。


 そんな土筆は離れの屋敷で昼食の用意をしていた。トクベリカからのリクエストに応えるべく肉と野菜を炒めると太麺のパスタを茹でよく湯を切るとテフロン加工のフライパンで焦げ目がつくまで油で炒め始める。


「くんくん、何だか良い香りがしてきたわね」


「小麦の香ばしい香りなのです!」


「ソースの香りもしてきたのにゃ~」


「むはぁ~この香りは胃にくるし! 早く食べたいし!」


 リビングには焼きそばをお願いしたトクベリカとエルエルにペルーシャとキャルロッテが集まり流れて来る料理の香りを楽しんでいた。


「にゃにゃ!? エビとイカの香りもしてきたのにゃ~」


 炒めた面に市販の焼きそばソースをかけ絡めた所で別のフライパンでむき身のエビと一口サイズに切ったイカを炒め、火が入った所で麺と野菜炒めとエビとイカを合わせ最後に塩コショウで味を調え、味見をして頷く土筆は焼きそばを皿に盛る。


「これでいいかな。あとは青のりと魚粉を少しかけて完成!」


「それでは運びますね」


 笑顔のレレが特盛の焼きそばをトクベリカの前に置き、涎を垂らしているペルーシャの前に置くと鼻を近づけ目を瞑り香りを楽しむ。


「こっちはエルエルな。キャルロッテさんもどうぞ。おかわりもありますから遠慮なくいって下さいね」


「嬉しいし! いっぱい食べるし! ありがとうだし!」


「エルエルもおかわりするのですよ! 今日はいっぱい食べるのです!」


「レレさんも先にどうぞ」


 そう言葉を残しキッチンに戻ると軽く片付けを始める土筆。


「麺がもちもちで美味い! 中華麺じゃないけど太麺のスパがもちもちしてて美味しいわよ~」


「イカが柔らかいのにゃ~エビもぷりりんで、にゃによりも魚の粉が食欲をそそるのにゃ~」


「スパイシーで美味しいし! この料理は屋台で売ったら流行りそうだし!」


「美味しいのですよ~少しだけカレーの風味を感じるのです!」


「ああ、ほんの少しだけカレー粉を入れていましたよ。隠し味が解るエルエルさんは凄いですね」


 レレに褒められ「えへへ~」と微笑み嬉しそうに焼きそばを口にするエルエル。


「屋台で思い出したけど、収穫祭はもうすぐでしょ。土筆たちはまた屋台をやるのかしら?」


「収穫祭?」


 人数分の麦茶を入れた土筆が収穫祭と疑問形で口にすると焼きそばを食べていたキャルロッテの手が止まる。


「収穫祭を知らせる文は届けたし、ホルステッド王国にも届けに行って疲れたし」


「隣の国とは言え遠いですからね。そうするとまた巡理さまやコペルさまにフランベルジュさまも口らに来るのでしょうか?」


「巡理は来ると言ってたし、フランベルジュも絶対に行きたいと叫んでたし。ケーキがまた食べたいって言ってたし」


「また賑やかになりそうですね」


 嬉しそうに微笑むレレ。


「にゃ~収穫祭は近衛の見せ場が多いのにゃ~近衛だけが参加する武術大会や美しさを競う大会に、アステリアスさまの雷を使った演舞も見られるのにゃ~」


「雷の演武?」


「そうですね。晴れているのに雷鳴が轟く中を飛び回って槍を振るうアステリアスさまの御姿は見る人に勇気と感動と恐怖を与えますね。去年も見ましたがとても美しかったです」


「あれを見た民衆は槍の守護者の強さに感動するのにゃ~犯罪者共は震えあがるのにゃ~」


「それで屋台はやらないの? それとも屋台をやってほしい話が来てないとか?」


 トクベリカの疑問に土筆は口を開く。


「屋台の話は来てませんね。レガンス領にもピザ屋さんができたようですし、他のお店もぐっと美味しい店が増えたと聞きますから不参加でも、ん?」


「兄ちゃん! 屋台やろうぜ!」


 玄関のドアが勢いよく開いたと思うと笑美の叫び声が響き、その後ろには笑顔のココアと頭を下げるエルムレスの姿があった。





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 誤字報告ありがとうございます。本当に助かります。


 お読み頂きありがとうございます。


 

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